可愛い恋人がいて、俺は幸せです。 3
「臨、臨! 一緒にテスト結果見に行こう!」
一学期の後半――期末テストが終わった二日後、俺のクラスに駆け込んできた廉はきらきらした目でそんな言葉を放つ。
ちなみに俺と廉はクラスちがう。廉は全てパーフェクトで、家柄も凄いからSクラス。
俺はAクラス。もう少し頑張ればSクラスに上がれると思うから俺今回の期末テスト頑張ったんだよね。
成績別で、学期のはじまりに毎回クラス分けされるから、うちの学校ってクラスメイトがよく変わる。
とはいってもSクラスは滅多に変わらない。俺は一人蹴落として廉のクラスに行きたいと思ってる。
スポーツはできるけど、勉強はそこそこだったから。廉と付き合いだした当初。
で、頑張ってAクラスまで上げたから勢いでSクラスまで行こうと。そんなわけでテストに挑んでいる。廉と同じクラスがいい。
「わざわざ迎えにきたの、廉」
「ああ! だって臨、今回頑張ったんだろ?臨が同じクラスなら俺嬉しい」
何、この可愛いの。
思わずそう思ってしまう。
周りがなんかほほえましい目で廉を見てるし。俺の廉は相変わらず周りに愛されてるよなぁ。
「じゃあ、行くか」
「ああ」
俺の言葉に頷いた廉を連れて、俺はテスト結果の張り出されている場所へと向かう。
廉と並んで廊下を歩いていれば、周りがキャーキャーいってるのがわかる。
廉ってさ、俺と一緒に居る時凄い表情変わるつか、結構にこにこしてるんだよね。
だから、一緒の時は一人の時よりも廉はキャーキャー言われてる。
――そして、テストの順位の書かれた場所に到着する。
一位は、不動で廉だ。本当バカなのに頭はいいからな、廉って。
そのギャップも可愛いよな。
俺の廉はおバカだけど、頭いいよなぁなんて思っていれば、
「臨、臨!!」
何だか嬉しそうにある一点を見据えて廉が口にする。
その方を見れば、37位に俺の名前がのっていた。
ちなみにいうと一クラス40人だからこれで俺Sクラス入り決定。
うん、俺頑張った。
「これで、俺と廉同じクラスだな。嬉しい?」
「ああ、嬉しい!!」
嬉しそうに笑う廉を見て、頬が緩む。
あー、本当廉って可愛い。可愛すぎて辛い。
「臨、37位か。うちのクラスくるのか」
「小鷹」
声が響いて、隣を廉と一緒に声のした方に視線を向ければ黒髪の男――風紀委員長の小鷹が居た。
小鷹は学年二位の成績を収めている、廉の幼なじみだ。
それで俺の友人でもある。
「よかったな、廉」
「ああ!」
小鷹の問いかけに、廉は嬉しそうに頷いた。
何だか嬉しそうな顔をして笑う廉を周りがほほえましい目で見据えているのが視界に映る。
「そういえば、廉、他の連中はどうしたんだ?」
「真紀の所いってる」
「べったりだな、本当…」
思わず呆れる。
自分のテスト結果も見に来ないで真紀の所に直行とか、色々凄まじいと思う。
ちなみに真紀は俺らより一つ下の一年生だ。
「ほどほどにしておけといっておけ、廉」
「小鷹の言う通り、学園荒れたらめんどくさいじゃんか」
小鷹の呆れたような言葉に、俺も続ける。
本当、ほどほどにしておくように一応前にいったのに仕事とか以外ではべったりだからなぁ。
廉に迷惑かけたくないって親衛隊はそこまで過激な行動に出ないけど、出たらめんどくさい。
しかし、本当廉って凄いよね。
バカで可愛いから周りから何だか子供を見守るような目で見られてるし。
顔は美形でかっこいい系なのに。
喋らなければ美形で俺様にも見えるらしいのに。
廉が生徒会長だから、皆迷惑かけたくないって学園が大分平和なわけだし。
「いいはするけど、個人の恋愛に口出すのもなぁ…」
「まぁな。じゃあ、アレだ。真紀のあの外見どうにかすればいいんじゃね?」
ボサボサ頭にあの眼鏡だから、余計駄目なんだろうし。
「てか、あれって確実鬘だよな」
「そうだな…。理由問い詰めて外させればまだマシなんじゃね?」
「え、あれ、鬘なのか?」
小鷹の言葉に俺が頷いていれば、廉は驚いたように口にする。
って、気付いてなかったのか、廉…。
あれ、でも周りの連中も鬘な事に驚いてる人もいるし、あれって普通気付かないものなのか? えー、普通にわかりそうなものだと思うのだけれども。
「鬘だろ。しかもあの眼鏡度入ってない。ダテだったし」
「本当何であんなダサイ恰好してるんだろうな」
「変装? でも何で?」
上から小鷹、俺、廉の台詞である。
確かに何で変装しているのかは凄く謎だ。
「聞いてみるか?」
「でも鬘被ってるなら、頭皮の悩みとかでもあるんじゃ…。もしかしたら鬘の下がハゲてるとか…」
「ぷっ、廉何いってんの」
小鷹の問いかけに、廉が答えて、それに対して俺は笑う。
まぁ、確かにハゲてもない限り鬘なんて被らないよな。
でも、ハゲてるから鬘はまだ納得するとしてあのダテ眼鏡おかしいだろ。
つか、多分禿げてもなくて、ただの変装だと思うし。
なんか周りが廉の言葉に「転入生ってはげ疑惑なの!?」とか騒ぎだしてんのがうける。
「ま、あとで聞けばいいじゃん」
俺がそういえば、小鷹と廉が頷いて、後で変装してるのか聞いてみるかーと俺は廉と共にその場を後にするのだった。
ちなみに、あとから聞いてみたら、
「ハゲてねーよ!! これはだな、叔父さんがつけろって強制してきたんだ!」
だの色々真紀は不服そうだった。
叔父さんって、理事長だっけ。
え、理事長って真紀に何を求めてんのとか思わず思ってしまった。
そして、ハゲ疑惑会話をした次の日、しっかりと学園中に真紀のハゲ疑惑が広まってて俺の廉の影響力すげぇと思わず思った。
その後、真紀が、
「俺はハゲじゃない!!」
と鬘と眼鏡をはずすのは別の話である。
end