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記憶・・・出会い?

 姉さんを迎えに行って帰った。

「誠人〜お酒かジュースある〜?」

 家に着いて第一声がこれだった。

「姉さんまだ18だろ?ジュースで我慢してくれ」

「よく覚えてたわね!」

「は〜。美希、悪いがジュース持って来てやってくれ」

「うん。分かった」

 冷蔵庫まで行ってしまった。そしてタイミングを計るようにして姉さんが口を開いた。

「美希ちゃんと何処まで行った?」

「何処までって?」

「付き合ってるの?」

 意外な質問に空いた口が塞がらなかった。

「ねえ?どうなの?」

「・・・何もなってないよ。ただの幼馴染だ」

「なーんだ。つまーんなーいのー」

 つまらないってなんですか。まったく・・・変わったな・・・そりゃそうだろうな。姉さんも19歳だしな。ん、18?就職は?それとも進学は?

「姉さん。これからどうするんだ?」

「あ〜それね。私、結婚するから」

「そっか、結婚か。なーんだちゃんと決まって・・・」

 顔が引きつった。

「何か変?」

「・・・結婚ーー!なにそれ!?聞いてないよ!?」

「うん。言ってないよ」

「どうぞお幸せに」

「それだけ〜?」

 他にどんな言葉が欲しいのかわからなかった。こういったところは昔から変わってない。

「で、誰?」

「結婚って言っても挙式はまだ先だよ。それに彼がちゃんと就職できるまで同居もしないからこの家を出るのは来年だけどね」

 切なかった。やっと帰ってきたのにまた出て行くなんて。

 やっぱり美希の言う通りシスコンなのかな?

 すると遠くから声が聞こえた。

「ねえ〜誠人く〜ん。ジュースないよ〜」

「じゃあ、お茶でいいよー」

「わかった〜」

「お待たせ」

 ジュース探すのには時間が掛かったのにお茶を持ってくるのは凄く早かった。

「早いなお前」

「奥歯に加速装置がついてるんだよ」

「いつからサイボーグになったんだ?」

「え!美希ちゃんサイボーグだったの!?」

 真面目に驚いてる姉さんを二人で冷たい視線で見た。

「ねえ、他に付いてないの!?」

 まだ信じてたよ・・・。

「うん。あとね、瞬間移動とか、目からレーザーが・・・」

「止めてやれ。姉さん本気で信じてるから」

「あ・・・本当だ・・・どうしよう・・・」

「ねえ、他には、他には!」

 まだ求めていた。見た目は大人びてても中身はまだまだ子供だった。

「姉さん。嘘だから。Jokoだから!」

「敢えて冗談が英語だったのは突っ込まないけどJokoじゃなくてJokeだから」

「え、うそ、間違ってた?」

「あ、本当だ!誠人君間違ってる!」

「辞書引いてくるからまってて」

 急いで部屋に戻り英和和英の辞書を引いた。

「ほんと・・・だ」

 二人の下に行った。

「どうだった?」

「お二人の言う通りでした」

「ほらね」

「う〜もういいじゃないか。そんなに責めるな」

 本当に悔しかった。姉さんにだけならともかく、美希にまで言われたのだから。

 その時、きゅううぅぅ〜。そんな音がした。

「ごめん、お腹空いちゃって」

 姉さんが照れ気味に言うと美希が立ち上がった。

「じゃあお昼の買い物しに行こう」

「お、美希ちゃん何を作るんだい?お姉さんも手伝っちゃうよ」

「うーん。まだ決めていんだよ。何がいいかな?」

「それじゃあね、カレーピラフがいい!」

 お子様みたいな発言に俺は苦笑した。それに気付いたらしく、姉さんは鋭い目つきで俺を見た。

「怖い顔するなよ。綺麗な顔が台無しだぞ?」

「あっら〜ん!そ〜お〜。うれし〜な」

 回避方を覚えた。それと同時に単純な人だと分かった。

「それじゃあ行って来るね」

「ああ」

「あれ?誠人いかないの?」

「面倒だし、女同士で話したいこともあるだろ」

「そう。じゃ、お留守番よろしく。一人だからって泣いちゃ駄目だぞ」

 悪戯っぽく言って、買い物に行った。それを手を振って見送った。

 リビングまで行くとソファに横たわった。

「全く、何年も前のことだろ。もうあの頃の俺じゃないんだ」

 10分ほど経った。誰もいないということもあり眠くなってきた。そして眠気に身を任せ寝てしまった。

――――「誠人、起きてよ!ねえ」

 聴いたことの無い声がした。ああ、そうか。俺、ソファで眠って。目を開けると、そこは一面の野原だった。

「あれ、どうしてこんなところに?」

 声まで違う。幼くて少し高い声。視点が低く目に映る物が大きく見える。

「やっと起きた。身体は大丈夫?」

 今の俺と同じ位の歳の女の子が話し掛けてきた。

「君は誰?」

 女の子はびっくりした顔をしていた。そして悲しそうな顔をした。

「忘れちゃったの?菫だよ?北条ほうじょうすみれ

 北条・・・菫・・・どこかで聞いたことがある。けど覚えてない。でもこの子は俺を知っている。

「ごめん」

「き・・・おくそうしつ・・・うそ・・・でしょ?」

 女の子は目に涙を浮かべていた。俺が記憶喪失?そんなはずは無い。俺はこうして・・・ズキンッ。

「っつ!」

 急に後頭部が痛み出した。

「大丈夫!?」

「だ、大丈夫、大丈夫」

 立ち上がってみた。しかし、足元がふらつき思うように前に進まない。そして眩暈がして激しい吐き気がした。

 急いで口に手を当てたが既に遅く、嘔吐していた。

「誠人!大丈夫!」

 女の子が駆け寄って来た。心配してくれるのは嬉しかったがこんな姿例え女の子にでも見せたくは無かった。

 でも、女の子は必死に背中を擦ってくれた。そのお陰で気分が大分落ち着いた。

「もう・・・大丈夫」

「うん。少し横になってたほうがいいよ」

 言われた通り草の上に横になる。

「なあ、俺はどうなったんだ?」

「・・・あそこの木が見える?あの木に登って足を滑らせて落ちたの」

 結構高い木だった。あそこから落ちて怪我が無いなんて奇跡だと思った。

「北条菫・・・菫でいいか?」

「いいよ。今までもそうだったから」

「ごめん」

「謝る必要ないよ」

「でも、忘れられるのは寂しい事だから」

 でも、俺はどうしたら現実に戻れるんだ。それにしてもリアルすぎる。

「どうしたの?痛いの?もう少し待って、そうすれば私の家の人が迎えに来るから」

「うん。じゃあ、それまで少し寝るから・・・」

「うん。お・・・」

 あれ、意識が遠のいて・・・――――


「誠人君起きて!お昼ご飯冷めちゃうよ!」

「菫!」

「わあ!びっくりした〜。どうしたのいきなり」

「あれ?」

 声も元に戻っていた。見える世界も身体も。さっきまでの後頭部の痛みも無い。

「も〜。早くお昼食べるよ」

「あ、ああ」

 昼食を食べてる時も考えていた。北条菫・・・誰だ?駄目だ。全く思い出せない。

 昼食の後、気分転換とあの野原を探しに町をふらついていた。幼い時の夢だったからもうあそこは無いかもしれなかったが確かめずにいられなかった。

 するとまたあの時の猫が現れた。

「またお前か?家の人が心配し・・・」

 思い出した。確かこの猫の飼い主が”北条”そしてそのお嬢さんが”菫”て言ってたはずだ。

「よし、また送ってやる」

 ココを抱き上げると北条家に向った。

 ピーンポーン。

「はい、どちら様で」

「日比谷です。ココを連れてきたんですが」

「入ってください」

 門が開いて通れるようになった。

「おじゃまします」

 誰もいないのについ言ってしまう。

「相変わらず広いな」

「にゃうにゃ〜」

「お前もそう思うか」

「うにゃ〜ん」

「はは、まるで会話してる見たいだ」

 ココとじゃれ合いながら歩いているといつの間にか玄関まで来ていた。

「ここが一番緊張するな」

 そう呟くと扉が開いた。

「さあ、どうぞ」

「あ、どうも。失礼します」

「依然いらっしゃった時に行ったお部屋で、お嬢様がお待ちしております」

「ご丁寧にありがとうございます」

 部屋まで行くと執事のような人が立っていた。

「こちらです。どうぞ」

「ありがとうございます」

 中に入ると菫一人が座っていた。そして前と同じ場所に座った。

「一度ならず二度までも、ご迷惑をお掛けします」

「いえ、ところで訊きたい事が」

「なんでしょうか?」

「以前お会いした事は?」

「いつ頃ですか?」

「9,10年前くらいに木が一本ある野原で」

 驚いていた。声には出さなかったものの表情は嘘を吐かなかった。

「なぜでしょうか?」

「夢を見たんです。俺はその木から落ちてしまい記憶がなくなったらしく、目の前にいた女の子は北条菫と言っていて、凄く心配してくれてたんですよ」

「その少年はあなたなんですか」

「きっとそうです。その子も誠人と呼んでましたから」

「本当に・・・本当に・・・誠人・・・なの?」

 泣いていた。嬉しくて泣いているんだろう。でも俺には記憶が無い。それがとても痛かった。

「誠人!」

 テーブルの上に乗り俺に抱きついた。それはお嬢様らしき行為ではなかった。いや、人としては当たり前の行動だろう。

 そして、菫を抱き締めた。最初見たときは高嶺の花だと思った。でも、今はこんなに近くにいる。何でだろう・・・記憶は無いのに酷く懐かしかった。

 その時、ズキンッ。

「っつ!」

 俺の声に気付いたようで菫は、ばっと離れた。

「どうしたの?」

「いや、なんでもな・・・い」

 また・・・意識が・・・・・・。

「誠人!誠人!誰か来て!」

「どうしました!」

「誠人が急に倒れて」

 すぐに救急車を呼んで病院に運んだ。

 だけど、全然平気だと医者が言っていた。

 本人もけろっとしていた。

「心配して損した」

「悪かった。思い出したよ。全部・・・何処で誰とどんな事をして遊んでいたか。全部」

「じゃあ、約束も覚えてる?」

 誠人の顔が赤くなっていった。約束・・・誠人から言ってくれた事。私は忘れた事なんて無かった。

「もうちょっと待ってて」

 それだけ言うと逃げていった。でも、あの反応は絶対に覚えていた。今はそれだけで充分だった。例えこの先私を選ばなくても・・・。


 外に出ると真っ暗だった。随分眠っていたみたいだ。でも・・・。

「子供の時の約束・・・か、でも今は分からない。当時は好きだったかもしれないけど、結婚はそんな簡単に決める事じゃないからな」

 とぼとぼ歩いていると3人のヤンキーが女の子・・・といっても俺より二つ三つ年が違うくらいだけど絡まれていた。素通りすることも出来たが、後味が悪そうだから向っていった。

 そして一人の方を掴んだ。

「おい。止めろよ」

「何だお前?こいつの知り合いか?」

「違うけど」

「ならいいだろ?」

「そういうわけにはいかないよ。見ちまったし、このままにしといたら後味悪いし」

「なら仕方ねえな」

 一人が合図をすると二人が殴りかかってきた。

「おいおい。乱暴は止そうぜ」

 二人の攻撃を避けながら言った。すると二人してナイフを取り出した。

「物騒だな〜。これは正当防衛だからな?文句言うなよ?」

「ごちゃごちゃうるせえぇ!」

「おっと」

 顔を狙われ避けた。が、かすっていしまった。

「あーあ。怪我しちまった」

 その後はほとんど一瞬だった。切りかかってきた相手の懐に入りみぞおちを殴って二人ともノックアウトだった。

「さあ。どうする?今なら許すけど?」

「ちっ、覚えてろ!」

「着られ役の台詞だ〜!初めて聞いた!」

 内心凄くばかにしていた。何せ、そんな事言うのはドラマと漫画くらいかと思っていたからだ。

「あの・・・ありがとう」

「気にするな。ところで、何もされてないか?暴力振られたり、性的な事されたり」

「大丈夫。でもあなたが来てなかったら駄目だったかもね」

 見捨てなくて良かった。もし見捨ててたらこの笑顔を守れなかった。

「で、あなた名前は?」

「名前?日比谷誠人。高校生だ」

「私、近衛このえ茉莉まり。中学生」

 だからか、何と無く幼い感じがしてたのはと言おうと思ったがそれは失礼だと思い止めた。

「家はどの辺?よかったら送ってくよ?」

「家か・・・帰りたくない」

「はい!?」

「帰りたくないの!」

 家出娘だった。でも、なおさらほっとけなかった。

「じゃあ・・・不本意だが家に来るか?」

「わ!えっちぃ」

「大丈夫だ。俺には姉さんがいる。それに近所には幼馴染の奴もいる」

「本当に?いつまでいるかわからないよ?」

「平気だ。でも学校はちゃんと行けよ?」

「じゃあお世話になろうかな」

 今更だけど大丈夫かな?家のほうもだけどこの子人を信じやすい。俺と目的が全く逆の奴にでも付いて行きそうだった。

「なあ。知らない人に付いていくなよ。世の中俺みたいな奴の方が珍しいんだ」

「わかった。あと、誠人は私の保護者ね」

「え、俺?」

「うん。お願い」

 女性に頼まれると嫌といえなかった。

「・・・わかったよ。ただし、誰にも言うなよ。俺が保護者の代わりだって」

「わかったよ」

 茉莉は以外に聞き分けが良かったから安心した。

「よし、ついたぞ。そう言えば・・・荷物は?」

「持ってるでしょ?」

 持っている物・・・そんなに大きくないバッグだけだった。

「ちなみに・・・なにが入ってる」

「制服と勉強道具のみ」

「ばーかー!どうするんだよ!?買うしかないじゃないか!」

「え!買ってくれるの!?」

 話にならなかった。

「もういい。入るぞ」

「うん」

「ただいま〜」

「おかえり〜」

 中に入ると奥の方から声がした。

「ほら、入れよ」

「おじゃまします」

 緊張してるのか少しぎこちなかった。

「美希〜いるか〜」

「うん。いるよ」

 キッチンに行くと料理を作っていた。

「なにを作ってるんだ?」

「カレーだよ。ん?」

 茉莉に気付いたらしい表情が、誰?と言っていた。

「この子は俺の彼女だ」

「ええぇぇぇぇ!!」

「いや、お前が驚くなよ・・・冗談なんだからさ」

「「何だ冗談か」」

 綺麗にハモっていた。

「えーと、家出娘の中学生らしい。ほら自己紹介」

「近衛茉莉です」

「藤桐美希です。よろしく」

「で、姉さんは?」

 見た限り何処にもいなかったから訊いてみた。

「部屋で何かしてるみたい。誰も入っちゃ駄目って」

「ふーん。じゃ後でいっか。部屋に案内するから」

「うん」

 階段を上がって一番奥の部屋まで行った。

「ここがお前の部屋だ。普段綺麗にしてるから使っても大丈夫だ。どうしても嫌だったら俺がこっちに来るからおまえは俺の部屋にいけ。わかったか?」

「うん。誠人」

「なんだ?」

「ありがとう」

 少し上目づかいで見てきた。流石にドキッとくる仕草だった。

「必要な物があったら言ってくれ。買ってやるから」

「うん」

 夕食の用意が出来て姉さんが来た。

「やっと降りてきた」

「なんで?お!新しい子がいるけど」

「ああ。家出娘だ」

「近衛茉莉です。よろしく」

「誠人の姉の奈緒です。こちらこそよろしく」

 やっぱりあんまり気にしてなかった。まあ、こんな物だと思ってたけど、問題は親父だ。高確率で駄目だと言われる。

 その時、ピーンポーン。

 インターホンが鳴った。親父が帰ってきた。

「あ、お父さんだ」

 すぐに玄関に向かっていった。


「お父さんお帰りなさい」

「ああ。ただいま。そして久しぶり」

「うん。久しぶり」

 お父さんはあんまり変わってはいなかった。だから戻ってきたって感じがしてきた。

「綺麗になったな」

「そう。誠人にも言われたよ」

「はは。そりゃそうだろうな。あの時はこーんなに小さかったのに今じゃこんなに大きくなって。ごめんな。奈緒。ずっと家に置いておいてやりたかったんだが」

「いいよ。お母さんが決めたんだもん」

 そう。育児放棄してお父さんの所に預けたのに、また勝手に施設に預けて・・・勝手な親大っ嫌い。

「そういえば・・・いい匂いがするな」

「今、晩御飯食べてるから、一緒に食べよ」

「ああ。そうだな」


「お帰り親父」

「お帰りなさい。小父さん」

「・・・・・・」

 茉莉は緊張して何も言えなかった。それで気付いたらしく訊いてきた。

「その子は?」

「家出娘」

「?」

「近衛茉莉です」

 まだ家出娘に引っかかってるらしい。

「で、当分の間預かるから」

「親の了承は?」

「家出だからそんなものは無いだろう」

「ふーむ」

 考え込んでしまった。例え預かってもいいと言っても条件がつく。その条件を考えてくれてるのならいいけど。

「うん。いいぞ」

「条件は?」

「いらん」

 初めてだった。今まで猫や犬などを飼ったりしたけどどれも条件付だった。

「良かったな。これで当分帰らなくて済むぞ」

 笑顔で大きく頷いた。

 そして夕食を食べ風呂に入り歯を磨いてる時。

「ねえ誠人。寝る時なに着ればいい?」

 茉莉に目を向けると裸体にバスタオル一枚だった。

「ぶっふうぅ!お、お前!なんて格好をして!」

 洗面台に口の中のものを飛ばしてしまった。

「だって着替えないもん」

「なんでもいいのか?」

「取り敢えず・・・」

 時刻はまだ8時だった。急げば店も空いている時間だった。

「待ってろすぐに行って来るから」

 まずキッチンに行った。

「美希一緒にきてくれ」

「え、何処に?」

「下着を買うんだよ!女物の!」

「・・・変態・・・?」

「違う!茉莉のだよ」

 どうして買うかなどを話しながら店に行った。

「セーフ」

「じゃ、行ってきてくれ」

「わかったよ」

 ・・・5分後

「買って来たよ」

 手には袋を持っていた。当たり前の事だけど。

「よし帰ろう」

 家に帰ると茉莉がまだバスタオル一枚の格好だった。

「ばか!何で何も着ないんだ」

「だって着る物無くて・・・」

「ちょっと来い」

 茉莉の手を引いて俺の部屋まで連れてった。如何わしい事をするわけではない。俺の服を取り敢えず着せておくためだ。

「どんなのがいい?」

「だぼだぼならなんでもいい」

「じゃあ・・・これでいいか?」

 俺でも少し大きめな服を渡した。

「ありがとう」

「あと、下着は美希が持ってるから受け取ってくれ」

「ねえ、誠人が持ってきて」

「何で?」

 何も答えなかった。気まずいのだろうか。だとしたら何で俺は平気なのか、普通男の俺より女の美希や姉さんの方がいいと思うんだけど・・・仕方ない・・・か。

「わかったよ。部屋に行ってろ」

「うん」

 茉莉の下着を受け取りに下に降りた。しかし、美希はもういなかった。代わりに買ってきた下着の入った袋と一枚の紙が置いてあった。

「もう遅いので帰ります・・・か。家が隣でも大変だな」

 袋を持って茉莉の部屋に行った。

 トントン。

「入るぞ」

 ドアを開けたらタイミングよく、いやタイミング悪く着替えてるところだった。バスタオルを外した状態で綺麗なボディーラインに発育してきている可愛らしい胸が見えた。

 茉莉は顔を赤くして声が出ないほど恥ずかしがっていた。

「ありがとうございましたー!」

「ば、ばかーーーー!!」

「冗談だ。ほら下着」

 下着の入った袋を放り投げた。

「悪気は無かった。ごめん」

 それだけ伝えて部屋を出た。

 布団に入って寝た。

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