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会長様の幼馴染 2

 「朝陽、おはよう!」

 「おはよう」

 生徒会の連中(双子以外)や風紀委員長をせっせと失脚させて俺は生徒会副会長なんてものに就任した。

 で、生徒会って一人部屋なんだけど会長の部屋は広くて、怜央が泊ってって頼みこむから泊りこんでいた。

 一緒のベッドで寝たさ。もちろん、やることはやった。

 目が覚めたら凄い嬉しそうに俺に笑いかけてて、こいつって本当の俺の事好きだよなと頬が緩む。

 「朝陽、寝ぼけてて可愛い」

 「…眼科いってこい」

 大抵の奴は俺を”かっこいい”というけど、つか、俺タチに見られるし。

 だけど、怜央は俺が可愛く見えるらしい…。

 その後、制服に着替えて(何か着替えてたらムラムラしただのいって抱きついてきたから蹴っておいた。だって学校あるし)、教室に向かう。

 怜央が俺にべったりだからって、すっかりまた戻ってきて一ヶ月しか経ってないのに公認カップルとなっている俺達である。

 とりあえず、顔がよくて後人脈作っておいてよかった。

 怜央の所の親衛隊隊長も知り合いだったしな。

 怜央と付き合う事は誰にも反対されないし、寧ろ祝福された。

 自慢じゃないけど、俺人気者だし。

 生徒会入っても皆文句も何もいわなかったしな。

 「朝陽様、怜央様、おはようございます!!」

 「会長様、おはようございます」

 「朝陽様!!」

 廊下を歩ければ、次々と挨拶をしてくる生徒達に、笑顔で挨拶を返す。

 二人で、教室へと足を踏み入れる。

 「朝陽、おはよう」

 「会長おはよー」

 「櫻井、今日も松山と一緒か」

 「って、睨むなよ。朝陽に俺が挨拶したからって」

 周りがそんな風に言葉を放つ。

 「怜央…、周りを睨むな」

 本当、普通の友達だっていうのにこいつは昔から俺の友人を睨むからなぁと思って若干呆れる。

 俺の言葉に何だか不服そうに顔を歪める怜央。

 このクラスの連中、中等部の頃とほとんど変わってないから、外部生以外は特に驚いてないけど。

 「櫻井って本当朝陽の事好きだよな」

 「まぁ、見てて面白いからいいけどさ」

 「つか、俺らに嫉妬してどうすんの。朝陽に恋愛感情持ってる奴なんざ、この学園には沢山居るしさ」

 からかうように笑うクラスメートたちや、

 「会長様は朝陽様が大好きですね、本当に」

 「松山様と櫻井様ならお似合いです」

 にこにこと笑っているクラスメートたち…、反応は様々だ。

 「……嫌だ」

 「どうした、怜央」

 「誰かが朝陽に恋愛感情持ってるとか、嫌だ」

 「そんな事いってたらどうしようもねぇだろ」

 「でも嫌だ。俺はそんな奴認めない」

 「相変わらず自己中だよなぁ、怜央って。ま、浮気する予定はないから安心しとけ」

 「当たり前だろ! 朝陽は俺のなんだから」

 「そうか。告白してきた時は顔真っ赤だったくせに、今はすげぇ偉そうだな」

 何だか不敵に笑っている怜央をみながら何だか面白くって、そういって俺は笑う。

 「当たり前だ! んなことしたら監禁でも何でもしてやる」」

 「おー、過激だな、怜央は。浮気なんてしねぇっていってんじゃんか。何、怜央は俺の事信用してくれてないの?」

 「いや、してるけど…。朝陽もてるからな」

 「いやー、それを怜央に言われてもな。お前ぶっちぎりで抱かれたいランキング一位だろ? 俺よりももててるだろーが」

 そもそも互いにもてることを気にしたら仕方ないと思う。

 だって、怜央も俺も自他認める美形だし。この学園の抱かれたいランキングなんてもので両方とも上位だしな。

 大体、怜央は中等部の頃から人気で告白とか沢山うけてたのに、帰ってきたらすっかり男前に成長してるんだもんなぁ…。

 「そういえば、怜央。お前って中等部の頃婚約の話出てなかったっけ。俺が引っ越す前に」

 ふと、昔を思い出して口を開く。

 家同士付き合いあるし、母さん達がそう言う事いってた気がするんだよなぁ。

俺詳しく知らないけど。

 「もちろん、断ったに決まってんだろ。俺は朝陽以外いらねぇし」

 「ふぅん。ま、母さん達も、怜央の母さん達もなんも文句はいわねぇだろうけどな」

 「もちろん。俺はしっかり母さんたちに朝陽が好きだって小学生ぐらいの時にいっておいたし、全然反対されてなかったし。婚約者の話は向こうから来ただけだし」

 「小学生でんな事いってたのか。本当、怜央って俺の事好きだよなぁ…」

 「ああ、大好きだ」

 きっぱりと言い放つ、怜央。

 少しははずかしがれよ、と思う。

 つか、告白した時の初々しさはもう一切ないのか。

 あ、あの時は俺に振られる可能性あったからか?

 顔真っ赤で面白かったんだけどな。

 「いちゃついてんじゃねーよ!」

 「櫻井ってどんだけ松山の事好きなんだよ!」

 「二人っきりでやってくださいよー」 

 なんか周りは呆れた顔で俺と怜央を見ている。

 つかなんか余裕な顔して俺を真っすぐ見ている怜央。

 俺は若干はずかしいのに、お前もはずかしがれ、と思って言葉を放つ。

 「怜央」

 「なんだ、朝陽」

 「俺も怜央の事だーいすきだぜ?」

 「朝陽――っ!!」

 って、おい、抱きつくな。はずかしがれと思っていったんだが、何か嬉しそうに抱きつかれた。

 「抱きつくな、離れろ、暑苦しい」

 本当、エアコンは聞いてるとはいえ、くっつかれると熱いだろーが。

 しかも周りが見てるから。

 「おーい、もうすぐ授業始まるぞ。会長も朝陽も…」

 「いちゃつくなっていってんのにどうしてこうくっついてんだ、お前ら…」

 「会長様溺愛攻おいしいです…ハァハァ」

 「会長様、朝陽様…」

 若干一名おかしくないか。なんだおいしいですって。

 なんて思いながら怜央をひきはがす

 「怜央」

 引きはがした怜央に俺は呼びかける。

 そうすれば、怜央は真っすぐにこちらを見据えている。

 「あんまり人前でべたべたくっついてると、しばらく口きかねーぞ?」

 「…し、しばらくって」

 「んー、三日ぐらい?」 

 「……わかった。我慢する」

 おー、効果抜群。

 俺と口聞けないのそんなに嫌なのかと思わず苦笑する。

 とはいっても、嬉しいけれど。

 「…会長って本当松山様好きだよな」

 「喋れないのがそんなに嫌なのか」

 「会長って基本偉そうなのに朝陽の犬に見える」

 なんか周りがいってて、周りが怜央に睨まれて体をびくつかせていた。

 まぁ、どうでもいいから俺はさっさと席について授業の準備をしていた。

 ちなみに隣は怜央だ。なんか席交換してもらってた。

 本当、怜央って俺の事だーいすきだもんな?

 ま、悪い気はしないし、寧ろ嬉しいからいいけど。

 怜央の事狙ってる輩とかいたら、しっかり怜央が俺の事大好きなこと見せつけてやろうかな。俺はそんな事を思いながら怜央に視線を向けるのであった。


end





 ―オマケ・潰した時の話。怜央side―



 「さて、喜べ、無能どもお前たちのリコールが決まったぞ」

 体育館で、集会があるというのに遅れて入ってきた連中に壇上からマイク越しに言葉をかける。

 「なんですって…リコールだなんて…」

 「何で俺達がそんな事されなきゃいけないわけー? そもそも会長だろーと、俺ら全員敵に回すとかぁ、無理でしょー?」

 「ふざけるな。横暴な真似は風紀委員長として許さん」

 「怜央! 何でこいつらにそんな事言うんだよ!最低だ!!」

 そんな言葉を放つ連中に冷めた目しか浮かばない。

 俺にとってこいつらは朝陽の友人で、昔からの知人という認識しかない。

 朝陽の友人たちに何かしたと後からバレたらいい子じゃないって付き合ってもらえないかもしれない、俺はそんな理由で放置していただけなのに。

 「はは、バカじゃねーの、お前ら」

 「「わー、会長悪い顔。怖い怖い」」

 なんか隣に立つ双子が言ってるけど、そんなの無視。

 ちなみに朝陽はまだ一般生徒だから生徒席に居るんだけどな。

 「なっ」

 「バカって何って感じだしー」

 「貴様こそふざけてるのか?」

 「最低だ!!」

 はは、本当バカだ、こいつら。俺が放置してたのを、力が及ばなかったからと思ってるのか?

 俺をそこらへんの雑魚と同じように思ってるのか?

 は、大人しくしてたからって俺をなめてくれてるじゃねぇか。

 「本当に、俺が、この俺が、お前らをどうにかすることが出来ないとでも思ってるのか?

 それなら、俺もなめられたものだな」

 朝陽が留学してから、俺は大人しくしてたさ。

 いい子で待ってれば、朝陽が俺のモノになってくれるっていうんだからさ。

 気にいらない奴はぶちのめして、煩わしい奴は排除する。

 それが、俺だという事を大人しくしてたからって忘れてたって…?

 視界の隅で、朝陽が口元を緩めるのが映る。

 朝陽は言った。

 ”大人しくしてたんだって? 本当頑張ってたんだな、怜央。でもま、これからは昔通りで構わないぞ?”って。

 朝陽が許可したんだ、俺は、俺らしく暴れるのみだ。

 なめた連中の認識を改めてやる。

 そして、実感させてやる。

 俺が誰かを。

 俺が、櫻井財閥の後継者で、この学園の支配者だって事をな。

 だから、見ててくれよ、朝陽。

 朝陽に、最高のショーを、俺の圧勝を見せてやるから。

 「俺を誰だと思ってる?櫻井怜央だぞ?

 この俺が、お前ら如きを敵に回す事が出来ない、とでも本気で思っているのか?」

 そういって、笑う。

 俺を睨みつけてくる三人は俺の朝陽に、失望したとか言いやがったんだ。

 それに副会長と会計のこの二人を追い出せば、朝陽を生徒会にいれる事が出来る。

 生徒会室でも朝陽と一緒にいれる、だなんてなんて幸せだろう。

 朝陽が留学してから、ずっと飢えてたんだ。朝陽って存在に。

 それが、昔みたいに傍にいてくれて、俺のモノになってくれる。

 生徒会室でも一緒に居るために、追い出してやる。

 「だ、だって、今まで――…」

 「い、今までやらなかったって事は…」

 「横暴で不当な物言いだな。そんなものが通じるとでも思ってるのか?」

 「何でそんな事言うんだよ、友達だろ!!」

 喚くな、無能共。苛々する。あー、苛々する。

 「今までやらなかったのは、何故か、聞きたいか?転入生除くお前らが朝陽の友達だったからだ」

 その言葉は、体育館中に響く。

 わけがわからないとでも言うようにシーンと静まり返る体育館。

 その場で、俺は笑って続ける。

 「朝陽にいい子にしてろって言われたから大人しくしてただけ。お前らが朝陽の友人だから、帰って来た時怒られるのは嫌だし、やらなかっただけ。ただそれだけの事。

 朝陽に失望したとかふざけたこといいやがったんだろ? 役員の席からどけろよ。邪魔だから。仕事しない奴はいらねぇ」

 「わー…会長って、朝陽先輩本当好きだねぇ」

 「朝陽先輩に失望したって言った事に一番怒ってる?」

 「「…謝ってよかったね、僕ら」」

 双子は、手を取り合って、安心したように息を吐いている。

 「な――…」

 「で、でもそんなの生徒達は認めない!!」

 「そうだ。貴様の指示になんぞ誰が従うか」

 「朝陽って、あの最低な奴か!!」

 「よし、猿。決めたお前は裏口入学だから退学は決定してたが今の一言でお前の実家も潰すことに決めた。寧ろ家との縁も切らせる。安心しろてめぇの家で働いてる連中はうちで働かせるからな」

 朝陽に最低って言いやがった、もんな、こいつ。それだけで人生をどん底に落とすのは決定だ。

 「朝陽先輩に暴言吐いたからかぁ…」

 「わー、会長怖い…」

 そんな事を言う双子の言葉を耳にしながらも俺は奴らを見る。

 「なんだよ、それ!!」

 「は? 黙れ猿。てめぇ、うっさいんだよ。大体お前が来てからそこのバカ達が仕事しなくなったし、俺に謝れ。

 全員分の仕事してやった俺に向かって偉そうな口聞きやがって……お前らは既にクラス落ちしてんの、わかる? もう生徒達の著名もしっかり集まってるし、お前らもう用済みなだっつーの。そもそもこの失態の証拠はきちんと掴んであるし、家にも送ってあるし、跡取り候補外されてんじゃねーの?は、良いざまだな」

 苛々して、しょうがなくて、一気にそう言い放つ。

 その言葉に役員とか風紀委員長は嘘だ嘘だっていってたけど、俺が嘘なんかつくわけねーだろ。

 ちなみに騒ぐ転入生はさっさとつまみだしたのであった。



end


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