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愛の巣に侵入者です。

同室同士のいちゃいちゃ。アンチ君がいます。

 「此処に居たのか!」

 そういって扉を勢いよくあけて中へと入ってくる一人の人物がいる。

 ボサボサ頭にいかにもな眼鏡。身だしなみに気を付けた様子は一切なく、正直いって汚いとしか表現しようがない。

 というか、

 「転入生君、何不法侵入してるの?」

 そもそもここは僕ともう一人の寮の自室である。何でそんなところに勝手に入ってきてるのだろうか。

 「いいだろ、別に! 俺らは親友なんだから」

 「いや、親友じゃないし」

 ばっさりと僕がそういうのも当たり前だと思う。

 ただ単に席が隣だったというだけだ。

 転入生君と会ったの昨日が初めてだし。そもそも親友だったとしても不法侵入はしてはいけないことだと思う。

 「第一、鍵しめてんのにどうやって入ったの?」

 「おじさんが特別なカードくれたんだ!!」

 その言葉に理事長の甥だっけ、この子と思考を巡らせる。恐らくそういうすべての部屋を空けれる特別なマスターキーのカードをこいつに理事長は与えたのだろう。

 どうでもいいけど身内贔屓してるとか理事長の評価が一気に下がった。

 僕ら風紀委員は理事長は身内贔屓とかしない人だと思ってたのに、甥だからって理由で特権を与えるなんて。

 本当にがっかりする。

 つかはやくどっかいってほしい。

 転入生君が騒ぐとあいつが目を覚ましてしまうじゃないか。

 「理事長がカード渡したのはどうでもいいけど、出てってくんない?」

 そもそもこの転入生、生徒会やら爽やかやら不良やらに気にいられてるはずだから此処に居られても困る。あいつらめんどくさい。

 「何でそんな事いうんだよ! あ、つかこの部屋相部屋だよな。同室者紹介しろよ」

 「え、嫌」

 何で僕の大事なあいつを見せなきゃいけないの。

 というよりあいつの場合多分転入生君と合わないと思う。そんな思いから即答すれば、転入生君はまたうるさく騒ぎだす。

 「嫌って何だよ! 俺は――」

 「煩い」

 転入生君が騒ぐ中で、僕と転入生君以外の声が響いた。

 凛とした声が、その場に響く。

 振り向けばあいつ―――燈樹が居た。

 眠たそうに欠伸をしながら、燈樹は転入生君を見る。

 「きぃ、噂の転入生が何で此処いんの?」

 不思議そうに問いかけながら、燈樹はこちらに近づいてくる。

 「あー、何か気に入られたみたい」

 「俺と喜一は親友なんだ!」

 そういって腕を掴まれた。

 ………だからいつ親友になったんだ。

 しかも腕痛い。

 どんだけ力強いんだろう、転入生君って

 というか僕転入生君の名前も知らないのに親友言われてもなあ…。

 「親友? 俺はきぃからおまえときぃが仲良いなんていう話は聞いてないけど?

 つか親友にしても無理やり入ってくんのは関心しない」

 「なんでだよ! 親友なら何してもいいんだぜ

 つかお前が喜一の同室者か! 名前教えろよ」

 あ、眉間にしわが寄ってる。

 不愉快そうに、燈樹は転入生君を見た。

 というか、転入生君の言葉突っ込みどころが多すぎる。なんだ、親友なら何してもいいって。

 「はぁ? 何で俺が、お前に名前教えなきゃいけないの? そもそも、そのきぃの手離せよな? 痛がってんのわかんねぇの?」

 「何で教えてくれないんだよ!!

 俺が聞いてんのに」

 「…本当、意味わかんねぇな、お前。

 きぃ、今すぐこいつどうにかするからちょっと待ってろ」

 転入生君に呆れたような視線を向けたきぃは僕の方を向いて優しく笑った。

 燈樹の優しく笑ってる顔は好きだ。

 仲良い人にしか見せないから、余計、僕に見せてくれるんだっておもうと嬉しい。

 燈樹はスマホを取り出して、どこかに電話をかけ始めた。

 「おう、理事長さんよぉ? あんたの甥っこ、うざいんだけど? てか、俺ときぃの部屋に入りこんでるっていうか。

 つか、きぃ、俺のなのに、いつまでも腕つかんでるし?

 なぁ、理事長さん、甥っこなら、躾ぐらいちゃんとしろよなぁ?」

 ……どうやら理事長に電話をかけているらしい。

 普通に理事長の電話番号知ってるあたり、燈樹は色々凄い。

 というか、見た目重視の美形が沢山居るこの学園で、平凡な顔立ちなのに色々と有名人な燈樹って、色々凄いよなぁと改めておもう。

 「つーかさ、何? 甥っ子に甘々らしい、理事長さんもそうだけどさー。生徒会の奴らも、こんな不法侵入するような奴に甘くして、我儘聞きまくってるって馬鹿なの?

 というか、ぶっちゃけさ、不法侵入して俺のきぃの腕つかんだままとか俺に喧嘩売ってると解釈してもいいんだけど」

 「おじさんに何いってんだよ!!」

 燈樹の脅すような言葉を聞いて、転入生君が逆上している。

 「…転入生君、ちょっと黙って、あと、流石に腕離して」

 燈樹の邪魔をしないでという意味と、いい加減腕を話してほしくて告げる。

 「何でだよ!! 別にいいだろ」

 「いや、痛いんだけど」

 いつまでも腕をつかんでいる転入生君。

 というより、電話をかけている燈樹の目が、徐々に冷たくなってるのに、気付いて、転入生君…。燈樹は怒ると怖いから怒らせないほうがいいと思うんだけどなー。

 「あぁ? 喧嘩売ってません? なら、この餓鬼どうにかしろってーの。今も俺のきぃの腕つかんでるんだぜ? さっさとどうにかしなきゃてめぇの秘密ネット上でばらすぞ? それか、はずかしい写真でも出会い系サイトにでものせてやろうか?」

 ………別に燈樹がこうなのは、いつもの事だけど、容赦のない脅しっぷりだ。まぁ、かっこいいから見ている分には良いんだけど。

 「りょーかい、すぐ引きとりにこい」

 そう言って、燈樹は電話を切って、また別の場所に電話をしだす。

 「なぁなぁ、喜一。結局あいつ何て言う名前なんだよ!! 教えろよ」

 「……はぁ」

 どうでもいいけど、マジ離してほしい。なんでこいつはこんなに腕を離してくれないんだろうか。

 「おー、会長か? お前のお気に入りとか、マジ邪魔なんだけど?」

 今度はどうやら会長にかけているらしい、燈樹。

 「俺ときぃの部屋に不法侵入して喚いてきぃの腕つかんでんだけど。もうぶちのめして追い詰めてぐちゃぐちゃにしてもいいかな?

 つーか、気にいってんなら監禁して二度と離さないぐらいしろよな? 俺に迷惑かけるとか、マジないわ」

 会長に対しても相変わらずな燈樹はかっこいい。

 「あぁ? 俺に、脅しかけようっていうの? たかが会長のくせに? つか、マジ喧嘩売ってんだろ。

 いいんだな、オッケー。そんなに俺に潰してほしいならはやくいってくれればよかったのに。喜んでお前の弱みも秘密も全てばらして、警察沙汰になりそうな家がもみ消した事件も敵会社に送りつけてやるから」

 ………隣では転入生君がまだ腕をつかんで喚いてる。

 目の前では、燈樹が明らかに会長を脅している。

 うーん、これ周りから見ればなかなか不思議な光景じゃないか、なんて呑気におもう。

 「ん? なんだよ、謝るのかよ、つまんねぇの。せっかく会長をどん底まで落として絶望をあじあわせてやろうとおもったのに。

 つか、俺を脅してきたのに、すみませんでしたのたった一言で許されるとおもってんの?」

 『すみませんでしたぁああ! 失言です、失言ですから!!』

 うわぁ…。会長の必死の声がスマホから聞こえてくるよ。

 てか、燈樹脅そうとするとか会長バカすぎる。

 「まぁいい。とりあえず、てめぇのお気に入り回収しにこい、邪魔」

 それだけいって、燈樹は電話を切ると、こちらを見てにっこりを笑った。

 何だか、冷たい笑みを浮かべてる。

 僕に危害が加わる事はないだろうけど、とりあえず、転入生君ドンマイとだけ心の中でいっておく。

 「いつまで、きぃの腕握ってんの?」

 燈樹はべりっと転入生の腕を僕から離すと僕を抱き寄せた。

 燈樹は僕より背が高いから、僕はすっぽり、燈樹の腕の中だ。

 「何やってんだよ!!」

 「てめぇこそ、何やってんだよ。俺のきぃが嫌がってんのにべたべた触ってんじゃねぇ。

 つかキモイんだよ。何人の部屋に不法侵入してんだよ」

 うわー、燈樹が怒ってる。

 ……転入生君、謝るなら今のうちだ!と心の中だけでおもう。

 転入生君の事好きじゃないし口に出してまで謝った方がいいという気にはなれない。

 「きもいってなんだよ!! 大体人にてめぇなんていっちゃいけないんだぞ!!」

 「……」

 ああ、燈樹が無言で笑ってる。

 絶対なにかする気だ。

 そんな事をおもっていたらバタバタと慌てた足音が響いた。

 「―――太郎!!」

 「こ、こっちに来るんだ!!」

 「「太郎ちゃん、だいじょーぶ!?」」

 「というか、太郎! あ、あの、篠原燈樹の部屋に入るなんてっ!!」

 「はやく出よう!!」

 というか、転入生の名前、太郎ってダサいなぁ、と呑気に考えながら僕はいまだに燈樹の腕の中だ。

 生徒会の奴らも、理事長も燈樹に色々弱み握られてるから慌ててるらしい。

 「――俺は、こいつと友達になるんだ!!」

 しかし彼らがどれだけ慌てようが転入生はそう告げる。

 「やめなさい!」

 「やめてください」

 「やめてー!!」

 「こ、これ以上奴を怒らせるな!」

 「か、帰ろうよー、太郎ちゃん」

 慌てたような生徒会と理事長達に思わず苦笑しそうになる。

 「いいから、はやく連れてけ。馬鹿共。このマリモが何しようが俺はどうでもいいんだよ。

 俺ときぃに関わってこないならな。つーわけで、とりあえずそのマリモむかつくからなにかやっちゃうかもしれねぇけど、まぁ、いいよなぁ?」

 にっこりと、楽しそうに笑う燈樹の声が、耳に響く。

 生徒会と理事長達はびくっと体を震わせていた。

 「た、太郎! あ、謝りなさい」

 「大変な事になるから謝れ!」

 「「せ、せめて謝ってー」」

 「何で俺があやまら――」

 謝る気もゼロな転入生君の、言葉は突然やんだ。

 というのも、ボカッ、と燈樹が投げた本が転入生君に直撃して、思いっきり倒れたからである。

 バッターンっと、後ろに倒れる転入生君。

 そして、倒れて気絶した転入生君と、それに慌ててかけよる奴らを見ながら燈樹はいった。

 「はやく、そいつ連れてって。で、二度と俺ときぃに近づかないように調教よろしくね? しなきゃ、俺何するかわからないから」

 …そうして、青ざめた生徒会と理事長達は慌てたように転入生君を連れて出ていくのであった。

 流石、燈樹は相変わらず、平凡な顔立ちでも非凡。

 ……今日もかっこいいなぁ、って思わず口にしたら、そのまま襲われました。




end



燈樹

情報収集能力がすさまじい男。基本的にすぐに人の弱みやら過去を調べ上げる。

金ほしいとか言いながら情報屋やったりする。

理事長+生徒会達の弱みもしっかり握っていて、以前に痛い目あわせた事があり、異常に脅えている。

顔立ちは平凡。しかし、誰も文句が言えない。怒らせたら容赦ない。

生徒会や理事長よりぶっちゃけ、権力上っぽい人。



喜一

下っ端風紀員。

喧嘩の腕は結構強いらしい。自分を僕いう子。

燈樹の恋人だから誰も手が出せない。

転入生の事うざがってる。


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