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GAME.7

 『月華』のふりをしていたその2――明也を拾ったわけだけど、特にこれといって行動を起こしているわけではにない。というか、その1の転入生が本物の『月華』だと周りは思い込んでいるっぽい。その1は得意げな顔をしている。

 というか爆笑だよなー。全然本物に気づかずに本物を名乗る案山子を崇めているってさ。

 ちなみに配下の連中とは会ってはいないけど、その2を拾ったことと、留衣のことは言ってある。ついでに明也が酷い目に合わないようにそっち方面から色々手は回している。

 うん、俺に会いたがっていたけれど、配下と会うとバレて今の面白い事象を楽しめなくなるので却下。その分、明也から俺の話を聞いて楽しんでいるっぽい。あいつらも『紅龍』みたいにちゃんと俺と話したら悟りそうだから俺も近づかないようにしているからな。

「悠斗さんを名乗っているなんて!! しかもあいつ、男にちらほやされたいだけなのに!!」

 ……自分も俺のことを名乗っていたにも関わらずこんな変わり身である。うん、面白い。まぁ、明也は反省しているみたいだし、いいけど。それにしてもここから明也をいい感じになりあがらせたいなぁ。

 どうしようかなと考えると楽しい気持ちになる。

「なぁ、留衣はどうやるのが一番だと思う?」

「……どうでもいいけど。悠斗が楽しみたいなら、そうだな。敢えて『月華』の偽物を名乗ったことを謝罪する。そして本物ではないものが『月華』を名乗っていたことが許せなくてどうにかしたかったというのを告げて、広めればいい」

「ああ、それもありか。『月華』を名乗っていた明也がそれで信じなかったとしても噂は拡散されればされるほど、皆気になるからな」

 確かに今まで『月華』を名乗っていたその2である明也がそういう行動を起こせば、噂になるだろう。あのその1を俺だと信じ切っている周りの生徒たちは、明也を排除しようと動かくかもしれない。その1も本物ではないと広まりたいわけでもないだろうし。でも排除しようと動けば動くほどに、その偽物だという噂が広まる事だろう。俺はそれが楽しみになった。

 良いことを考えた留衣のことを褒めたかったので、

「良いことを思いついたな。留衣。流石、俺の留衣だ」

 そう言って頭を撫でれば、留衣はそれはもう嬉しそうな顔をした。俺以外がこんなことをすれば、留衣はきっと許さないだろう。俺だけがこういうことをするのを許されているのが本当に愉快な気持ちになった。

「ああ、『月華』様と『紅龍』様が仲よさそうにしている!! こういう現場を俺が見れるなんて……ウツブツ」

 何故か明也はその様子を見てブツブツといっていた。どうしたんだろうか。なんか拝めている? みたいに見えるんだが……。

 とりあえず放っておくことにする。

「明也はそう言う風にするでいいか?」

「もちろんです!! 俺は悠斗さんの言う事なら何でも聞きます!!」

 キラキラした目でそういう風に言われた。

 偽物だと言われて転落していた時は、本当に絶望した様子だったのにすっかり明也は元気である。その様子に思わず笑ってしまった。

 そういうわけで、明也はそういう行動をすることになった。



 早速数日後に明也がした行動は学園中で噂になっていた。





 それもそうだろう。

 『月華』を名乗るその1とその2。

 どちらが『月華』なのかということで争いに負けたその2。その1である転入生が『月華』だと噂されている中でこの爆弾である。

 俺の配下の連中にも明也の行動はちゃんと伝えている。

 それにしても、いい感じに学園が混乱していて俺は嬉しい。

「悠斗、楽しそうだな」

「ああ。楽しいぜ? 留衣も楽しめよ」

「俺は悠斗が楽しければ楽しい。でもあいつが俺に近づいてきて煩い」

「あー……まぁ、その1も焦っているみたいだからな」

 留衣と共に空き教室で話している。学園では表立って話しかけてはこない。それは俺がそうするようにいっているからだ。だからこそたまに会えば留衣は俺の傍でべったりとしている。まぁ、可愛いものである。

 それはそうと明也が色々行動にでたせいで、その1は焦りを見せているらしい。周りに焦っていると分からないように示しているらしいが、様子がおかしいことはもろバレらしい。

 まぁ、『月華』であるからこそ、周りがちやほやしているならばバレたくないのも当然であると言える。

 それにしても名乗ったところで俺になれるわけでもないのに、俺を名乗るなんてご苦労な事である。誰かを騙る事はバレた時に大変だというのに。

 その1は留衣に近づいているらしい。

 『月華』に心酔しているという留衣が認めれば、明也の言葉が信じられるはずがないと思っているのかもしれない。留衣が俺を間違えるわけがないのにさ。

「留衣、俺で存分癒されていいぜ」

 留衣を癒そうとそう言えば、留衣に思いっきり俺は抱きしめられるのであった。



 これから学園は益々騒がしくなるだろう。

 俺はそれが楽しみでならない。







 end

 

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