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君は今日もあいつ命、で、俺は今日も君を見てる。 2

続き

 「里桜…」

 「どうした、梓」

 「ど、どうしよう。会長様に夜来るように呼ばれちゃった…」

 顔を真っ赤にしてそんな事を言う梓に俺が固まったのは言うまでもない。

 会長は、親衛隊をセフレ同然のように考えている。

 親衛隊隊長がお気に入りらしくよく呼ばれていて、他にもちょくちょく好みの人間が居ると呼びだしたりしている。

 とはいっても最近は会長の下半身が大人しくなっていたのか、セフレが呼ばれる事はなかったらしいが、は? 梓を呼んだ? ざけんな、クソが。そんな気分にしかならない。

 梓の処女を会長何かに渡してたまるか!!

 つか、意中の相手が出来たとか噂されてんなら梓を呼ぶな。

 というわけで……、梓に睡眠薬を盛った。一晩ぐっすり眠ってもらおうと思って、3時ぐらいに。

 さて、夕方のうちに会長の所いって、梓はこれませんって言いにいかなきゃ。

 梓の同室者は俺の友人だからそいつに眠っている梓を預けた。

 事情を説明したら、「お前なぁ……。梓にばれたら怒られるぞ?」と呆れられたけど、ばれなきゃいいんだよ、ばれなきゃ。

 そうして、生徒会室に向かう。

 「あれ、中里君じゃん。珍しいね、周防君と一緒じゃないって」

 そういって、声をかけられる。

 振り向けば、生徒会書記の浜中がいた。

 浜中は俺と梓と同じクラスである。

 生徒会の中で唯一親衛隊を毛嫌いしておらず、俺と浜中は普通にクラスメイト以上友人未満みたいな感じだ。

 「会長のクソが夜に梓呼んだから」

 「…へぇ? で、どうしたの?」

 「梓に睡眠薬持って眠らせたから、会長に梓は来ないっていいに行こうと思って。ついでに二度と梓をんな事で呼びださないようにしようと思ってな」

 「え、何脅す気?」

 「会長の兄ちゃんと実は友達なんだよ、俺。で、色々電話で聞いたから脅すネタはばっちりだ」

 「うわー、本当中里君って、周防君好きだね」

 そのまま、俺は浜中と一緒に生徒会室に入った。

 そこには、会長以外いなかったわけだけど、会長は何故か俺を見た瞬間固まった。

 「会長」

 「…何だ?」

 何故微妙に挙動不審なのか俺には一切わからないが、とりあえず言いたい事だけいって帰ろう。

 「周防梓を夜に呼ぶとか、マジやめてくれない? 今度梓を夜に呼んで抱こうとかそんな事しようとするなら会長の秘密ばらすから」

 「え、は?」

 「俺、会長の兄ちゃんと友達なんだ。それで聞いたから。あと、今日梓はいかないから。これからも二度と呼ぶな」

 思いっきり睨んでそういう。

 だって、本当むかつく。

 梓を夜に呼ぶとか。ああ、もう梓の処女を会長何かにやるとか死んでもやだ。

 俺は梓が欲しいんだ。それも、俺以外を知らないままで。

 会長みたいな馬鹿にやれるか。

 「………お前、周防が好きなのか?」

 何故か、帰ってきた返事は了承の声じゃなくて、そんな疑問。

 しかも、何故か顔を歪めてる。なんか気色悪いな。そんなひどい感想しか出てこないのは俺が会長の事嫌いだからだろう。

 「好きだけど?

 だから、梓はいつか俺のモノになる予定なわけ。手を出したら潰すから」

 会長だけ潰す事は、俺の家柄とか、会長の兄から聞いた秘密とかで可能だし。

 つか、マジ梓に好かれてるってだけで、むかつくんだよ、クソ会長!!

 「じゃ、浜中。俺帰る」

 「あー、うん」

 何故か、そんな心ここにあらずな、何かを考えるような返事を返す浜中。

 どうしたんだ? と疑問に思う。

 何故か顔を歪めている会長と、変な顔の浜中。

 まぁ、どうでもいから早く梓のもとにいきたい。

 ……睡眠薬盛ったっていっても、途中で目を覚ます可能性もなくはないから。  それで会長の所にいくとかなったら本当、いやだから。

 ああ、もう、何で梓はあんな会長が大好きなんだろう。

 生徒会室から出て歩きながらそれを考える。

 梓は会長命。それはずっと知ってる。

 会長の事ばかり口にしているの、ずっと知ってる。

 でも、渡したくないし、梓が喜んだとしても抱かせになんていかせたくない。

 身勝手な行動だし、身勝手な思いだってわかってるけど。

 俺は梓が好きだから。

 あー、くそっ、梓が俺の事好きになってくれればいいのに。

 そうしてまた今日もどうにもならない事を俺は考えるのである。

 ………これでまた梓を会長が呼ぶなら本気で潰す。学園内の人気ガタ落ちにまで追い詰めてやる。

 そんな黒い感情を胸に俺は梓のもとに向かうのであった。


end



オマケ(書記side)



 中里君が去った後、俺は何とも言えない気分になりながら、会長を見た。

 「………」

 会長は顔を歪めていた。それはもう悲しそうに。

 え、ちょ、まさか…という思いが正直僕の中を駆け巡っていった。

 「えーっと、会長。中里君に惚れてるの?」

 恐る恐る、もしかしたらと今の一瞬でおもった事を問いかける。


 「………」

 あー。無言の肯定って奴だ、これは。会長って、違うならはっきり否定するし。

 「えーっと、じゃあ会長周防君呼びだそうとしたのは?」

 「………中里里桜について聞こうと思ってな」

 「あー。あいつら親友ですもんね」

 ようするに、夜に呼びだしたのは抱くためじゃなくて、情報が欲しかったらしい。

 ああ、会長が最近セフレと寝てなくて、意中の相手が出来たと噂されてたけど、それがまさかの中里君だとは…。

 「えーっと、会長。中里君は周防君大好きだから無理だと思うけど…」

 というか、明らかに脈がない。

 中里君って周防君大好きだからね。周防君は気付いてないけど、周りに結構バレバレな感じだし。

 周防君が会長の親衛隊居るからって会長の事嫌ってるらしいし。明らかに無理だと思う。

 「なっ…、無理とか言うな」

 「いや、無理だって」

 僕がそう断言しても、会長は顔をゆがめながらもだけど、諦める気はないという表情。

 え、何この三角関係。

 中里君は周防君が好きで、周防君は会長の親衛隊で、会長は中里君が好き。

 んー、微妙すぎる。

 ……とりあえず、僕は傍観しとこう。関わるとめんどくさそうだ。

 そう、僕は思うのだった。


end


会長。

梓の思い人。親衛隊なんて汚いとか思ってる癖にセフレにしてたような奴。

しかし、何故か里桜に惚れてしまうという。


浜中

生徒会書記。三角会計に気づいて微妙な気持ち。


ちなみに書記も会長も主人公とは同じ学年です。


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