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俺のモノが世話になったな。

馬鹿でやらかした王道の恋人主人公

正確が悪く、容赦がない。

 「…じん…っ」

 俺深山陣ミヤマジンには恋人がいる。

 バカで考えなしで頭も悪くて、運動神経と明るさ以外取り柄なんてねー奴だけど顔は女みたいに可愛くて好みだからって付き合っている恋人だ。

 その恋人――仲道優輝ナカミチユウキが突然俺の執務室を訪れたかと思うと目の前でぐずぐず泣いているのだ。

 ああ、ちなみに俺は親父に既に会社いくつか任せられてるし高校生だけど社長って位置に居る。

 で、学校を終えて執務室で仕事していたというのにこいつが入りこんできたわけだ。

 それにしても泣き顔そそる。このまま押し倒してやろうかなんて邪な感情を感じながらも、俺のモノを勝手に泣かせた奴は誰なんだという怒りも感じる。

 俺は所有物が、他の奴に苛められるのも靡くのも嫌いなのだ。 

 「じん……、じんっ」

 泣きじゃくる優輝の顔をまじまじと見つめる。

 頬にはうっすらと殴られたような跡がある。

 「…おい、犬。どうした」

 「……犬、じゃなくて、名前ぇええ」

 こんな時でもいつも通り名前で呼んで欲しいと訂正するあたり優輝だなと思う。

 ああ、苛めて名前呼ばないと拗ねてて何か可愛いんだよ。本人はいわねぇけど。

 「あ? 名前なんて今はどうでもいいだろーが。それより誰に泣かされた?後この殴られた跡は何だ?」

 「……うぅう…」

 優輝はひたすら泣いている。

 「お前は俺のモンだろーが。勝手に他人に殴られたり泣かせられたりしてんじゃねーよ。後でお仕置きな」

 「うぅ……っ」

 「で、何があったわけ?」

 相変わらず書類に目を向けながらも、泣いている優輝に俺は問いかけるのだった。

 優輝の話を要約するとこうだった。

 優輝は持ち前の考えなしのバカな行動で高校を一回やめることになりある学園に転入したらしい。

 両親に滅茶苦茶怒られて頑張りなさいと叔父のやってる男子校に裏口入学させてもらったんだとか。

 そしたらその学園―――まぁ、俺の所の学園と似たような場所みたいだな聞く限り―――の人気者に何か友達になったんだとか。

 それで親衛隊激怒。バカは負けるもんか、友達だからと頑張ろうと制裁とかをはねのけてたらしい。

 で、こいつはまたバカだから友達である人気者に誘われて授業をサボって(許可とってくれるっていうかららしいが)生徒会室に入りこんでいたんだとか。

 しかもバカに副会長と会長はキスしたらしい。でも結果何故かバカはバカ故に友達になったらしい。

 告白まがいの台詞は友達がいなかったから勘違いしたんだろうと結論づけ、俺が居るから「やめろ」とはいってたらしい。

 こいつ俺のモノの癖に何勝手にキスされてんだ。

 まぁ、そうやって過ごしてたら徐々に人気者が自分から離れていったと。

 親友だとバカが思いこんでいた同室者は制裁のとばっちりを受けてたんだとか。

 それで同室者が切れて、色々手を回して人気者味方につけてバカは断罪されたらしい。

 生徒会とか風紀の奴らはバカに熱をあげて仕事してなかったという。

 バカのせいで仕事をしなくなったと周りは怒ってて、同室者(見た目は平凡中身は非凡)が役員の目を覚まさせて何かそっちに人気者は惚れたとか。

 バカは学園からの退学を言い渡され、バカの叔父は理事長を退任させられ、バカと叔父は家から見捨てられた…。

 って、このバカ何短い間にバカやらかしてんだ。

 「……うぅ、じ…ん」

 「おい、バカ。何泣いてんだ。つか、勝手にキスなんかされてんじゃなぇよ。お仕置き追加な」

 「うぅ…。俺、かあ、さんととうさんにまでぇええ…じーんー…」

 ぐずぐず優輝は泣いている。

 「だから、泣くなって。お前は俺のモンだから養うぐらいならしてやるから。

 それよりバカやらかす前に俺に連絡しろっていっただろ」

 優輝一人養うぐらいとくに問題ない。第一、俺は馬鹿なことやらかす前に連絡しろって言ったのに何でこいつは連絡しなかったのか。連絡さえしてくれればどうとでもできたんだが。

 「…うぅ…、だ、だって、陣に怒られるかとぉ…っ」

 「バカやらかしてる方が怒るんだよ、バカ。

 考えなしにやるからこうなってんだよ、いい加減学習しろ」

 「うぅ…なーまーえぇえええ」

 「……おい。なきやめ」

 べちっと頭を勢いよくはたく。

 「俺は俺以外に泣かされたり叩かれたりするなっていったよな?」

 「…うっ、ご、ごめん」

 「お前は俺のモノ何だから他の奴に執着するな。他の奴の事でなくな。笑うな。そんな面俺の前で見せたら首絞めるぞ?」

 「うぅ…、陣に首絞められるの痛いから、いやだ」

 「じゃあ泣きやめ」

 「…うん」

 俺の言葉に素直に頷いて、涙を拭う優輝。

 抱きついてくる優輝を適当に突っぱねながら俺は考える。

 ……さて、とりあえず、俺のモノを好き勝手した奴をどうするかね。






 *



 で、俺が何処に向かっているかというと優輝が通っていたという学園だ。

 俺の学園の生徒会の連中――ああ、全員俺の下僕な――と一緒にな。

 ま、下僕っていっても性的関係はないけど。適当に使ってやってるだけだ。俺がそういう関係持っているの優輝だけだし。

 「とりあえず、お前らより奴ら権力低いんだよな」

 「そうです。陣様」

 「そうだよ、陣様!」

 「陣様からしたらもっと下です」

 「あのて低脳な連中が陣様の恋人を害したんですっけ」

 「陣様のモノに手を出すなんて運がないですねー」

 それぞれ返答を返す。

 きっちり調教済みだからこいつらが俺にはむかう事はまずない。

 寧ろ学園の連中は全員、俺の下僕だ。

 「陣様、此処が柊学園です」

 会長にそういわれて学園を見る。

 ふぅん、俺の学園と本当そっくり。

 さぁて、絶望でも与えにくか。

 まずは誰にしようか。

 優輝を殴った奴ら? 優輝にキスした奴ら? それともその非凡だとかいう同室者…?

 脳裏に、優輝の泣き顔と殴られた跡を思い浮かべながら思考する。

 あーあ、むかつくな、むかつくなー。

 俺のモノに勝手に手を出してさぁ?

 アイツがバカやらかして報復したってんだから正しいのはあっちかもしれないけど。

 正しいとかそんなのどうでもいい。

 悪いのは、俺のモノが他の奴に泣かされてキスされて殴られたって事。

 だって、俺のモノなんだよ?

 泣かせていいのも、苛めていいのも、罵倒していいのも、殴っていいのも、キスしてもいいのも、俺だけだっていうのに。

 「うわー、陣様凄い悪い顔してます」

 「陣様を怒らせるなど、本当に愚かだよね!」

 「てか、陣様の恋人さん凄いよな。陣様にこんなに執着されてるって」

 「ほんとほんと、愛され――」

 愛だの何だの言おうとした奴を俺は思いっきりぶん殴る。

 「あ? 俺があのバカに恋愛だの感じてるわけねーだろーが。感じてんのはあっちだ、あっち」

 「わー、凄い勢いでぶっ飛んだね」

 「陣様ってツンデレだよね、微妙に…」

 「あれで恋愛感情じゃなきゃ何なんだろう…?」

 馬鹿な事を言おうとした下僕たちに釘をさす。

 「おい、こそこそバカなこと言ってたら殺すぞ」

 「ごめんなさい!!」

 俺の言葉に一斉に頭を下げる生徒会の奴ら。

 わかればいいんだよ、わかれば。

 それから下僕達と一緒に学園の中に入る。

 俺や下僕達が顔がいいからかキャーキャー騒いでる連中ウザイ。

 親衛隊が優輝に色々手を出していたらしいし、あー、むかつく。

 何で俺のモノに勝手に傷をつけたり、勝手に俺の物の中に入り込んでんだ。

 アイツが俺の物になった時から、アイツが他の物のために泣いたり、他の物に気をとられてるのを俺は許してねぇんだよ。

 全く、初めから俺の学園に入れとけばよかったか。

 家族と離れたくないだとか喚いて、転入するぐらいならうち来いよ。

 怒られるのが嫌だったのか、バカか。

 「おい、迎えは居ないのか」

 「来てないっぽいですねー」

 「陣様が来てるというのに何て言う対応の仕方」

 「陣様ってば怖い顔ー」

 「わー、怖い」

 「本当に格下なのに陣様の迎えにも来ないなんておろかです」

 生徒会メンバーが一気に騒ぎだす。

 俺も怒ってるが、こいつらも怒っているっぽい。

 まぁ、きっちり調教したからな。俺の敵は自分の敵って認識なのだろう。

 「来ないな。中入るか」

 何て呟いた時に、向こう側から6人ほどの人間がやってくる。

 ふぅん。あの見た目が平凡なのがあのバカの同室だった奴か。

 「なぁ、塁よぉ。俺様の――」

 「会長、それよりも早く行きましょう。もう来てますよ!」

 「全く、塁は優しいですねぇ。別に少し待たせるぐらい問題ないですよ」

 「「寧ろいきなり来た方がありえなくないー?」」

 「ん」

 上から、会長、平凡、副会長、双子会計、書記の順だ。

 ちなみに事前にこいつらの事はきっちり調べてるし、誰が誰かはわかるんだけどな。

 それにしてもバカの同室者って生徒会じゃないのに何で来てんだ。

 それに外見本当、平凡だな。優輝の方がよっぽど可愛いぞ。

 「おい、コウ。あの自分の立場わかってねぇバカ共に文句いってこい。

この俺をまたせといて悪気なんてねぇみてぇだからな」

 「わかりました!」

 そう答えたのは会長の鋼だ。ちゃんと躾がなってる事に俺は満足気に笑った。

 鋼は俺の命令通りに生徒会役員+平凡に近づいていく。

 「柊学園生徒会。今回は陣様も来ているというのに陣様を待たせるとはどういう事だ」

 「…は? 陣様だと? そちらこそ、迎えに来た俺様達に向かってそのような態度をとるなんて失礼ではないか」

 「そんなもの陣様を待たせる方が失礼に決まってるだろ?

 お前らと陣様を比べる事自体が間違っている。陣様が光り輝く宝石だとすればお前らは石ころのような存在であって――…」

 だらだら俺の事を語り出した鋼に、その辺に落ちてた石を思いっきりぶん投げる。

 向こうの生徒会+平凡はぎょっとしたようだが、俺や下僕達は気にしない。

 俺は、鋼に声をかける。

 「おい、鋼。文句は言えとはいったが、俺を必要以上に待たせる気か? 俺は速く中に入りたいんだよ」

 「いえ、めっそうもありません!!」

 鋼の反応に向こうの生徒会は驚いた様子だが、下僕達は当然とでも言う風に平然としている。

 「貴様、誰だ?」

 会長がそう問いかけてくるのに、何だかイラッと来ていきなり俺は足を振りかざした。

 ゲシッという音と共に崩れ落ちそうになる会長。

 「誰にんな口聞いてんの?」

 歪む顔にいい気味だと口元が緩む。

 こいつらが、バカにキスなんてかましたらしいからもっともっと屈辱を味あわせて、地獄までおとしてやろうか。

 逆らう奴はぶっ潰す。気にいらない奴は地獄に落とす。

 偉そうな奴をどん底まで落としてやるのは、快感だ。

 さぁて、こいつらはどれだけ無様に喚いてくれるかな。

 俺は怒ってんだ。むかついてんだ。だから、どんぞこまで落とす。

 「貴様こそ、俺様に――」

 「だから、誰にそんな口聞いてやがるって聞いてんだけど?」

 不服そうにこちらを見ていってくる会長を俺はそういって、ドンッと思いっきり蹴りあげた。

 会長の体が揺らぐ。

 苦痛に満ちた顔を見ていると妙に気分がよくなる。

 「な、何をしているんですか!!」

 「「そうだよ、野蛮だよ!!」」

 「ひど…い」

 「駄目です、そんな事」

 向こうの連中がうっせぇけど、知ったことか。

 偉そうな態度してる奴は特にむかつくんだよ。

 だって俺が一番偉いんだぜ? なのになんで俺より偉そうなんだ、こいつ。

 「うるせぇよ。あーあ。本当に虫けらの分際で喚いてんじゃねーつーの」

 「なっ……」

 「私達にそんな事をいって…」

 「許されると思ってんのかって? 当たり前じゃねぇか。

 俺を誰だと思って居やがる。深山陣だぜ?」

 深山、というその名を出せばサーッと青ざめていく彼ら。

 平凡だけは何が何だかわかってねぇけど、知るかよ。

 「なぁ、体育館連れてってくれねぇ?」

 どうせ、思いっきり潰すならこんな場所でだじゃなくて、大勢の前でするべきだろ?

 そっちの方が、断然俺も楽しいし、気分が晴れる。

 そして、俺は青ざめた彼らに体育館に連れていかれる。

 平凡は一般家庭なのか、意味がわからないって様子だったけど。

 バカじゃねーの? こういう学園通っててそういう事情知らないって致命的な気がする。

 思惑をもって、交友関係を作る人間も多くいるっていうのに、と思った。

 『日野学園の生徒会長から――』

 「待った。話があるのは陣様であって、俺じゃない」

 体育館にたどり着いて、マイクを手にした副会長の言葉に、そんな声が上がった。まったく、この俺が生徒会より下とでも思ってるのかとでも言いたくなる。

 うちの学園じゃ、俺がトップで、俺がルールなのは常識だってーのに。

 ツカツカとマイクを手にした副会長の方へと歩く。

 そしてマイクをぶんどる。

 『柊学園の生徒達、俺は深山陣』

 その名を口にすれば、一気に生徒達ざわめいた。

 それだけ、俺の名の意味は大きい。

 ――あの、深山の次期当主?

 ――かっこいい!

 ――そんな大物がなんで…。

 周りが騒ぐ中で、俺は笑った。

 その笑みが何処までも歪んでいたのか「ひっ」と悲鳴をあげるものも多い。

 『俺は自分の物に手を出されるのが、死ぬほど嫌いなんだよ』

 その言葉に意味がわからないとでもいう風にシンと静まり返る生徒達。

 突然の言葉の意味がわからないらしい。

 『自分の物が誰かに勝手に泣かされんのも、殴られんのも、キスされんのも、全部気に食わねえ』

 ざわざわと騒ぎ出す生徒達。

 ――確か深山の跡取りは…。

 ――邪魔する人間に容赦なくてお気に入りに手をだしたら容赦ないって聞いた事あるけど。

 ――え、じゃあ深山のお気に入りに誰か手をだしたの?

 ――そんな命知らずがいたのか…。

 ――てかマジ誰だ。お気に入りって! 知らずに手を出してたとかだと俺らどうなんの!

 ――僕、深山の幼馴染みに手をだして破滅したって家しってるんだけど

 騒ぐだけ騒ぐ生徒達に向かって俺は告げる。

 『――仲道優輝』

 呟いた名前に生徒達が静まり返った。

 ーーーー仲道優輝って…。

 ーーあの、転入生!?

 ーーーーうそっ。あんな最悪なのがあの人のお気に入り!?

 ーーーえ、俺ら全員終わってねえか!

 ーーー深山を敵に回すとか僕らどうなるの。

 ざわざわと煩い。

 最悪ねえ、とおもいながらも俺は笑った。

 その笑みが恐ろしかったのか息を呑むような声が聞こえてくる。

 『あれは、10年前から俺のものだ』

 10年前のあいつはそれはもう可愛かった。

 外見は相変わらずの美少女だったし、ひょこひょこと俺の後ろをついてくる姿に俺のものにするとその時に決めた。

 あいつも俺になついてたし、「俺のものになるか?」と聞けば笑顔で頷いた。

 中学にあがってからは処女を頂いて、体も心も全部俺のもの。

 『で、何しにきたかっていうとさっき言った通り俺は自分のものに手をだされるのが嫌いなんだよ』

 あれは、俺のものであって他のやつに何かされるのを許していないんだよ。

 だからさ、潰されても文句ないはずだ。

 少なくともよっぽどのもぐりでもなきゃ『深山のお気に入りに手を出すな』って事わかってるはずだからな。

 俺だけじゃなく深山の連中はお気に入りに手を出されるのを酷く嫌う。

 出した奴には破滅がまっているのは上級階級では承知の事実だ。

 『俺も鬼じゃないからな。

 流石に全校生徒に何かするとかはしねえよ。あのバカがやらかしたのもあるしな』

 あいつはバカだ。

 昔からバカで、単純で、やらかす事も度々あった。

 ほっとしたような声が、生徒たちから聞こえてくる

 『まあ、生徒会連中とあいつを殴るだのした奴らは許さないけど』

 生徒達が、俺の言葉に一気に戸惑い、そして青ざめる。

 壇上の端にいる生徒会面々の顔は平凡以外すっかり青ざめてしまっている。

 下僕達はそれを面白そうに見てる。

 「あ、あいつが悪いのに何で会長達が何かされなきゃならないんですか!」

 誰も反論なんて出来ないーーーーというよりしてはいけないとわかってる中で平凡は喚いた。

 それにますます周りが青ざめているのに気づかないらしい。

 酷く不愉快な気分になった。

 「知るかよ。あのバカは確かにバカだけど何も好き好んでアホな事やらかさねえしな。

 それに悪いとかは俺にはどうでもいい。

 重要なのは俺のものに手をだされたって事実だ」

 悪いとか悪くないはどうでもいい。

 そもそも改心したんだか何だか知らんが結局あのバカが全て悪かったと押し付けたとも言えるし。

 生徒会にはやり直す機会が与えられて、あいつには与えられないで追い出されたってのも理解不能。

 そもそもあのバカが調子にのったのも周りが調子にのらせたってのもある。

 そもそも、

 『やったならやり返されても文句ねえだろうが』

 やったならやり返されそうになってぐだぐだいってんじゃねえよ。

 俺が好き勝手やるのはやり返されても問題ない、やり返されて痛い目にあってもそれは俺の力不足って思ってるからだ。

 最悪の事態を考えて行動する事が出来なきゃ、予測不能な事態になったら冷静に対処できねえし。

 あーあ、この学園の生徒会って馬鹿ばっか。

 「でも、僕はあいつのせいでーーーー」

 でも今最高潮に俺をイライラさせてるのは平凡だ。

 何こいつ反論してきてうざいんだけど

 「先輩たちは何も悪く――」

 『うざい』

 何だか一人わめいてる平凡がうざくてうざくて仕方なくて、とりあえず蹴った。

 不意打ちで蹴られて勢いよく吹っ飛んでいく平凡。

 ドンッという音とともに体が崩れ落ちていく。

 「塁!!」

 柊学園の生徒会はあわてて、平凡に駆け寄る。

 そして、俺を睨みつけてくる。

 本当にバカばっか。どっちが上かぐらい理解してるだろうに。

 俺が捕食者で、あっちは獲物。

 そんなものだってのに、睨みつけてくるとかうざい。

 あーあ、平凡は直接的にあいつが追い出されたのに関与してないからそこまで落としてやんないでいいかと思ってたけど、気が変わった。

 向こうの生徒会に予定してた場所まで落としてやろう。

 やるなら、相手がはむかう気力がなくなるまでやるべきだろ?

 『じゃ、とりあえずお前ら生徒会と平凡は家と絶縁な。ついでにどっか外国に飛ばしてやるから、せいぜい頑張れば?』

 誰も自分を知らない、自分を救ってくれる人がいない。

 そんな場所でせいぜい頑張ればいい。

 誰かに売るかするのもいいかと思ったけど、それじゃあつまんねぇしな。

 買った人間がこいつらを大切にするようでは、面白くない。

 なら、だれも頼る人のいない場所に放り出す方がいいだろ?

 その後は知らない。這い上がるでも、おちぶれるでもなんでもすればいい。

 「な――」

 「塁、よせっ!」

 向こうの会長があわてて、平凡の口をふさぐ。

 賢明な判断だな。これ以上うざければもっとひどいことにしてやろうと思ってたのに。

 『で、手を出した連中は全員調べてやるから絶縁状態で日本で頑張れば?

 ま、お坊ちゃんたちにはきついかもしれないけど、俺のもんに手を出したのが悪いし?』

 此処がお坊ちゃまばかりの学校だからか、深山ににらまれたら生きていけないことよくわかってる。

 だから、絶縁なんて簡単にさせられる。

 生徒たちの中で何人もが青ざめていく。

 さて、あとはもういいや。さっさと帰ろう。

 こんなバカ共にこれ以上時間を使う気はない。

 「おい、下僕」

 「なんですか!」

 声掛けにずっと黙っていた下僕たちが反応する。

 「生徒会、平凡、あと対象者を全員そのまま連れ出せ。できるだろ?」

 「はい」

 「もちろんです!!」

 「「連れ出して放り出してきます!!」」

 「わかりました」

 その言葉に俺は笑って、そのまま学園を後にした。






 *




 「陣!!」

 車に乗って、家に帰れば犬が泣いて飛びついてきた。

 ぐすぐすと泣いている犬の頬を思いっきり引っ張る。

 「おい、何泣いてやがる」

 「うぅ…。痛いよ、じんっー…っ」

 泣いてこちらを見上げてくるバカ。

 いつものことだから、周りの使用人たちはこちらに視線を向けるだけだ。

 「おい、俺はなんで泣いてんのかって聞いてんだよ」

 「起きたら、陣がいないから……、うぅ、陣にまで、捨て、られたかと思ったーっ」

 その言葉に、バカの頬をようやく離す。

 俺が原因で泣いてるならまだいい。

 「じーん…っ、俺のこと、捨てないでっ!!」

 必死に涙を流しながら、バカは俺を見上げてくる。

 「……」

 「うぅ…」

 「……」

 「無視しないでよぉ。陣っ」

 泣いているバカの頭をべちっと叩く。

 そして、俺は言った。

 「すてねぇから、泣くな」

 「うぅ…陣っ」

 俺の言葉にバカは思いっきり、俺に抱き着いてきた。

 なんかなき顔そそるのもあって、むらっとしてきた。

 「おい、バカ。溜まってんだよ、抱かせろ」

 「……うん」

 俺の言葉にバカは顔を赤くして、うなづいた。

 いい加減、慣れろ。そういうセリフにと思う。

 そのまま俺はバカを抱えて、部屋に向かうのであった。

 その後、情事を終えて見たスマホに下僕からきっちりとやり終えたというメールがきていた。

 ま、俺のもんに手を出したのが悪いんだからせいぜい後悔すればいい。

 俺はそういって口元をゆるめて、すぐわきのベッドで眠るバカの頭を軽くなでるのであった。



end


アンチ王道を追い出した後、仕返しされるお話を書きたくなってできました。


やったって事はやり返されるのも当然な気がしますしねぇ。


追い出したなら追い出される覚悟もいると思いますし、苛めたら苛め返されることもあるでしょうし。


陣の場合は逆らうとか手を出すとかしなきゃあんまりぶっ潰したりしません。

偉そうだし、すぐ手足が出ますが、本気でむかつくことしてこなければ絶縁とかさせませんしねー。



深山陣ミヤマジン

世界でも有数の家の長男。暴君。自己中。

美形で、容赦なし。使えないものは基本すぐ切り捨てる。

面倒なものもすぐ切り捨てる。

でもなんだかんだで優輝に執着しており、優輝のことだけは切り捨てない。

本人否定してるけど、優輝の事は大切に思っている。態度がいくらひどくても。

素直じゃないので、あんまり優しくない。

寝てる間に頭なでたりするくせに起きてる間はあんまなでない。

柊学園によく似た学園に通ってる。その学園は陣の絶対王政。生徒たちは陣の言うことにはまず逆らわない。



仲道優輝ナカミチユウキ

バカ。単純でよくやらかす。顔は美少女顔。

運動神経はいいけど、勉強は全然出来ない。

王道展開でキスされた時「嫌だ、陣に怒られる。ほかの人と嫌だ」と思っていたけど、バカなのでその後仲良くしてたらキスされたこと気にしなくなってました。

陣の事は大好きなので、怒られて蹴られても後ろついて回ります。

結構すぐ泣きます。でも他人のせいでなくと陣に怒られるので結構我慢します。



優輝はこの後、陣のいる学園に編入させられる予定。

金さえ払えば入学はできるので。



柊学園の生徒会と平凡は…、言語もわからない外国の土地に放り出されました。バラバラで。


陣はなんだかんだで優輝の事好きなので、手を出されたらいつも以上にひどいことします。


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