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轟学園物語―story2・腐男子な恋人―

 「あー本当会長様の恋人って誰なんだろう!」

 今日も俺の恋人は言葉を言い放つ。

 俺、野村弥生と恋人の来栖章は全寮制の男子校に通っている。

 中等部からの外部生だった章に俺が惚れて、告白して、それから付き合い始めた。

 それでだ、今高等部の生徒会長に恋人が居るっていう噂がこの学園で最も話題になっている事だ。

 この学園の生徒会長といえば、完璧で、優しく、皆の憧れである。

 恋愛的な意味の生徒も多いが、純粋な憧れを持つ生徒も多い。

 「美人かな? それとも平凡?変装美人とかでも…」

 ブツブツ言いながらも、頬を緩ませている恋人は腐男子と言う人種だと本人がいっていた。

 男同士のイチャラブを見るのが好きらしく、最近夢中なのだ。

 会長の恋人が誰かと言う事に。

 別に章が楽しそうな様子は全然いいんだ。

 俺にとっては恋人の幸せは自分にとっての幸せなのだから。

 でも…、俺にかまってくれないのはちょっと妬ける。

 それでも趣味に口を出して、章が不機嫌になるのも嫌で。

 だから少し俺にもっと構ってほしいと思いながらも何処か苛々しながら部活に励んでいた。

 ちなみに俺の部活は、バスケ部だ。

 俺は一年で、レギュラーにはまだなれないけど頑張っていつかはレギュラーになってやるって思ってる。

 実際、同じ一年でレギュラーを取った名瀬もいるわけで…、俺も頑張ろうと思ってる。

 でも、俺が少し苛立っていたのが部活の先輩――四賀義樹シガヨシキ先輩にはわかったらしく部活後に声をかけられた。

 「どうした? 本調子じゃないみたいだが」

 そういって話しかけてくる四賀先輩はいい先輩だと思う。

 顔つきは平凡だけど、後輩の事もちゃんと見てくれてる。

 それにバスケ部のレギュラーで、バスケが上手い。

 この学園は顔重視だから、四賀先輩を馬鹿にした一年も居るけど結構慕われてる人だ。

 「…あー、実は」

 四賀先輩の事は信用できるし、俺はつい誰にもいっていない恋人に構って欲しいという言葉を口にしてしまう。

 その理由が、”恋人が男同士のいちゃいちゃを見るのが好きな腐男子で、会長の恋人が誰かを夢中に捜索中”だという事を言ったら、

 「…そうなのか」

 四賀先輩は何とも言えない表情を浮かべた。

 そのことに不思議に思いながらも俺は四賀先輩に、恋人が他のものに夢中なのは嫌だが、楽しそうにしてるのは好きだと告げた。

 「それなら普通に恋人に、他の事に夢中にならないでくれって言えばいいんじゃないか?」

 「…でも嫉妬深くないですか?」

 「人によって感じ方は違うけど、俺は恋人に嫉妬されたら嬉しいけど」

 笑ってそう告げる四賀先輩。

 それが何だか実体験か何かに聞こえて、あれ、四賀先輩って恋人居るのか?とびっくりした。

 だって四賀先輩って、顔は平凡でもスポーツ出来るから一部には人気だったりする。

 バスケは本当に上手いから俺も憧れているし、スポーツ出来る男って何だかかっこよく見えるものだろうし。

 でもそれは全部、部活に専念したいだのなんだの言って断っていたから、興味ないんだろうと思ってた。

 でも、もしかして恋人が居るのか?

 「…四賀先輩って、恋人が居るんですか?」

 「へ?」

 「あ、いや、なんか居るように聞こえたっていうか、勘なんですけど」

 そんな俺の言葉に四賀先輩は面白そうに笑う。

 「そうだなー、居るけど」

 「……そんな話一度も聞いた事ないんですけど」

 「そりゃ、人に言ってないし」

 「え。じゃあ俺に言ってよかったんですか」

 「まぁ、誰かまでは言うわけじゃないしな」

 さらっと恋人居るとばらされたのはいいけど、本気で誰だろうか。

 四賀先輩が誰かと付き合ってるなんて全く知らなかった。

 凄い個人的に告白されても軽く断ってた四賀先輩の恋人がなんか気になった。

 誰かまでは言わないと言われたけれど。

 「俺は少なくとも恋人に嫉妬されると嬉しいんだ。野村の恋人がどうかは知らないけど嫉妬したって言っていいと思う」

 結局それだけいって、四賀先輩は去っていってしまった。

 いや、てかマジで四賀先輩の恋人って誰なんだろう…。

 まぁ、いいや、それはひとまずおいておこう。

 ……嫉妬したなんて恥ずかしいけど章に言ってみよう。

 その後、章に嫉妬したと告げれば、「弥生ってばかわいー。大丈夫、俺が好きなの弥生だけだから」と抱きつかれた。

 可愛いって何だ、可愛いって。章のが可愛いし。

 ついでに章にならいいかって事で四賀先輩の恋人の事を言ったら、凄いテンションをあげていた。

 「四賀先輩に恋人居たの!? 誰なんだ。素敵な受けっ子と付き合ってるのかな。

 背が低い子と四賀先輩だったら身長差カップルで…ブツブツ」

 何だかまた暴走し始めたけど、「俺を放置するな」と言ったら「ごめんごめん」と謝りながらも嬉しそうにしていた。

 俺の恋人は腐男子で、結構カップルに夢中になって仕方がないけれど、俺の事をちゃんと好きでいてくれる可愛い恋人だ。




end



野村弥生。

バスケ部一年。ちなみにこいつが言ってるレギュラーの一年が王道でいう爽やか君。

バスケが好きで、義樹に憧れてる。そこそこの美形。


来栖章。

弥生の恋人。腐男子で、会長の恋人は誰だと萌えてる。

でも、義樹が恋人だとは思ってない。恋人の事は好きだけど萌えでちょっと放置してしまう時がある。



義樹と弥生を絡ませておきながら気付かない様子を書きたかったので、こうなりました。

バスケ部エースで運動神経は良いので平凡顔でも時々告白されます。

会長が居るので断りますが。



そして会長は義樹だけは特別なので、普通に嫉妬します。

義樹は嫉妬されたら自分だけが会長の特別なのが嬉しくてたまらないのです。


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