俺の弟分は一人だけです。
年上主人公
二度目に入学した高校はちょっとアレだった。
いやー、何このホモとバイがわんさかいるの。
いや、俺もバイだから偏見はないけどさ。
ぶっちゃけ、今一番気にいってる奴男だし。
男同士で強姦とか何この学校。つか、学校として間違ってね?
と思う俺は今、二十歳。
ちょっと高校時代に、族やってて、いざこざで刺されちゃって、しばらく意識不明で高校に通いなおしてる。
だって、高卒資格ぐらいないと、困るし。
で、まぁ、俺族時代滅茶苦茶暴れてて、この学園、族多くてさ。
俺にあこがれてる奴らとか居るらしくて、面倒だから軽く目立たないようにしてる。
族時代は髪染めてサングラスかけてる感じで、派手な外見だったけど、今は髪を黒くして、眼鏡かけて根暗な感じにしてる。
両方の姿知ってる知り合いなんて、え、お前誰っていってきたから。
しかし、地味に過ごそうとしたらバレないもんだね。
チームに入れてくださいだの、弟分にしてほしいだのいってた連中結構わんさかいるけど。
流石、俺って感じ。
仕草まで結構変えてるし、喧嘩しないように心がけてるし見事一般生徒と同化しているっていう。
大体弟分なんてそんな要らないしなー。一人しかいない。
つか、そいつが一番のお気に入り。めっちゃ可愛い。男だけど。
どうせなら、あいつがいる高校に入学したかったけど此処に入学する事に決まっちゃったからなぁ…。
のんびりとさっさと高卒資格手に入れて進学するかどうか決めなきゃな。
とか、思ってたら、何だか転入生がやってきた。
転入生が何故か、俺の弟分を名乗っている。何故だ。
「俺は『銀狼』さんの弟分なんだ!!」
とか喚いてるけど、弟分なら本名ぐらい知っとけよ。ちなみに『銀狼』とは俺の事である。
つか、お前なんか記憶にない。
そもそも、俺って人の名前と顔覚えるの苦手だから、この学園で会ったことある奴らもうろ覚えで名前は覚えてないし。
転入生は何故か、カツラ被ってるマリモだし。つか、変装にしろもっとやりようがあるだろう。この俺みたいに。
第一、俺の弟分はお前の100倍可愛いと断言できる。
さて、目立ちたくないし、どうしようかな。
つか、そいつに取り巻き出来てんのが謎だ。
俺目当てと、実際に惚れてる奴いるらしいけど…。
俺目当てな奴は、俺がこんな汚いし煩いの弟分にすると思ってたのかと聞きたい。
つか、俺を探してるなら変装してても気付け。
あいつなら気付くぞ。変装して会いにいってみても一発で気付いたし、流石。本当可愛いわー、あいつ。
そして、転入生に惚れてる奴は何なんだ。趣味悪いのか。
何で、美形ばっか惚れてるのか謎だし。
あーあ、どうしようか。俺の弟分勝手に語るなよと呆れる。
自称弟分って何か痛いな、オイって気分になる。
「転入生うっせぇなぁ」
ボソッと思わず暴言を吐いてしまう。
だって、本当煩い。『銀狼』、『銀狼』って俺の事語ってるけど、何お前ストーカーなの? 的な感じで俺の事語ってる。
ぶっちゃけ、気持ち悪い。
地味な一般生徒として通ってるし、当たり障りのない交友関係しか結んでない俺はふぅとため息を吐いた。
俺煩い奴嫌いなのに、マジでこいつなんなわけ?
正直そんな思いしかわかない。
し・か・も――、
「なぁなぁ、お前何ていうんだ!!」
俺が何で自称弟分何かに絡まれなきゃいけねぇわけ?
俺目当てで転入生追いかけてる奴らは俺の居場所聞きたくて付きまとってるだけ で、転入生にいい感情持ってないからいいけど、惚れてる奴らがウザイ。
何、俺の事超睨んでんの?
あー、ウザイウザイウザイ。邪魔、こいつら。
俺は平穏に学生生活を送りたいってのに。
「…………」
面倒だからさっさと去ろうと思って転入生達に背を向けるが、
「なぁなぁ、何で無視すんだよ! 俺が名前聞いてんのに」
何このバカは俺の腕を掴んでやがるんだよ!!
つか、どんだけ、力強いのこいつ。マジうざいんだけど。マジキモいんだけど。マジ邪魔なんだけど。
「……離してくれない?」
「なぁなぁ、名前は!?」
「おい、そいつ嫌がってんだから離してやれよ」
「何してるんだ、お前…」
ウザったい転入生と違って呆れたように転入生を見ているのは一匹狼君と会長だ。
名前は興味ないし、覚えてないけど見たことがある顔だってのはわかる。
こいつら、よくたまり場来てたしなぁ、何て思って懐かしくなる。
可愛いあいつを弟分にしてからますます「俺を!!」って煩かったし気付かれたらめんどくさい。
「何でそんな事言うんだよ!! 桔、東助!!」
ああ、そういえば、そんな名前だったっけ。
「そうですよー、離さないと駄目ですよ? この子は嫌がってるでしょう?」
「「僕らの太郎ちゃん嫌がるなんて、この平凡なんなわけー?」」
「そうそう、俺っちの太郎ちゃんなのにー」
てか、名前ダサイな転入生。
そして、双子と会計、これにガチで惚れてるってキチガイか。
ちなみにのびのびとした離し方をしているのは風紀の副だ。こいつも顔だけは覚えてる。
風紀委員長と生徒会副会長は此処にいない。
どっちも知った顔だったけど、特にこの転入生を追い回してはいないらしい。
「何でそんな事いうんだよ!! 俺がこいつと友達になってやろうってしてるだけなのに!」
お前みたいな友達いらねーよ。
「こいつ、暗いしきっと人となじめなかったんだ! 人との付き合い方わからなくてはずかしがってるだけなんだ! なぁ、俺が友達になってやるから、名前教えろよ」
黙れ、クズ。
何、この俺が友達がいなくて人づきあいがわかってねぇ、根暗野郎と認定されてんだ、バカか。
「いや、明らかに嫌がってるだろ?」
「……本当に貴様、『銀狼』さんの弟分か?」
あ、一匹狼君と会長がうんざりしてる。
しかしその結論は正解だ。だって俺こんなのしらねーもん。
「な、何でそんな事言うんだよ! 俺が嘘ついてるっていうのか!? 証拠見せただろ?」
「「そうだよー。太郎を疑うなんて会長達さいあくー」」
「太郎ちゃんは優しいもんねー」
双子と会計も見たことある気がするが、マジでキチガイかこいつら。
こんなのにガチで惚れてるって超趣味悪い。
つか、証拠って何だ転入生。
ちなみに此処は中庭だ。昼休みに静かな中庭で食事をとって、帰ろうとしたら遭遇したのだ。
「確かに、見せてもらったが……」
「ほら、これ、『銀狼』さんが持ってた奴と同じ奴だろ! 俺がもらったんだ!!」
何ていって、耳を見せる転入生。
確かに、そこには俺が今現在もつけている赤いピアスと同じもの(髪で隠れてて見えない)があった。
特注品だったけど、作ろうと思えば誰でもおなじものつくれると思う。
つか、あいつが一緒がいいっていうからおそろいのピアスつけてるだけで、俺のピアスはつけっぱなしだ。
何、もらったとか嘘吐いてんだ、こいつ。
「本当なのか…?」
訝しそうに転入生を見る一匹狼君。
「本当だ、俺『銀狼』さんの事何でも知ってる!!」
オイ、転入生手を離せ。
そして何でもしってんならこの俺に気付け。
「『銀狼』さんは、銀色が好きで髪を銀色に染めたんだ。そして、辛いものが好きで、大好物がマーボー豆腐で、右肩い刺青があって――」
……いやいや、キモイキモイ。ストーカー?
そして、銀色に染めたのは俺が好きだからじゃなくてその当時憧れてた人(女、恋愛感情ではなくただ単に女のくせにかっけーなと思ってた)が銀似合うっていうから染めただけだし。
確かに刺青あるし、マーボー豆腐好きだけど。
「あーっと、離してくんない?」
どうでもいいから離せ。
邪魔、邪魔、邪魔。つかキモイぞストーカー。
俺の中で自称弟分+キモイって時点で株下がりまくりだ。
ああ、アイツに会いたい。癒されたい。
「何だよ、何でそんな、俺は『銀狼』の――」
「いや、君が誰の弟分だとか関係ない。親衛隊とかに絡まれるのもいやだから、離してくれない?」
苛々して怒鳴りつけてやりたいけれど、生徒会達に俺の事バレるの面倒だから我慢して猫かぶってる。
ああ、だるい。
速く離せ。正直学園がどうなろうともどうでもいいんだ、俺は。
親衛隊がこいつのせいで荒れていようとも俺に危害が加わらないなら。
「何で、そんな事言うんだ、最低だ!」
だけど、そんな風に拳をふるわれちゃ、黙ってはいれない。
拳をガシッと掴む。
「な、何で殴られないんだ! この俺が――」
「黙れクズ」
流石にむかつきすぎて、思わずそんな声が出た。
あー、だりぃだりぃ、だりぃ…。
周りが驚いたようにこちらを見ているのを見ながら、俺は口を開く。
「ざけんなよ。この俺に迷惑かけんじゃねぇよ。ウザキモ宇宙人が。大体てめぇは何でも知ってるとかストーカーかつーの、ガチでキモすぎだろ。こいつに惚れてる奴に関してはマジキチガイ。こんなのに惚れてる時点で頭おかしすぎだし、マジうざいマジうざい」
そもそも俺の弟分名乗ってる時点でいらつく存在なのに、何この超わりぃ性格。
「俺にそんな事言うなんて『銀狼』が――」
「あ? 出てくるってのか? はいはい、で? つか出てくるわけねぇだろ。お前バカか。大体クソ毬藻は弟分何かじゃねぇし。自称弟分とかキモすぎ。うそついちゃいけないんだぞっていってんなら嘘吐いてんじゃねぇよ」
そもそも、俺がその、『銀狼』様だっつーの。
この転入生に手を貸す義理もねぇし。
ま、本当の弟分のアイツが何かあったなら即叩き潰すけど、害虫を。
「な、何で自称なんて、証拠あるのに!!」
「それは、証拠っていわねーよ。特注だろうと、作ろうと思えば作れるもんだし。
そもそも、弟分にやったんじゃなくておそろいをつけてるってのが真実だし、何?お前バカなの? 中途半端すぎるし、第一銀髪だったのは、似合うって言われて染めただけだし」
本当にバカだよなーと思いながらべらべら勢いで喋る。
うん、だってむかつくしな。
こいつ、超めんどくせーと思いながら放った言葉に反応したのは、会長達だった。
「お前、あの人を知ってるのか――!?」
「あの人は何処に――」
「知ってるんですか!?」
「何、嘘ついてこの平凡って感じなんですけどー」
「「太郎が嘘つくはずないもん」」
つか、一匹狼君に会長に風紀の副は目の前に居ながら気付かないあたり駄目だな。
後ろ三人は完璧バカだ。
「そうだぞ! 嘘なんてついちゃいけないんだ!!」
「は? てめぇが嘘ついてんだろーが。
つか、会長達は目の前に居てもきづかねぇってバカか」
そんな返事を返しながらも、無造作に眼鏡を投げ捨て、長く伸びた髪をかき分ける。
――そうして、現れた俺の顔に、周りは固まった。
「『銀狼』、さん!?」
「え、は? 年下? 此処の生徒!?」
「えぇええ?」
「「……え?」」
「……え?」
「……っ」
驚いたような面々+俺の顔を見て青ざめる転入生。
はっ、滑稽だな。
「で、俺はそこの転入生何かしらねぇんだけど?
あと俺は高校二回目だ。一回中退したから通いなおしてんだよ、今二十歳だ、二十歳」
「やっぱり、こいつがいってる事嘘なんですか?」
一匹狼君がそういって、転入生を睨む。
「ああ。こんなのしらねぇよ。俺の弟分はこいつの100倍可愛いし。
つーわけで、とりあえず、こいつ邪魔だから学園から消してくんない?俺、こいつの存在が不愉快なんだな」
そういって、ニヤリッと笑えば、会長達はすぐに行動に移した
結果として転入生はすぐに追い出された。
転入生に惚れていた双子と会計は対抗したらしいけど、会長達に勝てなかったらしく大人しくしている。
それは、いいんだけど――、
「時雨さん!!」
「俺を――」
毎日のように俺の元にやってくるのはやめてほしい。
ああ、そもそもバレたくなかったのに、面倒だから転入生の対応会長達にまかせて帰ったら、次の日に会長達が俺の教室に押しかけてきたんだ。
それで、バレた。
周りからは注目されるし、会長達しつこいし、うぜーってーの。
「流依、俺猛烈にいやしが欲しいから、こっち転入して来ない?」
『もちろん、行きます、時雨さん!!』
というわけで、いやしが欲しかった俺は可愛い弟分を学園に呼ぶことにした。
全く、流依は可愛い奴だ。
end
時雨
伝説的な人。『銀狼』と呼ばれて、総長やってた。
我が道を行く自己中的な考え。
流依の事が一番お気に入りで可愛がってる。節操はない。結構気にいったら誰にでも手を出す。
流依
時雨大好き。時雨の弟分認定されてる可愛い美少年。でも喧嘩は強い。
猛獣的な感じで暴れたら結構止まらない。
時雨→←←←←流依みたいな感じ。