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無口会長は動物がお好き。 2

狼side

凄い短いです。

 「ろ、う」

 今日も瑞希は、俺にべったりとくっついている。

 本当に警戒心がないというか…、と何とも言えない気持ちにはなる。こんな態度ほかの奴が見たら襲うんじゃないかと思うほどに無防備だ。

 ぎゅっと俺に抱きついてくる瑞希は何だか本当可愛い。

 「瑞希、生徒会室行くか?」

 「ん! ろ、うと、一緒、おし、ごとする!」

 抱きついたまま笑う瑞希の頭を撫でる。

 周りがキャーキャー騒いでいるが、そんなのどうでもいいから放置して俺は瑞希と一緒に生徒会室に向かう。

 生徒会室の扉を開ければ、そこには誰も居なかった。

 瑞希と二人掛けのソファへと腰掛けて、それぞれの仕事をはじめる。

 くっついたままでは正直仕事はしにくい。

 でも瑞希なら別に良いとさえ思ってしまう。

 他人と一緒に居ることは嫌いだった。

 だけど瑞希は別なのだ。

 一緒に居るのは居心地が良い。

 此処まで傍にいて居心地が良いと感じる人は、はじめてだった。

 俺はちらりと瑞希を見る。

 瑞希は優秀だ。

 話すのは苦手で、俺同様協調性はないが、会長としての仕事はきちんとこなしている。

 瑞希は責任感はある。

 任された事をきっちりとこなそうという意志がある。

 ―――だからこそ、あの転入生がやってきて、生徒会が現をぬかしていた時にも仕事をしていた。

 協調性はないけれど、自分の仕事はきっちりとこなす。

 人と一緒に居る事を好みはしないけれども、敢えて人と敵対することはない。

 助けを求める人が居れば助けるだろう。それでも人に興味を持たない。

 ―――瑞希はそういう人間だ。

 人を惹きつけるだけ、惹きつけて、相手を顧みない。

 動物のように気まぐれだ。

 そういう瑞希だから俺は気にいっていて、素直に可愛いと思えるのだと思う。

 他人にこんな感情を持つのは正直初めてで、俺自身、戸惑っている。

 この感情が何を指すか、今の俺にはわからない。

 だけど瑞希は確かに俺の『特別』だ。

 「ろぅ…どう…したの?」

 考え事をして、俺の手が止まっていたらしい。

 瑞希がこちらを見て不思議そうな顔をしていた。

 「何でもない」

 俺は只それだけ答えて、瑞希の頭を撫でまわした。

 『特別』なこの感情の意味はまだわからないけれど、俺が瑞希の傍に居たいのは確かだ。

 ――今はそれでいいと思うんだ。




end



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