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俺と義理の兄と学園と。 6

 今日は兄さんと康兄の通っている学園の入学準備のために俺はもう学園に来ている。

 というのもこの学園は全寮制の学園だから、先に入寮したのだ。入寮手続きをさっさとすませた。ちなみに寮室は個室になった。俺は別に誰かと同室でもよかったのだけど、父さんと兄さんが個室にしたほうがいいと言うので、そうなった。

 ちなみに個室の寮室に兄さんと康兄は早速遊びに来ていた。

「和仁、明日は入学式だな」

「和仁君が後輩になるとか嬉しいよ」

 二人してそう言って微笑んでくれていて、俺の入学を喜んでくれていると思うと俺も嬉しかった。

 俺はこれから学園の生徒となる。これからどんな学園生活が待っているのかというのが楽しみで仕方がない。同性愛者が溢れているから、他の普通の学校よりは気を付けなければならないことは色々あるらしい。その辺はちゃんと気を付けようと思う。

「――なぁ、兄さんたちはこの学園で有名なんだよね?」

「それなりにな」

「それなりじゃないよ。令は特に有名だよ。黒髪に戻ったことで騒ぎになってたし。和仁君は、令の恋人って思われてるよー」

「はい!?」

 思わず俺は驚いてそんな言葉を言い放ってしまった。

 俺と兄さんが恋人って思われているって本当にどういうこと? と俺はなっている。

「はっ、兄さん、俺そんな気持ちないからね? 俺は兄さんの事、純粋に兄さんとして好きなんだけど!」

「分かってる」

 兄さんはそう言って俺に笑いかけた。

 やっぱり兄さんはかっこいいと思う。

「俺は当然、令と和仁君が兄弟として仲よくしているのはわかるけどさー。そういう勘違いする人は多分いると思うよ。うちの学園、そういうの想像するの好きな人が多いからさ」

 そんなことを康兄に言われた。

 そういうものなの? とびっくりしてしまう。でもそうなると俺は兄さんとそこまで仲良い姿を見せない方がいいのだろうか。それで兄さんに恋人が出来なくなったりとかしても俺は嫌だなと思ってしまう。

「兄さん、そういう誤解されたら兄さんに恋人が出来なかったりするのかなと思っちゃうんだけど」

「それは心配しなくていい。誤解したい奴にだけ誤解させればそれでいいだろう。ただいきなり俺と兄弟だと知られると和仁も友達ができにくくなったりもするかもしれない。だから徐々にな」

「うん。俺たちが傍にいると面倒なことは寄ってきにくくなるかもしれないけれど、和仁君ならきっと大丈夫だろうなと思うからそれがいいだろうね。俺たちが傍にいれば逆に余計なのがよってきてややこしいことになるかもしれないし」

 兄さんと康兄はそんなことを言っていた。

 俺が学園に慣れるまでの間は、兄さんと康兄の方から接触をしてくることはないようにするらしい。まぁ、俺も兄さんたちと仲良く学園で交流していきたいけれど、俺は兄さんの弟という前に俺だから、ちゃんと自分の力でこの学園でやっていける方がきっといいと思う。

 兄さんたちにおんぶにだっこでいようとは思っていないから。そもそも俺は兄さんと兄弟として仲良くやっていきたいと思っているだけだし。

 そういうわけで兄さんと康兄は困ったことがあったら助けてくれるけれど、それ以外は頑張るようにと言われた。別に兄さんとの兄弟関係を完全に隠すというわけではないけれど、兄さんたちの思いやりをちゃんと受けておかないと。

 俺はドキドキしながら学園生活に挑むことになった。




 ――翌日の入学式。

 流石、お金持ちが多い学園と言うべきが、設備が豪華でびっくりする。周りもそういう人たちが多いらしい。母さんが再婚した相手が金持ちだったというだけで俺自身はそんなお金持ちな生活をしたことはないので、馴染めるだろうかという不安はある。

 というか、入学式に向かっているわけだけど、何だかそこそこ注目を浴びてしまっている。何でこんなに見られているのか不思議で仕方がない。

 そんなことを考えていたら一人の男子生徒に声をかけられた。兄さん程ではないけれども、美形な男の人だった。

「――なぁ、お前外部生だろう」

「うん」

 にっこりと笑って、頷けばその男子生徒も笑った。

「俺は土宮浩二つちみやこうじ、よろしくな」

「うん。俺は東雲和仁。よろしくー」

 東雲という名前に少しだけ土宮は反応を示したけれど、何か聞かれることはなかった。聞かれたら答えたんだけどな。

「東雲、和仁って呼んでいいか?」

「うん。俺も浩二でいい?」

「ああ。和仁はこの学園の事は知っているか?」

「うん。知っているよ。同性愛者多いんでしょ?」

「そうか。知っているならいい。和仁は気を付けた方がいいぞ?」

「俺が? 何だか皆心配性だなぁ……。大丈夫だと思うけれど気を付けるよ」

 会ったばかりの浩二にも心配されて、俺はそこまで心配をかけてしまうものだろうかと不思議な気持ちになった。

 でも心配されることは嬉しいことだし、俺は笑ってしまうけれど。

「――自覚なしか。結構周りの生徒も和仁に話しかけたそうにしているだろう。和仁の事が気になっているんだぞ」

「えー? そうなの? だったら話かけてくれたらいいのに。俺、皆と仲よくしたいしさー」

 そう言ってにっこりと笑って周りを見渡せば、こちらを見ていた生徒と目が合ったので話しかけてみた。

「ひゃい」

 話しかけたらびっくりさせてしまって驚いた。

 入学式が始まるまでの間で、周りの生徒たちと俺は沢山話すのであった。

 俺がどんどん人と話していくから、浩二は驚いていた。俺がコミュニケーション能力が高くて驚いたっていってたけど、そうでもないと思うんだけどな?



 その日は沢山の友達が出来るのだった。




 

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