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気まぐれな猫と飼い主。 5

 「栄司さん、仕事終わったー」

 生徒会室で、補佐の仕事をさっさと終えた俺は会長席に座っている栄司さんに駆け寄った。

 「そうか」

 そういって、栄司さんは俺に視線を向けて、頭をなでてくれる。

 栄司さんに頭をなでられるの、本当に俺大好き!

 生徒会室には後副会長も居て、他の人は居ないんだけど、副会長さんは何だかこちらに見ていった。

 「本当に、秋川君はデレデですね、会長に…」

 「俺、栄司さんの事大好きですもん」

 にっこりと笑ってそういえば、椅子に腰かけている副会長さんは呆れた顔をしていう。

 「本当に、はずかしくないんですか…。そんな風に言い張って」

 「俺は自分の感情に素直なんですもん。栄司さんには幾ら大好きだっていっても足りません」

 はずかしい、なんて正直そんな思いはわかない。

 俺は栄司さんが大好きだ。寧ろ親よりも親友よりも何よりも大切だって言える。

 それを言葉で表現して何が悪いのかわからない。

 「…そういえば、親衛隊とも仲良くしているようですね?」

 「ああ、栄司さんの親衛隊の子ですか? 俺が栄司さんの素晴らしさについて語ったら文句いってた子も黙りこみました」

 俺の言葉に副会長は呆れたような表情を浮かべる。

 栄司さんの親衛隊メンバーは栄司さんが好きな人ばっかりだから栄司さんについて語れるから俺は皆好きだよ。

 だって、他の人に栄司さんについて思いっきり語ろうとしたら途中で遮られちゃうし。

 俺は栄司さんについてなら幾らでも語れるっていうのにさ。

 「昌なら親衛隊は心配ねぇって前にいっただろ?」

 「確かに、会長はいってましたけど…。まさか親衛隊とこうも仲良くなるとは思わなくて…」

 「それに昌は人に好かれるからな。放っておいたら変な虫ついてやがるし」

 「…まぁ、顔も可愛い方ですしね」

 「昌は顔だけじゃねぇぞ。昌を欲しがる奴は結構居るんだよな、本当…。どんどんわいてきて鬱陶しい」

 副会長と栄司さんがそんな会話を交わしている。

 本当にね、俺は栄司さんのものにしかならないって断言できるのに、ちょっと仲良くしてたからって俺の特別だって思う人って居るもんだしねー。

 恋愛感情で俺を見てくる人も結構居るけど、俺にとって一番は栄司さん。

 寧ろ、一に栄司さん、二に栄司さん、三に栄司さん、四に栄司さん、五に家族って感じ?

 「そういえば、秋川君の親衛隊結成の動きがあるみたいですけど」

 「え、俺に親衛隊? 俺にも出来るの? まぁ、栄司さんと俺の邪魔しなきゃどうでもいいけど」

 副会長の言葉に、ちょっと驚きながら俺は言葉を放つ。

 親衛隊結成かーと何だか不思議な気分になる。

 だってねぇ、親衛隊なんて普通の学園じゃありえないし、何か面白いよね。

 栄司さんの親衛隊が一番大きいんだよね。流石、栄司さん。一番人気者で惚れ惚れする。

 「まぁ、俺と昌の邪魔するなら潰すだけだろ」

 「だよね。思いっきり実力行使しちゃうもんね」

 にっこりと俺が笑えば、栄司さんも笑う。

 だってね、親衛隊の中には対象の恋にまで口出す連中も結構居るんだって。

 本当そんな事されたら俺切れちゃう。

 だって、俺の全ては栄司さんで。俺の一番は栄司さんで。俺の居場所は栄司さんの隣。

 寧ろ栄司さんの隣以外俺の居場所はありえない。

 「実力行使って、秋川君って喧嘩とか出来るんですか」

 意外そうに、副会長がそういって俺の方を見てくる。見た目的に俺は喧嘩弱そうに見えるらしい。

 「できるよー、ねー、栄司さん」

 「だな、大体昌って元ヤンだし」

 「そうそう、俺栄司さんが寮入って寂しくて夜の街いって暴れてたんだよね」

 にこにこと笑ってそんな事をさらっと言えば副会長は驚いたようにこちらを見据えていた。

 「よ、夜の街ですか…?」

 「そう、それに俺栄司さんの実家に昔から通いつめてたから不良とか怖くないですしね」

 寧ろヤクザ見なれてるし、栄司さんが俺の事ペット扱いして家に連れて帰ってからずっと栄司さんの家の連中に俺可愛がられてるし。

 寧ろ、連れて帰った俺(当時小学生)を見てヤクザさん達寧ろ慌ててたし。

 ”さ、さらってきたんですか!?””駄目ですよ、こんな子供…”って寧ろ心配されてたし、やさしーよね、皆。

 でも自分からついていったんだけど、もちろん。

 寧ろ、当時から栄司さんに”栄司さん、栄司さんっ”ってついて回ったの俺だし。

 栄司さんの家の連中皆いかつい顔してるけど、もうすっかり見なれてるしね。

 「じ、実家ですか。こ、怖くないんですか?」

 「全然。だって俺の居場所は栄司さんの居る所ですから。寧ろ栄司さんがいない人生なんて生きてる価値がないって断言できるよー。

 危険な場所だろうと、栄司さんが居るならそこが俺の居場所だから」

 そう、俺の居場所は栄司さんの隣だけ、他のモノなんて一切いらないし、求めもしない。

 栄司さんが居るならば、他の何を切り捨てたって構わない。

 「そ、そうですか…」

 「昌は可愛いだろ? 俺にこんなに懐いてて。昌がこんなに懐いてるの俺だけだしな」

 「当たり前じゃん、俺栄司さん以外に可愛がられたくないもん。俺栄司さんにだから抱かれたんだもん。他の奴だったらそんなバカなこといった瞬間ぶちのめしてる」

 「そんなバカいたら半殺ししとけ」

 「もちろんだよー」

 俺は栄司さんのモノ。栄司さんだけのモノ。

 他の誰かのモノになる気なんて一切ないし、絡んでくるならぶちのめすだけ。

 「え、えっと、会話が怖いんですけど」

 「あ? 何いってやがる俺の昌に手を出す奴なんて死んでいいだろ」

 「うん、俺栄司さんのものだから死んでも他の奴に奪われたくないなー。そういうのはボッコボコにするのが一番なんですよ、副会長」

 え、これ当たり前じゃないのーとでも言う風に栄司さんと俺でいっていれば、副会長は青ざめている。

 後日、俺を襲おうとした輩が俺と栄司さんによって徹底的にぶっ潰されて、副会長が「怖いです…」と震えているのは別の事である。



end


副会長

敬語美人。儚い感じ。

喧嘩とか一切できないから何だか栄司と昌が怖かったらしい。


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