第十話 無双カーショー降臨
六月十八日、今日からホームで阪神三連戦だったが、仙台が異様な雰囲気になっていた。
それは…
「やった―――、カーショーが楽天に来た――!!!」
さらに仙台駅の横断幕に書かれていたのは…
「祝 メジャーナンバー1左腕クレイトン・カーショー選手 イーグルスと契約」
そう、カーショーが来日したことだ。
楽天は六億も大金を出して、カーショーと契約した。
カーショーといえば、150キロ前後の球威のある直球と切れ味鋭いスライダーと縦に大きく割れるカーブで、何度もMLBの強打者を抑えてきた。
そんなメジャーナンバーワンの投手が楽天に入団したことはとても大きな戦力になりそう。
カーショーの一軍初登板は六月二十八日のライオンズ戦だった。
この日ゲンは、カーショーとバッテリーと組むことになった。
実はゲンはまだカーショーと試合前までカーショーと話したことはなかった。
ゲンはとても緊張していた。
その後、ロッカールームで話す機会があった。
ゲン「Amm…excuse me? (あの…すいません)」
カーショー「Yes? (はい?)」
ゲン「My name is Gen Fukuura. (私の名前は福浦源です)」
カーショー「Oh! Nice to meet you! (あぁ~、初めまして!)」
ゲン「Nice to meet you too! (こちらこそ初めまして!)」
そこに通訳さんが来て、なんとか会話できるようになった。
ゲン「で、僕今日カーショーさんのキャッチャーをやらせてもらいます。」
通訳「あ!そうだったのか!お互い頑張ろうな!」
ゲン「もちろん!」
ゲンはカーショーと手を組んだ。
そして試合が始まった。
相手先発は菊池雄星だ。
そちらも日本を代表する投手だ。
今日は平日ながらも四万人近い観客が観戦に来た。
カーショーの立ち上がり一回
先頭は秋山だ。
秋山に対してはストレートで追い込み、最後カーブで三振。
来日初奪三振を記録した。
カーショーはこの三振で波に乗った。
源田にはスライダー中心に攻めて三振。
外崎は全球ストレートで三球三振。
なんといきなり三者連続三振を取ってしまった。
そして二回も山賊打線の中軸、山川、浅村、中村を三者連続三振に取ってしまったのだ。
これには敵軍は脱帽するばかりだった。
さらに三回も炭谷、栗山、金子侑を三振に取ってしまった。
なんとプロ野球タイ記録の九者連続三振に取ってしまった。
まさに無双カーショーの降臨だった。
そして四回の表も先頭の秋山を見逃し三振に取り、日本記録を達成してしまったのだ...
なんということだろうか...
来日したばかりの外国人がいきなり初登板で日本記録を破った。
これには観客も大興奮。
この日は史上最多のビール売り上げとなった。
しかしその次の源田に失投をレフト前に運ばれて初ヒットをを許してしまった。
観客はため息をついた。
ゲンの目にはカーショーは少しイライラしているように見えた。
ゲンはすぐにマウンドへ行った。
ゲン「Mr.Kershaw , calmly, calmly. (カーショーさん、冷静に、冷静に)
カーショー「OK. (わかった)」
その後カーショーは外崎を詰まらせ、ダブルプレーに仕留めた。
カーショーは吠えた。
ゲン「Good job! (よくやった!)」
カーショー「Thank you! (ありがとう!)」
その後カーショーは九回を投げ切り、完封。
被安打1、奪三振十七という異常的な成績を残した。
打撃陣も難敵菊池雄星を打ち崩し、七得点。
イーグルスの完勝だった。
ゲンも三安打二打点とカーショーを援護した。
試合後、ロッカールームでゲンとカーショーが会話した。
ゲン「カーショーさん、今日はいい試合でしたね。」
通訳「あぁ、いい試合だったね。」
ゲン「それにしてもすごいピッチングでしたよ。」
通訳「いやいや、俺がランナー出したときにゲンが助言してくれたおかげだよ。ゲンと結構相性が合うんだ。」
ゲン「本当ですか!?」
カーショー「ああ、これからも頑張ろうな!」
ゲン「はい!」