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目当ては彼ではなく、君です。 2

 「……雪野様、ご機嫌ですね。弟君と進展でもありましたか」

 今、俺は親衛隊隊長の佐竹と食事中である。佐竹は俺に様付けだけど、割とフレンドリーで結構仲が良い。

 普通に俺も友人と思ってるし、親衛隊はうまく使えば使い勝手のいい駒で便利だ。

 会長達もバカみたいなことせずに、利用しまくればいいのに。

 そもそもアイツら最近仕事放棄してるんだっけ? どうでもいけど。

 「達哉君が週末に可愛かった。あとメールの絵文字とか顔文字可愛い」

 「…そうですか」

 「ああ。本当、あの子欲しい」

 「まぁ、俺達は応援してます」

 「俺の親衛隊は素直でいいな」

 「……手を出したらあんた潰すでしょーが。腹黒な事皆知ってるんですよ?」

 そうそう、前に普通に仲良くしてる友人に制裁しやがったバカが居たからちょっとお仕置きしたんだった。

 それですっかり俺の親衛隊は大人しい。

 友人とかに手を出されなきゃ別にいいしな。

 ああ、ちなみに力哉は友人じゃなくてクラスメイトだけどな。俺の友人って佐竹も含めてそんなに居ないし。

 力哉みたいな自称親友とか自称友人なら多いかもだけど。

 「はっ、当たり前だろうが。親衛隊だかなんだか知らないけど、俺の交友関係に手を出されてたまるかってーの」

 「…それ、素を知らない人間に知られたら幻滅されそうですよね」

 「勝手にすればいいだろ? 第一、お前ら親衛隊って俺がこんな性格だろうとやめる奴もいなかったんだろ」

 「……寧ろ『皆が知らない雪野様!』とか『そんな姿もかっこいい』とか『ギャップ萌え!』とか何だか皆騒いでましたよ」

 佐竹が苦笑を浮かべながら言う。

 というか、最後の奴腐男子? そういうのが親衛隊に入るのって小説とかじゃなくてもあるのか。

 友人の腐女子も『私が男だったら――』とか言ってたしな。

 「ま、ちゃんと躾られてんならいいぜ」

 「…新しく入ってくるメンバーに説明するの大変ですけど」

 「それも隊長の仕事だ」

 「はぁ、まぁ責任持って僕らは坂本達哉君を守りますね。でもあの兄の方への鬱憤は凄まじいんですけど」

 佐竹は有能だ。親衛隊をきっちりまとめてくれているから、達哉君に制裁がいかない。

 「力哉への?」

 「はい。雪野様が弟君を思っている事はわかってるのですよ。

 親衛隊のメンバーもそれなら仕方がないと思っているみたいなんですけど、兄の方は雪野様が望んでないのに親友面をしているでしょう。

 それで皆、凄い怒ってまして…」

 それを聞いて、あー、と思う。

 ちなみに俺はあまりにもうざいストーカー染みた奴は親衛隊に排除させたりしていた。

 そしたら俺は悪者にならず、親衛隊が勝手にやったって事になって学園での評価も下がらないしな。 

 親衛隊の奴らも交流はきっちり取ってるから、頼めば割とそういう事はしてくれる。

 というか、友人とか以外に手を出すのは俺は別にどうでもいい。

 奴らは力哉の事制裁したくて苛々しているらしい。

 「んー、一応やめなよっていっといて。

 会長達ってば、親衛隊解散させたいって動いてるみたいだし、制裁したら解散されるぞ?」

 「あー、言えてますね」

 その佐竹のため息交じりの表情は、制裁出来なくて残念とありありと見えた。

 こいつは性格が悪い。

 俺に近づくから許せないというか、誰でもいいから苛めて憂さ晴らししたいという性悪だ。

 こいつはノーマルなために、男同士のラブラブを見せられてるのにストレスがたまっているらしいのだ。

 それで誰かを苛めようと言う気満々で俺の親衛隊に入ったという変人だ。

 「お前らは使えるからな。解散されても俺も困る」

 「そうですね。僕もストレス発散の場をなくされるのは勘弁したいものです」

 「それか嫌がらせしたいなら、他の親衛隊けしかければいいだろ。

 生徒会の親衛隊けしかけて、制裁させればいい。それで生徒会の親衛隊解散とかになってあの馬鹿生徒会達が酷い目にあうのでも見てわらっとけば?」

 「それもいいですねぇ。というか、雪野様って生徒会嫌いですよね。

 確かに馬鹿だけど。仕事も補佐の連中が必死にやってるみたいですし」

 佐竹はそういいながら楽しそうだ。

 今の生徒会は成績で任命される補佐達によって運営されている。

 色々大変らしいよ。力哉の被害が。

 「当たり前だろ。あいつら達哉君の事苛めるし。

 そもそも性格が好きじゃねぇし」

 本当、あんな可愛い達哉君に「力哉につきまとうな」とか言うなんて馬鹿じゃねーの。考えただけで苛々してきた。

 「まぁ、僕も生徒会は好きじゃないですけど。大体あの馬鹿会長、このノンケな僕にセフレになれとかふざけた事ぬかした事あるんで」

 佐竹は背が低いし、女の子のような可愛い見た目をしている。

 そのためこの学園に入ってから「抱かせろ」だの周り煩かったらしいから。で、あの馬鹿で可愛い&綺麗系の生徒に見境がない会長に誘われたことが昔あるらしいのだ。

 「あー。佐竹可愛い系の顔してるもんな」

 「はっ。男に可愛いとか言われても気持ち悪いだけですよ。

 綺麗なお姉さんにそんな事言われるなら大歓迎ですけど」

 気持ちはわからなくもない。

 俺もバイだし、綺麗なお姉さん相手ならともかく男相手に可愛いと言われるのは嫌だ。

 あ、達哉君にかっこいいって言われるのは大歓迎だけど。

 「ま、放っておいていいんじゃね? どうせあいつらに待ってるのは破滅だろ?自業自得だしさ」

 「……そうですね。雪野様は部活にもちゃんといってますし、授業も受けてますけど他は…駄目ですもんね。

 つか、あんたどうやってあのバカから逃げてるんです? ま、それは弟君にも言えますけど」

 「まず力哉のいう事に頷きながらも話題を変える事だな。

 反発するとあいつ馬鹿だから暴力に走るし。

 達哉君は生まれた時からの付き合いだからその辺少なからずわかってるんじゃね?」

 達哉君は休み時間とか放課後は逃げられないで捕まってたりするが、授業は流石にサボるわけにはいかないと必死で振り切って受けている。

 ま、力哉の誘いを断る際に頑張ってるみたいだけど、取り巻き連中は「平凡が力哉の誘いを断るなんて」とかふざけた事抜かしてたけど。

 俺にもあいつら力哉の誘い断ると少し煩いけどさ、ぶっちゃけ顔で判断しすぎでなんつーか、あいつら馬鹿だよな。

 世の中で顔が全てなわけじゃねーし、あいつらより家柄いい平凡顔の人も俺知ってるし。

 そう言う奴には「平凡がっ」とか言わないあたり何だか本当馬鹿らしい奴らだよなーとは思う。

 「風紀委員長とか幹部も落ちてるのが、なんかありえないですよねー」

 「そうだな。副委員長が必死に頑張ってるっぽいな。それでも制裁をなくすにまでは生き届いてないけど」

 生徒会同様こちらも仕事放棄してて、副委員長が必死に色々やってるらしい。

 集めた噂話の中には、副委員長が風紀委員長に恋愛感情を持っているってあったんだけど。

 副委員長って真面目で馬鹿ではないけど見る目ないなと思った。

 「ま、その内生徒会と風紀はリコールは確実だろ。

 で、一匹狼君は暴力事件起こしすぎだし退学間違いなし。親の力だろうと流石にごまかせないだろうしさ」

 馬鹿な連中が自業自得なあり様になるのをそうぞうするといい気味と思って仕方がない。

 だってなぁ、馬鹿らしいし、達哉君にひどくあたってるしさ。

 正直性格的にも好きじゃないし、あいつら嫌いなんだよね。

 「そのうちリコール騒ぎになるでしょうけど、雪野様にまで火の粉がかかってきたらどうするんですか。

 周りからすれば雪野様も転入生の取り巻きですからね」

 「はは、何その冗談。第一、周りが俺を責めようっていってもできないだろ。

 俺は部活もきちんといってる。授業も単位が足りてる。親衛隊も管理してる。

 力哉に俺の事で何かやってるやつがいるっていうなら親衛隊以外のファンだ。

 そういう『親衛隊のせいにしよう』って馬鹿はお前がどうにかするだろうし、何も問題ない」

 俺は確かに力哉の周りに少なからずいるけど、それは力哉の誘いを否定していないだけだ。

 別に周りに侍ってるわけじゃない。しいていうなら達哉君に興味がある下心で近くにいるだけだし。

 力哉に俺が近づいてるって周りに認識された方が達哉君に迷惑かからないしな。

 腐女子の友人の「アンチ王道」みたいに俺は部活をさぼってるわけでもないし、暴力沙汰とか馬鹿げたこともしてない。

 むしろ親衛隊に達哉君を守らせてたりする。

 それで責められるものなら責めてみろと思う。

 やらなきゃいけないことやってるんだから誰にも文句言われる筋合いはないからな。

 笑う俺に佐竹は呆れたようにだけど面白そうに笑みを返す。

 本当いい性格してる。

 これだから俺は佐竹の事友人って認めてるんだけど。

 そうして話していれば、佐竹のスマホが鳴った。

 「ちょっと出ますね」

 そういって佐竹はその場で電話に出る。

 「ああ。そうですか。わかりました」

 相手のいっている声はこちらには聞こえない。

 ただ佐竹の返事が聞こえるだけだ。

 「貴方の大事な弟君が生徒会の連中に絡まれてるそうです」

 電話を切った佐竹はそんな事を言った。

 俺はそれに立ちあがる。

 達哉君が馬鹿達に絡まれてるなら助けないわけにはいかない。

 佐竹達には親衛隊からの制裁から達哉君を助けてもらってるけど、流石に生徒会とか風紀とかから助けるのは難しい。

 何か言いがかり付けられても面倒だし。

 だから俺が行く。

 それに達哉君に俺に気をもっと許してもらいたい。

 寧ろ味方が俺だけって状況になった方が俺的にはいい。

 俺は達哉君が好きだから、出来たら恋人になってうんと甘やかしてあげたいから。

 こういう状況で俺だけが達哉君に優しくして、親衛隊に達哉君を助けるように指示してるんだから落ちてくれないかなーと思ってる。

 まともに動いてる風紀達も達哉君を守ろうとしてても上手く動けてないしさ。

 俺は達哉君が欲しいんだから、なるべく利用できるものは利用する。

 弱ってる所につけこんででも可愛い達哉君の事欲しいしな。

 佐竹と別れてから、さりげなく達哉君を連れだした。

 生徒会もさ、力哉に盲目的でマジ馬鹿だから軽く交わすぐらい簡単なんだよな。

力哉が寂しがってるとかいったらすぐどけるから本気で馬鹿。

 「助かった、ありがとう、雪野」

 そういってお礼を言う達哉君は本当可愛かった。

 少し仲良くなれたから達哉君、俺に笑ってくれるんだ。

 もっと気を許してくれたら、俺が好きなの達哉君だよって言おう。

 俺はそう思うのだった。






end



和希以外の取り巻きはアンチ王道展開を突っ走り、破滅間近だったりします。


仕事放棄して暴力にはしったりしてるので。



和希は部活にも授業にも出てて親衛隊も統一してるちゃっかりな奴なので「責められるものなら責めろ」と思ってます。



佐竹

ノーマル。でも可愛い顔立ち。

自分の美少女顔が嫌い。生徒会とか大嫌い。

和希とは友人だけど一応親衛隊なので「雪野様」と呼んでる。


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