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王道を熟知している二人の一般生徒

エブリスタに載せているものと掲載順序は違います。

前提となる「王道学園」の説明としてこの話が丁度良いかなと真っ先にこれ載せました。

 「朋」

 「どうした、初音」

 幼なじみの朋を目の前に見つけたので、後ろから首に手を回して抱きついて、話しかければ、朋は俺の方を向いて問いかけた。

 初音って、女みたいな名前で嫌なんだよな。

 「なんか、転入生来るらしいよ」

 「転入生…?季節外れの転入生といえば…」

 俺と朋はその名を聞いて、一つ思いつくことがあった。

 「「まりもじゃ瓶底眼鏡の王道」」

 それは、BLってジャンルの物語に出てくる転入生。

 鬘被ってて、瓶底眼鏡で、ポジティブで…学園内ハーレム結成して、色々あるっていうのがBLの王道学園物語の一般的なストーリーである。

 「……王道か?」

 「これ、アンチ王道なら最悪だよね。学園荒れるとか面倒」

 「王道だとしても面倒だろ。アンチじゃなければまだ生徒会や風紀は仕事するだろうが、どっちにしろハーレム作るし、王道でもアンチでもめんどくさくね?」

 「アンチだと生贄の平凡君もいるよね。てか、Sクラス編入が大体当たり前だよね」

 「…となると、同じクラスか? そういえば、担任ホストだもんな」

 「さっきから王道とかアンチとかって何いってんだ?

てか、初音は朋に抱きついたまま話すなよ」

 朋と作戦会議みたいな感じで話していたらお友達の來矢ライヤにつっこまれた。

 ちなみに、ここは教室の中である。周りにはクラスメイトたちが沢山いる。

 「あのね、俺の姉ちゃんとかね、腐女子って奴で」

 「…腐女子?てか、何ナチュラルに朋の膝に座ってんの?」

 莱矢は不思議そうに問いかける。

 「なんか、男同士のイチャイチャしてるのを見るのが好きーっていう奴なんだけど。それの本俺と朋昔から見せられててさ」

 そう、俺と朋は腐ってるわけではないが、腐ってる母さんとか姉ちゃん達とか、あと腐ってる叔父さん(朋の父)やら、腐ってる朋の弟やら、腐ってる親戚陣やら……に囲まれて育ったから知識はある。よく考えれば俺らの周り腐っている人たち多すぎだろ。

 というか、子供のころからBL本見せられてたから抵抗はない。俺ら別に腐ってないけどね。萌えとかわかんないし。ただ、どういうものかは知っている。

 「それで、此処ってBLの小説とかに出てくる王道学園と一緒なんだよね。抱きたい、抱かれたいランキングとか親衛隊とかあるでしょ?」

 「……こういう学園に中途半端な時期に転入してくるのは大抵王道転入生なんだ」

 朋はそういいながら、俺の頭をなでてくれる。気持ち良い。朋に頭なでられるの好きだ。

 「王道転入生は、案内役の副会長の愛想笑いを指摘し、ワンコ書記の言葉がわかり、双子会計を見わけ、下半身書記のセフレが駄目だって言いはって、会長はセフレ宣言してぶちのめされて何故か惚れる」

 「外見は…たまに変装してない場合もあるが、大抵まりもじゃ。意味のわからないボサボサの髪に瓶底眼鏡。で、正義感があって…」

 「愛されて育ったのが当然。生徒会以外にも風紀とか、あと今教室に居ない爽やか――中道とか、一匹狼―――椎名とかも惚れるんだ」

 ペラペラと俺と朋は頭の中にある王道の知識を浮かべる。うん、考えれば考えるほどこの学園は姉ちゃんに魅せられたBLの王道学園そっくりである。

 「それって、実在したら親衛隊あれねぇか?」

 「うん、荒れる。王道転入生は正義感が強くて、親衛隊とも結構言い合ってるのが多いし、中には生徒会が王道のために親衛隊解散させるのもあるよ」

 「でも、王道はまだマシだけど、アンチは本当最悪なわけ」

 髪をなでながら、朋は俺の大好物なチョコレートをポケットから取り出して渡してくれる。

 そんな俺らを莱矢が呆れたように見ているが気にしない事にしよう。

 「アンチ?」

 「そう、アンチは王道を悪くしたものというか…、話聞かない、自己中、自分の正義感を人に押し付ける、イケメンホイホイ、手がすぐに出る、あと生贄を作る」

 朋がそんな事を言いながら、めんどくさそうに顔を歪める。

 本当にアンチだったらどうしよう、と思ってるのかもしれない。

 「朋、元気だしてー」

 とか言いながら食べかけの板チョコを割って、朋に差し出す。

 そうすれば、朋は嬉しそうに笑った。

 うん、朋はかっこいいよね。

 イケメンホイホイだから朋にまでアンチだったら絡んできそうだよな。それはなんか嫌だ。大事な幼馴染だしね。

 「生贄?」

 「そう、このクラスでいうなら――ああ、大抵王道ってSクラスに転入してくる理事長の甥何だが……、真中とかは、もう巻き込まれ平凡になり果てるな」

 「え、俺?」

 ちなみに、真中とは普通に席が近い。だから、自分の名前が出た事に驚いたような顔をする真中である。

 まじまじと真中を見る。見れば見るほど、巻き込まれ系平凡オーラが漂っている。

 「そう、巻き込まれ平凡っていうのは――」

 そういって、俺は真中に向かって説明をする。

 アンチの場合は巻き込まれ平凡というのは連れまわされて親衛隊に責められたりするのだと。

 「え、何それ怖い。てか、俺担任に二人部屋になるって言われたんだけど。これ、巻き込まれフラグ!?」

 「…同室? うん、姉ちゃんに読ませられたのでよくあるよ、その設定」

 「ああ、その後何故かボコしたり暴言吐いてたくせに総受けフラグが立つパターンも多いよな」

 「あれって、ひどいよねー、朋。散々追い詰めと居て好きだってバカですかーだよね」

 本当脇役主人公総受けって謎だよね。散々暴言吐いてたくせに許すってどういうことーって感じ。

 イケメンだから? イケメンなら全てゆるされんの? とか思っちゃうよ。

 いや、まぁね、美形だと色々優遇されるのはわかるけどね。そういうものだよ。

 「真中、同室の奴がもし親衛隊なんて最低だ!とか、親衛隊のせいで友達がいないとかいってたら無言でこれを渡して読むように言うんだ」

 「アンチなら初対面で呼び捨て+親友呼ばわりするからね。これ、漫画だし、きっと読みやすいよー」

 ちなみに俺の姉ちゃんの漫画です。姉ちゃんはBL漫画家をやっているんだよね。

 姉ちゃんはアンチ王道好きらしいから結構書いてるんだよね。そしてそれを俺と朋は見せられるという。

 「ついでに、もし転入生が生徒会を呼び捨てとかにしてたらそこらへんもちゃんと注意するべきだ。

 王道ならアンチでも違うにしろ、初対面で副会長の作り笑いを指摘してキスされてるはずだから。そこらへんもそんな変態に近づいちゃ危ないといってやれ」

 「あとは、生徒会が睨んできたり、暴言吐いてきても無言でこれを渡してきてねー。色々アンチ王道の生徒会壊滅パターンあるからさ」

 朋の言葉に続いて俺も言う。

 姉ちゃん、脇役主人公好きだから結構そういう漫画書いてるからね。

 でも、謎なのは最近の姉ちゃんの新作の主人公が、俺と朋にそっくりなんだよねー。何でだろう?

 「あとは、王道だったら、毛玉みたいな髪に瓶底眼鏡のはずだよ。

で、”見た目だけで判断する奴と仲良くなりたくない”とかきっと言うから、身だしなみをちゃんとしないと好印象もてないよーっていっておいて」

 「きちんと、優しく諭すように言うのがベストだな。責めたら苛められたひどいこと言うとか言い出すから、アンチだと」

 「あとは、話聞かない場合もアンチだとあるから……。アンチだと王道にいい顔しても冷たく当たっても大変だからね。

 あー、そうだ。アンチでもし話聞かない王道だったら…、貴正君に無言で差し出しちゃえ」

 ちなみに貴正君ってのは真中の兄ちゃんで、真中とは全然似てない不良だよ。

姉ちゃんの恋人っていう。

 夜に貴正君が喧嘩しに町にでかけて姉ちゃんと出会ったらしい。姉ちゃん武術習ってたから強いしねー。

 え、俺?俺はただの一般人だよ。喧嘩できないし。朋は強いけど。

 「兄貴に差し出す?」

 「うん。あまりにもうざかったら差し出しちゃえばいいよ。アンチだったらきっと貴正君も呼び捨てにして、”お前が喧嘩するのは寂しいからだろ、俺が傍にいてやる”とかいいだすから」

 というか、アンチ君だったら確実いうと思う。

 「え、それ兄貴絶対切れるくね?」

 「うん、だから切れた貴正君に無双してもらってアンチ追い出しちゃえ」

 貴正君って、学園でトップの人気だしねー。Fクラスだし、生徒会入り拒否ったし、生徒会はいってないけど、抱かれたいランキング堂々一位っていう。

 姉ちゃんは「くっ、貴正は立派な攻め要員だし、絡みみたいけど、あたしのだから浮気は駄目だわ。ああ、でも貴正は絶対攻め!!学園の支配者×脇役とか私好きなのに…」とか何か言ってた。

 うん、腐ってても姉ちゃん貴正君大好きだもんね。

 ちなみに貴正君と真中は血は繋がってるけど名字は違う。両親が離婚して貴正君が父親に、真中が母親に連れられたらしいよ。

 とはいっても、真中と貴正君結構仲良しだけど。だから貴正君と真中が兄弟って知ってる人あんまり居ないんだよね。見た目もあんまり似てないし。

 「というか…、本当にそんなウザイ奴来るのか?」

 何て、隣で呟いてる莱矢を無視して俺と朋は二人でBLの知識を真中に教えてました。

 あ、もちろん、俺は朋の膝の上のったままだよ。

 で、その後王道君が来ました。ガチで王道でびっくりした。

 「見た目で判断する奴とは仲良くなりたくない」って本気で言うんだね、うん。

 「行正は親友だ!!」とか、初対面で本気で言うんだね、うん。

 生徒会やら風紀やら爽やかやら不良やら惚れさせてるし。ハーレム嬉しいのかな?

 これは、アンチだね、確実に、うん。

 真中が顔真っ青にしてた。でも、数日後には王道君入院してたという。

 真中に問い詰めたら青ざめた顔で、「兄貴が切れた」といってた。

 うん、やっぱり貴正君が切れたのか。貴正君が無双して王道君入院って、流石貴正君、すげぇ。

 「あと…、漫画を生徒会とかあいつの周りに見せたら、睨まれなくなった…」

 姉ちゃんのBL漫画って、ガチでアンチだもんね。生徒会が性奴隷に売られるだの、親に見捨てられるだの、超バッドエンドだし…。

 まぁ、そんなこんなで貴正君の無双やら姉ちゃんのBL漫画のおかげで割とすぐに平穏を取り戻したのであった。



end


王道を読み漁って自分の考えた非王道を書くのが何事も好きなので、勢いのまま昔書いたもの。後々エブリスタの方削除してこちらだけ更新しようかなと思っています。

色々非現実的だけど、そこはBLはファンタジーと思って読んでください。



初音。

平凡よりだけど割と可愛い顔してる。

普通に朋の膝にのったり抱きついたり、食べ物あーんしたり素でします。

恋愛感情無自覚だけど、朋大好き。


結構男前。親衛隊も大規模じゃないけど、あります。

おまけに武術の達人です。結構一発で色々不良でも沈めます。

無自覚で初音を甘やかしてる。恋愛感情無自覚だけど、初音とのスキンシップは激しい。


莱矢。

二人の親友。そこそこの美形。


真中

巻き込まれ平凡…?でも設定は非凡かな。


貴正君

不良のトップ。抱かれたいランキング堂々の一位。

初音の姉ちゃんの彼氏。手が速い。



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