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総受けになっている親友の後ろでこっそりと恋愛してます 2

 今日も俺はハーレムを形成している功に少しうんざりして(というより周りの連中委員長以外うざい)、一人寮室を抜け出していた。

 本当に、最近の功といったら口説かれているのを全然気にしていない。

 内心あんな奴だったけ? と少し思う。

 いや、性格は変わっていないんだけれども、それでも何か違うのだ。

 ちやほやされたからか、何か功が変わったような気がする。

 生徒会や委員長に口説かれてあんな風に頬を染めて笑うだなんて…と正直思う。

 男同士だろうと、特定の相手と恋仲になるなら別にどうとも思わないだろうけど、口説いてくる面々全てにそういう反応している気がする。

 モテてあいつの中で何かが変わってしまったのかなと思うと何とも言えない気持ちになってくる。

 ふぅ、と息を吐いて俺は風紀室に向かった。

 そして、扉をあけると何人も風紀委員がいる中で俺は真っすぐに清志先輩のもとに向かう。

 「清志先輩…」

 「ん? 烙か、どうした? また部屋に来てんのか?」

 「はい…。もう、部屋ん中が口説き大会なんですけど…」

 男同士のハーレムなんて見てても正直どうとも思わない。

 寧ろ何か甘い声で親友を口説いてる大勢にぶっちゃけ気持ち悪い。

 ……まぁ、清志先輩に俺が口説かれるってのなら全然嬉しいけど。

 というか、口説き大会終わる気配がないのだ。

 功がさっさと誰か一人選んじゃえばいいんだろうけれども、付き合うとなると慎重になってるんだろう。

 そもそも、ハーレムを形成しだしたはじめに功が断ってもあの人達は口説くのだ。

 誰か一人を選ぶまで…いや、もしかしたら誰かを選んでも口説き大会は続くかもしれない。

 「ま、元気出せよ」

 うんざりしたように口にした俺に清志先輩は笑ってそういう。

 ……かっこいいよなぁ、とまじまじと見て思う。

 「はい…。でもいつでもどこでも口説き大会なんですよね。親衛隊とか煩いのに影響力あの人達もっと考えないんですかね?」

 「自分たちが周りにいれば大丈夫と思ってんだろ。

 というか、烙も気をつけろよ。親衛隊の制裁のとばっちりも少しは来てるんだろ?」

 「そうですね。でも大丈夫ですよ。俺は返り討ちにしてますし、一人にはならないように気をつけてるんで。

 それに俺は風紀の一員ですし、そんなやってくる輩は少ないんですよね」

 功に制裁ができないからって俺にまでとばっちりが少しきだしているのだ。

 まぁ、生徒会の人達もきちんと親衛隊を統制してるし、隊長達も制裁したら除隊っていってるらしいんだけど…。それでもやる人は居るんだよなー。

 過激派ってのはやっぱりあるもんだから。

 裏でこそこそえげつない事やってる奴とかさ。

 ま、俺は自分にきた連中はせっせと締め上げて委員長に差し出したけど。

 「それにしてもあの口説き大会いつ終わるんでしょうか」

 「…さぁな。お前の親友が選べばいいんじゃないか?」

 「それが選ぶ気配ないんですよね、本当に」

 そう功は選ぶ気配がない。選ぼうともしていないように思える。最近は断っても仕方がないと思っているのか、断りの言葉も口にしていない気がする。そこまで考えて俺はつぶやいた。

 「…清志先輩、俺最近アイツがよくわかんないんすよね」

 「わからない?」

 俺の呟きにソファに寝転がったまま、清志先輩がこちらに視線を向ける。

 「ノンケって言い張ってたはずなのに、口説かれて嬉しそうで。親友だったはずなのに、最近全然わかんないんすよね。何考えてるか」

 親衛隊持ちには関わりたくない、と言っていたはずだ。

 親衛隊の制裁があるかもしれないし、目立つのは嫌だと。

 ”女の子が好きだ”とそう言い張ってたはずだ。

 流されてアイツはホモにでもなってしまったのだろうか。

 何を考えてるのか、全然わからない。

 「ま、お前の同室者も此処に中学から通ってて耐性あるんだろ。それか、流されてきたんじゃね?

 生徒会とかってこの学園じゃアイドルだし」

 「やっぱ、そうですかね」

 俺もそんな気はしてるけど、親友が流されてホモになるとか何だか変な気分になる。

 ちやほやされるのが当たり前、そう思うようになってきてたらどうしよう、と思う。

 俺は親友が美形にちやほやされるのが当たり前だの、守られるのは当たり前だのな思考にいったらなんか嫌だ。

 「ま、俺はそのお前の親友に会ったことないから何とも言えないけどな」

 「清志先輩は本当に功に興味ないですね」

 純粋に、その事実が嬉しい。

 いつも通りソファで横になってごろごろしてる清志先輩は全然功に興味を持っていないのだ。

 生徒会の連中が惚れてるからって、興味もって功を見に来てそのまま惚れた美形とかもいるからな。

 本当にアイツいつから美形ホイホイになったんだ?

 そうして清志先輩と話していれば、俺のスマホがなる。

 ポケットにいれていた黒い携帯を取り出して、見れば、功からメールが来ていた。

 どうやら今から生徒会の連中と一緒に食堂に行くらしい。

 で、いつの間にか居なくなっていた俺に一緒に行こうとの事だ。

 功と一緒に行くのはいいけど、生徒会の連中とかには睨まれるから嫌なんだよなぁ…。

 「どうした、眉間に皺寄ってるぞ」

 「あー…功が一緒に食堂いかないかって。でも、いったらいったで煩いし面倒じゃないですか」

 「そういえば、生徒会の連中とかお前を敵視してるんだっけ」

 「はい…。そうなんですよね。俺、功に恋愛感情なんてこれっぽっちも持ってないし、寧ろ何処が可愛いと思えるのか謎なんですけど」

 そもそも俺は清志先輩に惚れたわけだけど、元々ノンケだし。

 男に可愛いなんて思わないし、普通に。

 そもそも、アレだ、うん…。男が男に可愛いとかいって頬染めてたりってぶっちゃけ気色悪いだけじゃね?

 …まぁ、清志先輩に惚れて立派にホモの階段登っちゃってる俺も学園の外から見たら気持ち悪いのかもしれないけど。

 「じゃ、俺と一緒飯いくか?」

 「え、いいんですか?」

 「ああ。先約あるから一緒に行かないってメールしとけばいいだろ」

 「はい。ありがとうございます」

 清志先輩のお誘いに俺は一気に気分を高揚させる。

 だって、嬉しい。清志先輩と一緒に食事に行けるんだ。

 「食堂行くか? それとも俺の作った飯でも食うか?」

 「清志先輩の手作りが食べたいです!」

 清志先輩は料理がうまい。

 前に一度だけ食べたことがあるけれど、おいしかった。

 好きな人の手料理食えるってだけで、すげぇ、嬉しいもんだよな。

 「そうか、じゃ、俺の部屋行くか」

 「はい!」

 清志先輩とこうやって一緒にいれるだけで、どうしようもなく幸せだ。

 ――いつか、伝えられればいいな、この気持ち。

 俺はそんな思いに胸を熱くする。

 「清志先輩、大好きです…」

 「ん? なんかいったか?」

 「いえ、何も」

 いつか、きっと堂々と告白します。

 だから、覚悟してください、清志先輩



end


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