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無表情な君に愛をそそぐ。

 「――ねぇ、青葉君。今日は僕と」

 「俺とヤらせてくれよ」

 毎日毎日言われる誘いの声。

 そして、それに乗る俺。

 最中に、愛してるとか言う人もいるけれど、何だかなぁと俺は思う。

 愛って何だろう。愛してるって何なんだろう。

 喘がされる時も、自分が相手につっこむ時も、最中に思ってるのはただそんな疑問だけ。

 わからないから、知りたいと思う。

 そんなもの持ってないから、欲しいと思う。

 だから、誰からの誘いにも俺は乗る。

 でもそんな行為をしても、結果として俺が満たされる事はなくて、結局愛って何なのかわからないまま。

 本気で愛してる、とささやかれてもそれを嬉しいとは思わない。

 本気で好き、と言われてもそれを嬉しいとは思わない。

 目を閉じれば脳裏に浮かぶのは、俺の義理の兄とその恋人の姿。

 愛しそうに互いに寄りそう姿は、俺の求めるものそのものだった。

 ――俺はヤっているだけなのだ。そこに、愛情はきっとない。

 義理の兄は家族愛は持っていないけど、愛しい恋人は持っている。

 俺は養子だ。

 あまりにも、義理の兄が無能だったがために家のためにとられた養子―――それが、俺。

 義理の両親は、俺に有能さを求めるいるだけ。

 義理の兄は無能が故に、それさえも求められない。それが気に食わないのか、義理の兄は俺を嫌っている。

 恋人に泣きついて、”何で、俺があの人達の本当の子供なのに! お前ばっかり”と嘆いてた義理の兄。

 そんな義理の兄は抱きとめて、俺を睨みつけていたその恋人。

 俺を羨ましい、とでも思ってるあたりが、滑稽だと思ってその時笑ってしまい、恋人に殴られてしまった。

 ”お前、何笑ってやがる――!! こいつが泣いてるっていうのに”

 義理の兄に問いたいよ、俺が幸せに見えた? 羨ましいって何が、ってそう聞きたいよ。

 そもそも、俺は実の家族に売られて家に居たんだ。

 借金をしていたうちの両親は、お金のために俺を売ったんだ。

 それで、どうして幸せだと思う?

 新しい家の家族は俺自身なんて見ていなかった。義理の両親は俺の能力に期待しているだけ。

 無理やり入らされたこの学園では、当初は養子だってバカにされた。

 義理の兄はこの学園にも入れないほどバカだったからその辺の学校に通ってたけど、この学園は初等部の頃から汚かった。

 俺には何もない、家族愛も友情も、恋人もいない。

 よくわからない。

 両親に売られた時から、ずっと表情が固まったまま。

 愛が欲しいな、見つけられないかな。

 ただそんな願望で、今日も俺は抱かれたり、抱いたりと忙しい。



 ――ああ、誰か愛が何か教えてください。




 そんな事を思いながら日常を過ごしている中で、転入生が来た。

 「なぁなぁ、青葉、俺の事抱いてくれよ!!」

 「………」

 そうして、先日何故か出会ってしまった毬藻な転入生に抱いてくれと懇願された。

 あれ、転入生って生徒会やら風紀やらに惚れられてて、ノンケって言い張ってたんじゃ。

 と、情報を整理して、頭がこんがらがってきた。

 しかし、見れば見るほど毬藻である。

 最初見た時も思ったけど鬘をかぶってるって、ハゲてるのだろうか…?

 来るもの拒まずの俺でも…うん、ハゲはなぁと思うし、生徒会とか風紀に目をつけられるのは面倒なのだ。

 ただでさえ、風紀にはヤりすぎだからと目をつけられているというのに…。

 「………」

 「てめぇ、光に何しやがった!!」

 「光、何をいっているのですか」

 「「光ちゃん…、ヤりたいなら、俺達が…」」

 「光ちゃん、俺の方が気持ちよくできるよ?」

 「島崎……光までてめぇの毒牙にかける気か!」

 ああ、何か色々現れた。

 上から、会長、副会長、書記×二に会計、風紀委員長だ。

 「お前ら、青葉を責めるなよ!! 俺が、青葉に抱いて欲しいんだ!! だって、あ、青葉の事す、好きだから!」

 ……会ったときって、会話もちょっとしかしてなかったけど、何で俺に惚れたんだろう転入生は。

 顔か、顔なのか。

 とすると、親衛隊と変わらないな。

 あれ、なら何で生徒会とかは転入生に惚れたんだろう?

 愛ってやっぱりよくわからない。

 生徒会も風紀も、出会ってすぐに転入生に惚れたというし。

 やっぱり、愛ってわからない。どんなものなんだろう?

 「俺様よりも島崎がいいってのか! 光! ふざけんな、俺様の方が愛してやれる!!」

 「「そうだよー。光ちゃん、駄目だよ!!そいつは最低なんだよ!」」

 「光ちゃん、俺のが愛してあげられるよー?」

 「島崎、殺す」

 「光、何を言ってるんですか!! 島崎君は明らかにタチじゃなくてネコでしょう!」

 「俺は青葉が好きなんだって、和泉は何いってんだ!?」

 俺も、転入生同様、何いってんだと思う。

 一名何だか色々とわけわかんない発言してた奴いたよな、確実に。

 その発言をした主――副会長を俺も含めて周りが驚いたように見つめる。

 とはいっても俺基本無表情だから、驚いてんの周りには悟られてないだろうけど

 「何を言っているって、島崎君はタチよりネコが合っています。だってこんなに可愛いんですよ?」

 「な、何いってんだよ! 和泉は俺の事好きなんだろ!」

 「そんなの、演技に決まってるじゃないですか。会長達が本気になっているのが面白かっただけです。僕は綺麗なものが好きですから、汚い君に惚れるわけないでしょう?」

 …実は愉快犯だったのかな、副会長って。

 綺麗な物好きなら、確かに転入生には惚れないと思う。

 だって、何か汚い恰好してるから。

 「な、何だよそれ、俺を騙してたのか!! そ、それに青葉は俺のなんだからそんな目で見るな!」

 「…転入生、俺は転入生のものにはなってない」

 「あなたこそ何を言っているのです。けがらわしい身の分際で、島崎君を名前呼びし、挙句自分のモノだと言い張るなど。

 島崎君は天使なんですよ? こんなに美しい人は僕は他に見たことがありません。

 君ごときが僕の天使に気安く近づかないでください」

 「……副会長、俺副会長の天使になったつもりないんだけど」

 反応に困る。

 周りなんて、驚いて何も言えない状況だし。

 俺もう帰っていいかな。

 転入生を抱くのも、副会長に抱かれるのも面倒そうだし。

 それに、自分のモノにするって、俺は……、愛が知りたいだけで誰かのモノになる気はないし…。

 「なっ、青葉は俺のだ!! 大体青葉を抱くって何だよ! 青葉はこんなにかっこいいんだから、絶対タチだ!! 俺、青葉になら抱かれたい!!」

 「君こそ、何を言っているのです。毛玉の分際でこんなに美しくて可愛い島崎君に抱かれたいなど何と言う事を…!! それに、島崎君はかっこいいというより美しいのです。ネコの方が断然いいに決まってます。可愛く喘ぐ島崎君を想像するだけで僕は(自主規制)します」

 「な、俺だって俺に(自主規制)してる青葉を想像するだけで(自主規制)する!!」

 「そんなの当たり前でしょう。島崎君は(自主規制)して、僕に(自主規制)されるのです。あんなに美しいんですから、僕のモノになるべきなのです。島崎君は!!」

 「違う!! 青葉は俺のになるの!! 俺だけを愛すの!」

 「何を言うのです。僕が外堀から固めて島崎君を手に入れようと計画しているというのに、君は何を余計なことをする気なのですか。毛玉の分際で!!」

 え、えー……。

 俺、副会長の外堀固められてたの…?

 なんかちょっと怖いなぁ…。俺縛られるのって何か嫌いなんだけど。

 生徒会とか、風紀も固まってるし。

 転入生って変態だったのかなぁ?噂じゃ、純情でそこがいいと生徒会に気にいられてたと思うんだけど。

 副会長も変態なのかな? 噂じゃ紳士だったはずなのに。

 愛が欲しいとは思うけど、俺が求めて、相手がくれる。

 そんな愛情がいい。

 求められても、好きじゃないから愛なんてあげない。

 このまま此処にいるのも、面倒だと思った俺はこっそりとその場から去った。







 ―――俺は想像もしていないこの日から転入生と副会長にずっと追いかけられるはめになることを。




end


島崎青葉シマサキアオバ

来るもの拒まず、タチネコ兼任。

愛って何だろう?欲しいなぁとは思って、ヤりまくるけれど、求められても靡かない。

一方通行じゃなくて、相思相愛がいいと思ってる。

外見は美形。親衛隊あり。

友達とか作っていない。何だか友情もよくわかっていない。



転入生。他の作品と名前一緒だけど、違う転入生。

青葉の顔が好き。


和泉(名字じゃなくて名前)

紳士な副会長と認識されているが、青葉を狙って画策中。




生徒会

会長 俺様

双子書記 ドッペル

会計 チャラ男



風紀

風紀委員長 青葉の事警戒してる、男前。


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