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気まぐれな猫と飼い主

溺愛

沢山の人に求められるけれど唯一の人以外どうでもいい気まぐれな子とかいます。


 暇だなぁ、と街をブラブラと歩く。

 そうして、色んな人と仲良くなっていく。

 俺は自分でいうのもなんだけど、結構人に好かれるらしい。

 だって、なんか皆俺を可愛がってくれたりする。

 今日は、夜の街を歩いていて出会った暴走族のアジトにいたりする。

 「なぁなぁ、昌さ、俺らん所はいらねぇ?」

 「他ん所にも誘われてんだろ?」

 「つか、可愛いよな、お前」

 そうやっていってくるのは、この地域の暴走族のトップの連中。

 俺は交流関係が広い。

 色んな暴走族の総長達とも仲良くやってるし、学校でも友達は沢山居るつもりだし、色んな人と仲良くしている自覚はある。

 「はいんないよ」

 そういって笑えば、彼らは言った。

 「だよなぁ」

 「お前って気まぐれな猫って感じだもんな」

 「きっと一か所にとどまんねぇんだろ?」

 俺の事をよく知っているという風にそう、当たり前のように言う彼らを不思議に思う。

 確かに俺は飽きたら結構色んな場所に顔を出さなくなったり、自分の思うままに自由気ままに生きてる自覚があるし、あの人にも猫みたいって言われた。

 でも、

 「俺にだって特別な場所ぐらいあるよ?」

 俺にも、特別な居場所ぐらいある。








 *


 あのあと、特別な居場所があるっていったら、あいつらはそれは何処だだの、俺らん所じゃ駄目なのか、だのうるさくて、面倒になって帰る事にした。

 ―――あいつらが、俺を望んでるのは知ってるよ。

 沢山の人が、俺にそばにいてほしいって言ってくる。

 でも、俺にとっての特別な居場所はあの人の隣だけなのだ。

 ふぅ、と息を吐く。

 あの人は、全寮制の高校に通っていて、中々帰ってこない。

 その全寮制の高校って、中等部からあるんだけど、てか、あの人はそこに中学から通ってて。

 俺は今中学三年生で、本当は小学校卒業した時、あの人の所行きたかったんだ。

 でも両親に心配だからって反対されて、諦めた。

 本当はかなり渋ったんだけど、あの人が、『いい子にしてるんだぞ?』って、俺にネックレスくれたんだ。黒いネックレス。

 『俺のモノって証』って笑って、つけてくれた。

 あの人は俺より一つ上で、小学生のころからの付き合いで、出会った時からあの人だけが、俺の中で特別だった。

 あの人が全寮制の学校にいって、俺は暇で仕方なくて、だからこそ、夜の街を遊び歩いたりやんちゃをした。

 ああ、会いたいなぁ。あの人に。

 でもね、高校は説得してあの人の所にいけるようになったんだ。

 だから、楽しみなの。

 あと、半年がはやくすぎないかなって。

 奨学生で学校に通ってるあの人と違って俺はバカだけど、幸いにも俺の家は金持ってて通えるし、本当、会いに行きたい。

 ―――~♪

 考え事をしていたら、スマホの着信音が鳴った。

 あの人の、曲だ。

 そうおもって、すぐさま電話に出る。

 『―――昌』

 電話に出たと共に響く低い声。

 その声を聞くだけで、俺はどうしようもなく、幸せを感じる。

 「―――栄司さんっ」

 俺が嬉しくてたまらなくて、名前を呼べば、携帯の向こうからクスクスと笑う声が聞こえてくる。

 『本当、昌は嬉しそうに俺の名前を呼ぶな。まぁ、可愛いからいいけど』

 「栄司さんはかっこいいよね。俺、栄司さんのモノでいられて凄く嬉しいもん」

 そうだ、俺は栄司さんのモノ。

 栄司さんが、”俺のモノになるか?”ってそう問いかけてきて、俺が頷いた時から、俺は栄司さんだけのモノ。

 『そうだ、昌。明後日、そっち戻れる事なったから』

 「本当!? 嬉しい、栄司さんっ!!」

 『ああ。だから、そっちいったら、たっぷり、抱かせろよ?』

 …なんかエロい声でそんな事言われて、微妙に興奮しそうになった。俺は栄司さんの声が好きだ。

 「うんっ」

 俺と栄司さんは、恋人という関係だ。

 といっても、はじまりは栄司さんが、俺のモノになるかって聞いてきて、お前可愛いから抱きたいとかいってきたからなんだけれども。

 まぁうん、俺は出会った時から多分栄司さんだけが特別で、栄司さんが大好きで、だから、男同士だからって、断る気にもなれなかった。

 寧ろ、栄司さんのモノになって、抱かれて、栄司さんの特別でありたいって思った。

 俺の頷きに、栄司さんは電話の向こうで笑ってる。

 「明後日楽しみにしてるね、栄司さんっ!」

 『ああ、つか、お前遊び歩いてるらしいけど、浮気はしてねぇよな?』

 「あはは、何いってるの、栄司さんっ。俺は栄司さん以外興味ないもーん。俺は栄司さんだけの猫だからね。栄司さんこそ、俺より他に可愛い子とか見つけないでね」

 そうだよ、俺は栄司さんだけの猫。

 栄司さんの隣だけが、俺の居場所。

 他の場所なんて、ただの暇つぶしの、仮の居場所でしかない。

 『まぁ、何処をふらふらしてようがかまわねぇけど、俺んところに戻ってこいよ?』

 「当たり前じゃんっ。俺栄司さんだけが特別なんだもん。

 栄司さんも、俺以外可愛がらないでね? 俺嫉妬しちゃうよー」

 栄司さんに頭をなでられるのが好き。

 栄司さんに甘やかしてもらうのが好き。

 栄司さんに抱きしめてもらうのが好き。

 栄司さんが、誰かを可愛がってるとか、そんな事になったら、俺、普通に嫉妬しちゃうもん。

 俺は、栄司さん以外の知り合いが誰と仲良くしようと知った事じゃないんだ。

 でも、栄司さんの一番は俺がいい。

 『安心しろよ、お前以上に可愛い猫はいないから』

 「何か耳が幸せなんだけど。栄司さん、かっこよすぎ」

 『お前は本当、言ってる事可愛いんだよなぁ…。とりあえず、明後日家にいろよ、行くから』

 「うんっ」

 『じゃ、いい子にしてるんだぞ?』

 「うんっ。またね、栄司さん」

 『ああ』

 そうして、電話が切れる。

 ああ、なんかもう嬉しくてたまらない。

 栄司さん、栄司さん、栄司さんっ。

 俺の大好きでたまらない人。

 俺を求める人は、俺を気まぐれな猫で、居場所を作らないってそう言うけれども、俺の居場所は栄司さんの隣だけなのだ。

 俺の飼い主は、栄司さんだけ。

 栄司さんが可愛がる猫は、俺だけ。

 今日も、明日も、数カ月後だって、数年後だって、

 俺は、栄司さんだけのモノだ――。



end


気まぐれ。栄司以外にはあんまり執着してない。

周りに愛され、求められるけど、あんまり一か所にとどまらない。

背は150センチ弱。



栄司

全寮制の高校に通う、高一。

昌の事滅茶苦茶可愛がってる。学園では一応生徒会入りしてたりする、美形。


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