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狼は牙を隠してそこにいる。 2

 「鎌田君ってばー、そんな睨まないでよ? 何何? 猫田君と俺が仲良しだから睨んでるの? 溺愛ぷまい。ぜひぜひ馴れ初めを聞きたいなー」

 「……エイ、こいつは何だ。お前の同種か?」

 「うん。腐男子仲間の鈴木一雅だよ」

 ああああ、猫田君の笑顔に頬を緩ませてる鎌田君。おぉ、萌える。

 ちなみに、この前仲良くなった猫田君に彼氏である鎌田篤を紹介してもらったわけなのです。

 不良×平凡とか、何その萌え。

 冬季と会長様の、平凡×男前も萌えるけど、こっちもいいよね!!

 「そうだ、猫田君、俺今からFクラス遊びに行くんだけど、一緒いかないー?」

 「は? Fクラス!? そんな危ない所に永をやれるか!!」

 鎌田君は驚愕した目でそう告げた。なんだろう、溺愛だね。

 「溺愛ぷまいです。ごちそうさま! 心配なら一緒きたらいいじゃん、鎌田君も! 仮にも不良のはしくれでしょー? 大体俺のお友達には手出させないしー」

 それでも、と色々言ってる鎌田君に、「俺はお強いのですよ! 俺に任せなさい」と行ったら信じてもらえなかった。

 クソッ、俺が平凡だからって!!

 もう、俺も冬季も平凡だからってなめられるんだよなー。だから元ヤン時代二人して髪染めてたわけだけど。

 髪染めてサングラスかけてるだけで大分色々印象ちがうしね。

 とりあえず、鎌田君を言いくるめて、二人を連れてFクラスにいっている俺であった。

 猫田君が少し緊張してるのか、鎌田君の手を掴んでて、それで鎌田君が安心させるように握り返してるのに萌えた。

 本当、不良攻めってすばらしいよね!!

 「あれ、一雅君、そいつら誰?」

 「誰か連れてきたのか、鈴木さん」

 「俺のお友達とその彼氏だよ。冬季達何処居る?」

 「いつも通り屋上ですよ」

 「あ、やっぱり? 冬季達って本当屋上好きだよねー」

 のんびりと会話を交わしながら、俺は少し顔をしかめている猫田君と鎌田君を連れて怯むことなくFクラスの校舎内を歩いていく。

 そんな中で、

 「一雅!」

 紫苑が飛びついてきたから、避けた。

 「何で避けるんだ!!」

 「ふはは、俺は腐男子受なるものになる気は一切ないからだ。紫苑はあれだ、Fクラスの不良共か一般クラスの可愛い子を攻めればいいんだ」

 「いやだ!俺一雅が欲しい」

 「だから、俺を口説くのはよしてくれよ」

 紫苑にそんな言葉を返す。

 俺はノーマルだ。腐男子受なるものになる気は一切ない。そんなものにはなりたくもない。

 できれば彼女が欲しい。

 そして紫苑には、誰かと絡んで攻になってほしい。

 「こ、これは腐男子受!? 不良に攻められる見た目平凡中身非凡な腐男子とか何それおいしい…」

 …猫田君、俺で妄想しないでー。

 「か、川上紫苑!?」

 「あ? 一般クラスの鎌田じゃねぇか。Fクラスに何の用だ」

 「紫苑、この子、俺のお友達の猫田君。で、鎌田君は猫田君の彼氏。俺と同じで腐ってるから冬季達みに来たんだ」

 「ふぅん」

 マジマジと猫田君を見る紫苑。脅えてる猫田君可愛い。

 ああ。俺脅える受とそんな受を愛する攻とか好きだ。

 どっかに落ちてないかな、あの「俺と付き合え、イエスかはいしかみとめねぇ」っていう不良と、脅えながらも惹かれていく平凡君。

 「一雅、冬季と会長ん所行くんだろ、俺も行く」

 「うん、それはいいけど、この腰に回ってる手はなんなのかなぁ?」

 「いい加減俺のものになれよ、一雅」

 「いーやーだ! 俺はノーマル。完全なるノンケ! そういうのはもっと可愛い受の子にしてくれ」

 俺は全力で否定した。そんなものになってたまるか。

 「何この萌える光景! 鈴木君、フラグ立ってんなら流れちゃいなよ! 僕凄く腐男子受みたい!!」

 「い・や・だ!」

 「一雅、こいつもいってるし――」

 「紫苑、しつこいと怒るよ、俺」

 「…ごめん」

 あ、何か紫苑がしゅんってなってる。

 恐れられてる不良の癖にわんこっぽい属性持ってるからなー紫苑って。怒ったら、怖いけれど。

 まぁ、仮にもこいつFクラスの幹部だしなーなんて思いながら紫苑を見る。

 うん、美形で不良とか何ていい攻要員。これで俺以外とフラグたってればいいのに。何故にこいつは俺に…と残念で仕方がない。

 「とりあえず、冬季ん所いこ」

 俺がそういって歩き出せば三人は頷いて、そしてついてくる。

 鎌田君が紫苑にビクビクしているのを見ると何だかうける。一般クラスではあんなに粋がってるのに紫苑の事は怖いんだなーって思うと笑える。

 そうして、三人を引き連れて屋上へと到着する。

 「冬季ー!! 友達連れてきた」

 勢いよく屋上の扉を開けて、声を上げる。

 扉を開けた先には、いつも通り、屋上でのんびりとしている冬季と会長様が映った。

 「友達?」

 冬季が、そんな言葉と共に猫田君と鎌田君を見る。

 「一般クラスの不良と友達なの?」

 「いやー、それは友達の猫田君の彼氏。不良×腐男子って何そのおいしいカップルって感じ」

 「そんなに不良と腐男子のカップルが好きなら自分で経験すれば?」

 「い・や・だ! 毎回いってんじゃん、俺はノーマルだと!!」

 全く、俺は染まるつもりは一切ないといっているのに。

 猫田君も、そんな期待した目で俺を見ないでくれ。

 冬季×会長様っていう素晴らしいカップルが目の前に居るんだからそっちを見てと言いたい。

 「…相変わらず鈴木は何いってるかわかんない」

 「ゆき、一雅の言葉理解しない方がいいよー? ゆきはそのままでいいからね?」

 それにしても冬季って本当会長様には優しいってか、甘いよなぁ。溺愛素晴らしいと思います。

 「鈴木君、鈴木君! この人が会長様の彼氏!?」

 「うん」

 「平凡×男前だね、本当に。ヤバいヤバい、萌える。って、この人がFクラスのトップとか本当にギャップ萌えって素晴らしいと思う」

 猫田君はさっきまで震えてた癖に、すっかり興奮しきっていた。

 キラキラした目で冬季と会長様を見据えている。

 「そいつも一雅と一緒かよ」

 「そうそう!

 猫田君、冬季って平凡でしょー? でも滅茶苦茶強いんだよ。これぞ、見た目平凡中身非凡の大成だと思うわけ。

 それに加えて平凡攻ってのが超萌える」

 「…お前も非凡だろ。たくっ、昔はこんなんじゃなかったのにな、お前」

 俺の言葉に、冬季は、呆れたような目をこちらに向けてきた。

 隣に座る会長様が、相変わらず不思議そうな顔してて何か可愛い。会長様ちょっと天然っぽからなー。男前なのに。

 「そりゃあ、俺が腐ったの、高校入ってからだし?

 いやー。BLって本当素晴らしい」

 「Fクラスのトップ!? その平凡が?」

 何か鎌田君が、ようやくトップという言葉に反応したのが冬季に向かって叫ぶ。

 ちなみに猫田君はというと悶えてる。

 それだけ冬季×会長様カップルが素晴らしいって事だよね。

 「あ? 平凡平凡って平凡で何が悪いわけ?」

 「そうそう、冬季は平凡だろうとFクラス最強だぜ? 寧ろ一般クラスにいるような雑魚がそんな口聞いてるのもな? なめられてる感じだよな」

 冬季が不満そうに眉をひそめて、紫苑も鎌田君を見て言う。

 平凡だからって舐められるの俺も嫌いだから、平凡だから強く見えないみたいに言われんの本当嫌い。

 見た目が不良らしくなかろうと、冬季って本当中身は不良で喧嘩上等だしね。

 「――っ」

 冬季と紫苑に睨まれて、びくっとなる鎌田君。

 うん、やっぱり雑魚だよね。一般クラスの不良って。

 そういえば、親衛隊に何回か呼びだしくらった時に不良いたけど思いっきり返り討ちにしたんだよなー俺。喧嘩すんの久しぶりだったな、それにしても。

 「ね、舐められるのいやなら、喧嘩してる姿でも見せれば?」

 「あー、それはいいかも。丁度町に出て潰したいチームあんだよな。この前町に出たけどカツアゲしようとしてきたからさ」

 「えー、冬季にカツアゲとか何その勇者」

 「もちろん、ボコったんだけど、俺の事探してるらしいから、潰しに行くかなと。それにそいつ連れてけば一番よくね? あと、一雅もくれば?」

 「いいね、超楽しそう。俺最近親衛隊の子に呼びだしくらってめんどーいって感じだからいいストレス発散になりそう」

 相変わらず潰すなんて台詞をさらっという冬季だなと思った。

 冬季って喧嘩好きだしね、もちろん俺もだけど。だって暴れるとスッキリしない?

 「…冬季、喧嘩はいいけど、怪我しないようにな?」

 「もちろん、俺の心配してんの? ゆきかわいー」

 「……冬季はいつだってかっこいい。喧嘩してる姿もかっこいい」

 あー、会長様が照れてる。

 いいよねー。男前受って。俺滅茶苦茶好きだよ。

 というか、冬季×会長様を見てたら好きになった。

 「萌える…。ああ、素晴らしい」

 猫田君なんて凝視してそんな事いってるし。まぁ、気持ちわかるけどさ。

 「…お、俺に一緒にいけと?」

 「そう。俺の事信じらんないんでしょ? なら、きなよ。つか、強制で連れてく。俺なめられんの大嫌いだから」

 「一雅行くなら、俺も行く!! つか、Fクラスの奴連れていこうぜ。あいつらも暴れたいだろうし」

 どもっている鎌田君に、にっこりと笑う冬季に、ギラついた目を浮かべる紫苑。

 ―――俺も久しぶりのマジ喧嘩が出来るかと思うと、何処かわくわくしてきた。

 なんつーの、血が騒ぐみたいな?

 俺大人しくしてたけど、喧嘩好きだしね。

 一般クラスの、親衛隊が連れてきた不良何かとやるのは物足りない。

 やるなら、もっと、強い連中と――、その方が楽しい。

 ――ああ、楽しみだな。

 俺はそう思って、口元を緩めるのだった。


end



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