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無関心 3

 「あなたたち、光を苛めたんですってね」

 「俺様の光を無視するとはいい度胸だな」

 総輔と歩いていたら、何か、目の前にイケメン二人が現れた。

 あ、でも総輔のがかっこいいと思う。

 というか、この二人誰だ。なんで俺らに話しかけてくるのか正直全然わからない。

 「総輔」

 「ん?」

 「これ、誰?」

 「「は?」」

 俺が総輔に向かって、誰なのか問いかけたらイケメン二人が驚いたようにこちらを見る。

 俺からしてみればなんでそんな知っていて当然だみたいな態度なのかわからない。

 「さぁ? 俺も知らね」

 「つか会った事あるっけ?」

 「いや、あったとしても俺も綾人も覚えてねぇだろ」

 「だよねー」

 「ああ」

 俺も総輔も本当に人の名前とか覚えるのは苦手なのだ。

 正直どうでもいい事は覚える気はないし、というか、本当すぐに頭から抜けてしまう。だから目の前のイケメン二人の事なんて俺は全く知らん。

 「お、俺様を忘れているだと!?」

 「おー。総輔。この人凄いよ、自分で俺様だって」

 「ナルシストなんじゃね?」

 「あー、それっぽい」

 本当、自分で自分を俺様っていってるって凄いよな。

 自分にどれだけ自信があるんだろうか、とかそういうの聞きたくなっちゃうぐらい凄い。そんな風に関心してしまう。だって俺様なんて自分の事普通言わない。

 「てか、この人忘れてるっていったけど、総輔会った事あるっけ?」

 「さぁ? 流衣に聞けばわかんじゃね?」

 「そーだね。るーちゃん俺らが忘れてる事結構覚えてるし」

 「まぁ、いいや。はやく買い物いこうぜ」

 「ああ」

 ちなみに俺と総輔は、今日の夕飯の材料を買いにいってる。

 高等部に入って総輔と部屋別々になっちゃったんだけど、いつも総輔の部屋にお邪魔して総輔とご飯を食べてるんだよね。もうこんなよくわからないイケメンたちはどうでもいいからはやく部屋に戻りたい。

 「ちょっと、待ちなさい!! 私たちが声をかけているというのに――」

 「総輔、今日の夕飯なーに?」

 「おい、てめぇら!!」

 「ん、今日はミートスパゲティ。綾人好きだろ」

 「無視するのはやめなさい!」

 さっさと総輔と一緒に去ろうとしたら何だか引きとめられた。

 俺早く総輔と買い物して、総輔の作ったご飯食べたいんだけどなぁ…とめんどくさくなってしまう。俺絶対今嫌な顔していると思う。

 「…俺ら買い物いきたいんだけど…ですけど」

 「あれ、総輔何で敬語に直してんの?」

 「いや、よく見たら先輩っぽいから」

 「というか、貴様ら、本当に俺様がわからないのか!?」

 俺様俺様言っている人が信じられないものを見る目で俺らの事を見ている。

 「「いや、だから誰だ?」」

 総輔と一緒にはもってしまった。

 でも本当にこの人誰としか思えない。

 「くっ、俺様は生徒会長の志賀直紀だ!」

 「へぇ、生徒会長さんなんですか」

 「自己紹介してもらってなんですけど、多分俺と綾人あんたの事すぐ忘れますけど…」

 正直あんまり興味ないし、覚えている自信はない。そんな正直な感想を言えば、会長だと名乗った男はショックを受けた表情だ。もう一人のイケメンさんも何か言い出した。

 「お、俺様に興味がないというのか!!」

 「まさか、私の名前も知らないんですか?」

 同時に口を開く二人。

 何か面倒だからさっさと買い物行きたい。

 興味ないのか、と聞かれても俺基本的に総輔以外興味ないしなぁ。

 なんて思ってたら、

 「俺、綾人以外興味ないし」

 と、考えていた事と同じ事を総輔が言った。

 何だか同じ考えなのが嬉しくて、俺は総輔に抱きついた。

 「総輔ー。俺も総輔にしか興味ないから!」

 抱きついたら、総輔は笑って受け止めてくれた。

 何か、笑顔がかっこいいよ、総輔。

 「くっ、俺様を知らない奴がいたなんてっ」

 そんな言葉が聞こえてきて、俺はあ、と気づいたようにつぶやいた。

 「……勘違いさんだったのか」

 「勘違いさん?」

 「いや、だって総輔。この人全員が自分知ってるって思ってるよ。勘違いしすぎ、いや、自信過剰って言った方が正しくね?」

 うん、本当にそう思う。だって全員が自分の事を知っているだなんて思うのは自意識過剰すぎると思う。

 「お、俺様が自信過剰だと!?」

 「というか、あなたたち付き合ってるんですか!?」

 「まぁ、そうだな。つか、綾人。はやく買い物行くぞ。タイムセールの時間オーバーする」

 「ああ。じゃあね、勘違いさん」

 俺は勘違いさんにそういって、総輔と一緒にそのままその場を去った。

 「か、勘違いさんって、俺様が自信過剰って――」

 「……私なんて無視されました」

 あとからそいつらがブツブツいってたのになんてもちろん気付いていなかった。



end



―オマケ(in総輔の部屋―綾人、総輔、総輔の同室(楸ヒサギ)の会話)―会話のみ。



 「楸ー、さっき、勘違いさんに会ったよ」

 「え、勘違いさんって何だよ? しかも綾人の中の印象づけるってそんなにキャラ濃い人なのか?」

 「んー、何か自分を知らない奴はいないって感じだったから。痛い子だなぁ、って。ね、総輔」

 「…確かに痛いよな、自分を俺様って」

 「俺様って、生徒会長かよ!?

 会長に痛い子とかいってやるなよ」

 「ん? 会長なのあの痛い子」

 「さぁ?」

 「つか、綾人も総輔も生徒会の名前と顔ぐらい覚えろよ」

 「えー、別に興味ないし。でも痛い子には本当びっくりした。何か可哀相だよね、何か痛すぎて」

 「ちょ、綾人。会長を哀れむなよ、本気で!!

 会長可哀相違うから、寧ろこの学園で最も人気あるから!?」

 「え、此処の生徒って痛い子が好きなのか? うえー、趣味悪い」

 「趣味悪いっていってやるなよ。そして会長は綾人から見れば痛い子かもしれないけど、周りから見れば見た目と家柄とか成績とかいいからもてるんだよ」

 「えー、総輔のがかっこいいよ」

 「ノロケんなよ! いきなり。そして総輔も綾人を抱きしめんな!そういういちゃつきは俺のいない所でやれよ!」




会長(直紀)

綾人に痛い子として認識される。

ちなみに前に接触した時は綾人はとられたパフェの事で頭がいっぱいで、俺様発言とか聞いてなかったという。


副会長(名無し)

何だか、無視されてた可哀相な人。綾人も総輔もすぐに忘れてるという。


ヒサギ

綾人と総輔の中等部からの友人。

綾人と総輔の無関心っぷりにつっこみまくるから綾人に『つっこむ人』として初めから認識され、仲良くなった。


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