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狼は牙を隠してそこにいる。

王者様の唯一の男、一雅の話。時系列的に王者さまの~の3の前の話

 「不良×平凡か。何この展開萌える」

 鈴木一雅です。

 とりあえず今は教室でBL漫画を読んでいる。

 別に趣味を隠す気は一切ない。

 というか、好きなモノを見て何が悪い? って思うから堂々と見る。

 「鈴木……お前なんつー漫画を呼んでんだ」

 「ん? 読むか?」

 「よまねぇよ!!」

 「じゃあ、男前な彼氏とのイチャラブ生活を俺に語れ」

 「……何で知ってんだよ!?」

 「ふふ、俺の情報収集能力をなめるなよ」

 にっこりと笑ってクラスメイトの風間にそういってやれば、うんざりとした顔をされた。

 結構学園では当たり障りのない友情関係を結んでいるけれど、風間とは結構仲良い方だと思う。

 風間は見た目はかっこいい系だけど、男前な彼氏がいる。

 とはいっても、会長様の方が男前だけど。

 「お前って謎だよな」

 「ん? そうか?」

 なんか風間に謎発言されて、そう問いかける。

 俺の何処が謎だというんだ。

 なんておもっていたら、

 『…二年D組鈴木一雅生徒会室にこい』

 何故か生徒会室に呼ばれた。

 えー、何で?

 周りの生徒に一気に注目されてんだけど。

 「おま、生徒会室に呼ばれるとかどうした!?」

 「さぁ、とりあえず、いってきまーす」

 んー、新会長様とは面識あるけど、あとは近くでみた事ないし、じっくり観察してこよう。

「失礼しまーす」

 何て言いながら生徒会室に入る。

 生徒会室に向かう途中生徒会親衛隊に睨まれたけど、別に怖くないし無視して生徒会室まできた。

 それにしても、呼びだしなんていう展開はもっと可愛い子にやってくれればいいのに、なんて思う。

 中に入れば、新会長様含む、新生徒会の皆さまがいた。

 俺は何で呼ばれたんだろう…?

 「新会長様、俺になんか用?」

 「あー…、こいつらがお前に会ってみたいって」

 「俺に? 何で?」

 「Fクラスになじんでる奴がいるっていったら、興味持ったらしい」

 あー…と思う。

 Fクラスは完璧に隔離されているわけだし、一般クラスからすれば、かなり危ない集団の集まり…というか、実際危ないんだけど…だからそんな所になじんでるから興味持たれたらしい。

 「こんな子がFクラスになじんでる!?」

 「嘘…」

 「えー…」

 何て言う生徒会の皆さま方に思わず苦笑してしまう。

 見た目でFクラスになじめるかどうか考えると言うなら冬季はどうなるんだろうか。

 あの人、見た目だけなら、本気で平凡だからなぁ、と思う。

 「あと、北峰がFクラスに残りたいのは本当かと聞かれてな…、説明しにくくて」

 困った顔をする新会長様。

 思わず萌えって叫びたくなったよ! ぜひとも、受けの子相手にその表情を浮かべてきゅんっと思わせればいいのに!!

 「会長様は本気でFクラスがいいって思ってるよ。だって冬季とラブラブだし」

 常にいったらイチャイチャしてるし、一般クラスの方では無表情だった会長様が冬季の前だと、顔赤くしてたりしてるしね。

 冬季も会長様も結構スキンシップ激しいし。

 「あの北峰先輩がラブラブやってるなんて、信じられない」

 「…じゃあ、これを見てください!!」

 そういって、俺が取り出したのは、冬季にキスをされている会長様の写真である。

 思わず、萌えるととってしまった。

 「え、こんな平凡な子が相手?」

 「え、Fクラスのトップがこの子?」

 「てか、北峰がキスされる側なの?」

 「ふふふ、実は会長様立派に猫ちゃんやってるのですよ!」

 俺も最初知った時びっくりしたからね。

 会長様をはじめて見た時、攻め要員だと思ってたのにまさかの知り合いの恋人でネコだったなんてってね。

 「「「はぁああ!?」」」

 会長様がネコだと言う事実に新生徒会の皆さまは唖然とした様子だった。

 とりあえず、用事はそれだけだったみたいで、俺はそれから生徒会室を後にした。






 *



 あの後、教室に戻ったら騒がれそうだから面倒で、Fクラスに俺はやってきていた。

 途中で喧嘩売られたけど、思いっきり気絶させた。

 冬季と会長様何処に居るかなと歩いていれば、

 「――一雅!!」

 何だか、俺の名前を呼ぶ声と共に勢いよく抱きつかれた。

 「って、何を抱きついてるんだ、紫苑!!」

 そういって、俺は文句を言いながら紫苑を引き離す。

 本当に俺以外にやってくれれば立派な萌えなのに!!不良×平凡とか俺好きなんだよ。

 なのに、何故俺なんだろう。

 「だって、一雅がいたから…」

 「いたからじゃねぇよ!!」

 突込みをいれて、紫苑を引っぺがす。

 「てか、何で一雅此処いんの? いつも放課後にくんのに。まぁ、俺は嬉しいけど」

 「あー。ちょっと生徒会室に呼び出された。で、今教室いったら面倒だから時間潰そうと思ってな」

 「へぇ…。じゃあ一雅親衛隊とかに狙われるわけ?」

 「おそらくな。とはいっても新生徒会の親衛隊ってちゃんと統一されてるからあんまないと思うけど」

 「俺一雅に何かあんの嫌」

 「…お前、俺が一般クラスでのんびりやってる奴らに負けると思ってるわけ?」

 一般クラスにも不良は居る。

 前に居た王道君の取り巻きにも不良いたし。

 とはいっても、Fクラスは本当やりすぎだった奴らとか、ヤクザの息子とかが放り込まれる所だから、一般クラスの不良とFクラスの不良じゃ格が違うしね、まず。

 俺はどっちかっていうとFクラスよりだから、一般クラスでのんびりやっている不良ごときにやられる気は正直しない。

 「いや、思わないけど、万が一があるかもじゃん。俺心配だから一雅ん所行きたいんだけど」

 「いらねぇよ。つか、お前が来たらますます目立つだろうが」

 そういったら、しゅんとした顔をされた。

 くっ…、結構男前でFクラスん中でも地位高いくせになんて顔をしてるんだ。

 「…はぁ、じゃあなんかあったら呼ぶからきやがれ」

 「おう!」

 頭をなでてそういってやれば、嬉しそうに頷く紫苑。

 んー、わんこ属性っぽい。他の人間に発揮してくれれば萌えるのにっ!!





 *


 紫苑に何かあったら呼ぶといった翌日――呼びだされましたよ、親衛隊に。

 「あんた、生徒会の皆さまに呼びだされて何さまなの!?」

 「あんたみたいな平凡相手にしないんだから、皆さまは!!」

 「うん。そうだね。俺もそうおもう。寧ろ、新生徒会の皆さまにはぜひとも美人さんとか可愛い子とか、俺じゃない平凡属性の子とかとくっついてほしい。見てて萌えたい」

 親衛隊の子になんか責められたので、俺はそう言い返す。

 「は?」

 「ちょ、あんた腐ってる!?」

 「お、君、腐男子知ってるの?」

 「もちろん。僕もそうだもん!! 君が呼びだし受けた時、平凡受け萌えって思った!!」

 「え、ちょ、猫田君…?」

 ちなみに俺をせめてた人二人いたんだけど、そのうちの一人が腐男子みたいで発した言葉にもう一人が戸惑ったような目を向けている。

 「平凡受けっていいよな! 俺的には平凡×男前も好きだ」

 「平凡攻めもいいよねー。もうこの学校俺大好き。萌えの宝庫!!」

 「俺も、超萌えるからこの学園大好きだ。もう、そのへん歩いてるだけでBL目撃できるとか、なんて楽園って感じ!」

 一般クラスでもさまよってたらラブラブイチャイチャが見れるし、Fクラスいけば冬季×会長様の超萌える二人居るし!!

 「えっと、猫田君…?」

 「あ、田中君。この子絶対生徒会に危害加えないから、寧ろ萌えの対象として見てるだけっぽいから帰っていいよ」

 「え、えっと…?」

 「大丈夫、俺に任せなさい」

 すげぇ、猫田君とやら、なんか言いくるめて返しちまった。

 うん、俺こういう子好きだよ。主に萌え要素としてだけど。

 これで非凡で、非凡受けとかなっちゃえばいいのに!

 「ねぇねぇ、鈴木一雅君は腐男子受けなの?」

 「いやいやいや、俺ノーマル。そういう、猫田君は彼氏いんの?」

 「えー、はじめは皆そういうんだよ。ちなみに俺には不良な彼氏様がいます」

 「マジ!? 不良×親衛隊って事? え、誰? 一般クラス?」

 「流石にFクラスに知り合いはいない。いたら面白そうだけど。鎌田だよ、鎌田篤」

 「ちょ、あの金髪不良か」

 一般クラスでは恐れられてる奴だ。

 多分Fクラスにいったら下っ端レベルだと思うけど。

 つかマジFクラスでトップって冬季半端ねぇよな。

 「で、鈴木君は何で生徒会室に呼ばれる萌え展開に?」

 「あーっと、リコールされた会長様がFクラスにいるの知ってるよな?」

 「もちろん。親衛隊の子達が戻ってほしいって嘆いてた」

 「会長様、Fクラスのトップと恋人でさ」

 俺がそう口にしたら猫田君は凄い勢いで食いついてきた。

 「なぬ!?」

 「リコールされて喜んでるんだけどさ。新会長様が連れ戻しに来たんだけど、Fクラスに」

 「ほぉほぉ」

 「俺、Fクラスのトップと昔からの知り合いでさ。よく遊びにいってて。それで遭遇した」

 「何それ! いいね」

 「何か副会長達はFクラスと仲良い俺を見てみたかったらしい」

 とりあえず簡潔に説明すれば、猫田君が悶えていた。

 うん、わかるぞ。会長様が不良のトップと付き合ってるから興奮してるんだろう。

 「Fクラスのトップって誰? 何、不良がネコなの!?」

 「いやー。Fクラスのトップの冬季って平凡顔なのに滅茶苦茶強くてさ。で、会長様をな、押し倒すというか」

 「男前受けキタ!!

 しかも平凡×男前!?何それ、おいしいんだけど」

 「だろ、いったら大抵いちゃついてるから、本当萌える」

 「マジでか、Fクラスじゃなきゃ見にいくのに!」

 「見に行きたいなら一緒いく?俺といれば大抵大丈夫だし」

 って、いったら猫田君に驚いた顔で見られた。まぁ、Fクラスは危険地帯だからなー、一般クラスからしてみれば。

 「え、何で大丈夫なの? え、鈴木君非凡なの?非凡?」

 「あーっと、俺元ヤンだし。結構Fクラス知り合い居るし。あと喧嘩売られて勝ったからあんまり奴ら喧嘩売ってこないし」

 「マジ!? え、何?君って通り名とかあったりしてんの!? Fクラスになじんでるってか、恐れられてる系って」

 「あー。昔は赤髪だったから、何故か『赤狼』って呼ばれて多けど」

 「マジですか!!

 『赤狼』って超有名じゃん。いい、いい、君受けの要素ある」

 「いらないから!! 俺はノーマルなの!!」

 結局そんなこんな言い争ってたら授業始る時間になってサボった。

 教室いったら、親衛隊に呼びだされた後だったから風間とかに色々心配されたけど全然大丈夫といっておいた。

 それにしても新しい趣味が共有できる友人が出来て俺超嬉しい!!

 今度猫田君を連れてFクラスにいこう!!

 それを決意して俺はニヤニヤと笑うのだった。



end



紫苑

一雅大好き。Fクラスで幹部クラス、ってか滅茶苦茶強い。


猫田

生徒会親衛隊。腐男子。彼氏持ち。


鎌田篤

猫田の彼氏。名前だけ出てきた不良。


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