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シロとクロ 2

 「ねぇ、クロ」

 「ん?」

 「最近学園騒がしいねー」

 ただ今教室に居る俺とクロ。

 今は三時間目の後の休み時間、俺とクロは隣の席。

 で、俺はクロに椅子ごとくっついて、お話中。

 「ああ。親衛隊が荒れてるし、転入生が何かやらかしたらしいからな」

 「転入生? って、毬藻君かぁ。俺見たことないけど」

 「面倒だし、シロは会わなくていい」

 「ん。興味あるけど、俺クロがいればいいからいいやー、会わなくて」

 転入生が生徒会とかに気にいられているから、何だか学園中がバタバタしている。

 俺とクロの生活は学園がバタバタしていようと対して変わらないけど。

 だって、何が起ころうとも俺とクロは何も変わらない。

 俺よりも背の高いクロの顔を見つめる。

 それだけで、何だか笑みが零れた。

 「どうした?」

 「んー、クロの事大好きだなーって思っただけだよー」

 クロと一緒に居るだけで、凄くうれしくなる。

 大好きだなって気持ちが溢れだして、ぽかぽかとした暖かい感情に包まれる。

 「そうか。本当シロって可愛いな」

 「クロにそう言われるのうれしー。クロはいつもどおり、かっこいいよ」

 「…お前ら毎回思うけど本当バカップルだよな」

 クロといつも通り会話をしていれば、横から声が響いた。

 ふと視線をずらせば、クロの前の席の友人――久司が苦笑を浮かべていた。

 「バカップルぅー? 俺とクロラブラブにみえるー?」

 「…うん、見える。てかお前がバカップルに見えなかったらそいつの目はおかしい」

 「うれしーなー。俺とクロラブラブー」

 そういって、笑った俺の頭をクロが優しく撫でてくれる。

 そんな俺らを見て、また久司は呆れたように笑った。

 ふと思い出したかのように久司は切り出した。

 「そういえば、転入生にまきこまれてる奴がいるって知ってたか?」

 「まきこまれー?」

 「噂のウザイ奴にまきこまれてる奴か、聞いた事はあるな。特に興味はないけれど」

 上から、久司、俺、クロの台詞である。

 んー? よくわからないけれど、転入生は誰かを巻き込んでのかなー?巻き込まれた人大変なのかなー? 転入生って、面倒だって噂だしぃ。

 でもまぁ俺には関係ないけどねぇ。

 そんな気持ちで久司の話を聞く。

 「そう。黒羽クロハがいってるその巻き込まれがさ、不思議と制裁とかを回避してるっていうんだよな」

 「しんえーたいが下すやつー?」

 「そう、転入生に連れまわされて生徒会とかに遭遇してるはずなのに被害がないことが不思議でさ。親衛隊に話を聞いたら青ざめて何も答えないし」

 「…へぇ?」

 クロが、久司の言葉に面白そうに眉をひそめた。

 「面白そうだなぁ」

 「…んー、クロ。俺以外に興味もっちゃやー!!」

 思わずクロが他の人に興味を持つの嫌だな、と口にする。

 「面白そうって思っただけだよ、シロ。本当可愛いよなぁ、シロは。安心しろ、シロに俺は一番興味あるから」

 そんなクロの言葉に嬉しくなって、頬が緩む。

 久司が呆れた目で「お前らいちゃつきすぎだろ」と呟いていたが、そんなの気にせず俺はにこにこして、クロにくっついていた。

 「それでさ、まぁ、とりあえずその巻き込まれの同室者の噂が色々出回っててさ。

 背中に刺青があるだとか、実はヤのつく家の子供だとか、えげつないとか、あたってるのか不明だけど」

 「いれずみー? 痛そうだねー」

 「でも結構出回ってるから本当かも、背に蝶の刺青彫ってあるらしいんだよな」

 「ちょうちょー?」

 久司の言葉に、何だか頭の中で何かが引っ掛かる。

 それに、俺は何処かでそんなの見たことあったっけ?と思考を巡らせる。

 クロの方を見れば、クロは何か思い当たることがあるような表情をしていた。

 刺青ー? 刺青してるような人だと、多分遊びで不良やってた頃かなー?

 「へぇ、刺青ねぇ

 ――シロ、ちょっと次さぼらね?」

 「ん? 突然どうしたの? まぁいいよ。クロと一緒にさぼるー」

 突然俺の事を誘って、椅子から立ち上がるクロ。

 そして、そんなクロの後に続いて俺も席をたつ。

 「サボるのかよ」

 「うん」

 「ああ」

 久司の問いかけに頷いて、俺とクロは教室を後にした。

 もうすぐ授業開始の時間だからかすっかり人がいない廊下を並んで歩く。

 右手でクロの手を握って、下からのぞきこむようにクロの顔を見て問いかけた。

 「クロ。刺青に、心当たりあるのー?」

 「ある。だって、蝶のだろ? というか、シロも心当たりあるだろ」

 「えー?」

 クロの言葉に本当に思いだせなくて頭をひねる。

 だけど、やっぱり、わからなかった。

 そんな刺青している知り合いなんていたかなーと思う。

 「ほら、俺らが暴れてた頃に、『黒蝶』っていただろ、シロが「ちょうちょさん」ってよんでるアイツだ」

 「ちょうちょさん!? あの? え、ちょうちょさんがばれてるのー?」

 「ちょうちょさん」は俺達が不良なんてやってた頃に出会った、情報屋だ。

 喧嘩が強くて、暴走族にも一目置かれてて、綺麗な戦い方をするお友達だ。

 結構仲良しだったし、連絡先も知ってるけれど、最近連絡取っていなかった相手だ。

 そんなちょうちょさんがまさか学園に居て、巻き込まれてるとか、全然想像してなかった。

 「クロ、ちょうちょさんに連絡するー?」

 「そうだな。連絡だけするか。関わる気はねぇけど」

 「うん。というか、ちょうちょさんなら絶対一人で何とかできるしきっと大丈夫だよ」

 「だろうな。とりあえず、これから寮戻ってゲームでもするか?」

 「連絡はー?」

 「今、授業中だろ。多分『黒蝶』の奴授業出てるだろ。転入生に連れ出されてない限り」

 「ああ、なるほどー」

 結局そのあと、俺とクロは寮に戻ってのんびりとしていたのだった。



end




―オマケ、会話文のみ(シロはクロの声に感想漏らしてるだけ。クロ+『黒蝶』の電話の会話)


 『久しぶり、『白虎』』

 「ああ、久しぶりだな、『黒蝶』。ところで、お前って、鳶川学園に居るのか?」

 『え、は? 何で知ってんの?』

 「やっぱり、お前か。巻き込まれ君って」

 「ちょうちょさん、学園在中かぁー」

 『いやいや、つか何で知ってんの、『白虎』」

 「俺と『ウルフ』も鳶川学園だし」

 『はぁ? じゃ、あのくそうぜぇ毬藻放置してていいのか? 『ウルフ』名乗ってるけど』

 「関わるのめんどくせーし。俺の『ウルフ』狙ってる奴に見せたくないし」

 『あぁ…。お前『ウルフ』の事大好きだもんな』

 「ああ、そりゃあ、『ウルフ』の事は好きだ。寧ろ愛してる」

 「わぁー。俺もクロ大好きー」

 『いや、つか、『白虎』も俺が巻き込まれてんだから、助けろよ』

 「いや、お前なら大丈夫だろ。寧ろ瞬殺できそうなのに、何でやらないんだ?」

 「ちょうちょさん、強いもんねー」

 『目立ちたくねぇんだよ。あと、ヘタに金持ちだからもうちょっと時間かかる』

 「ま、頑張れば?」

 『ちくしょう、マジ関わる気ねぇのかよ! 本名だけでも教えろよ』

 「会いにくるなら、転入生達排除してからにしろよ」

 『わかってる。で、名前は?』

 「俺が小泉黒羽コイズミクロハで、『ウルフ』が高浜白タカハマハク

 『は? ってお前らシロクロコンビか。学園で噂の溺愛カップルの』

 「ああ。気付かなかったのか? 俺ら結構目立ってんのに」

 『ああ、全然しらなかった。ま、潰したら連絡する』

 「ああ、じゃあな」




end


で、本名が、クロが小泉黒羽で、シロが高浜白です。



巻き込まれ君が、知り合いの情報屋。

『黒蝶』とか呼ばれてる結構な有名人。


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