俺と義理の兄と学園と。 4
「兄さん、勉強教えてくれてありがとう」
今日は、兄さんから勉強を教えてもらっていた。兄さんは頭が良い。俺に勉強を教えてくれている兄さんは、真面目な表情を浮かべている兄さんはとても様になっていてかっこいいなぁと思った。
俺は今、中学三年生だ。
来年には兄さんと康兄と同じ学園に通うのだなと思うと楽しみで仕方がない。まぁ、同性愛者が沢山なことにはちょっとどんな感じなのだろ? という気持ちになるけれど。
「俺が教えたくて教えている」
「ありがとう、兄さん。兄さんと一緒に学園に通えるの楽しみだなぁ」
兄さんとは兄弟になったものの、兄さんが帰ってきた時しか交流できていないから、学園に入学したらもっと沢山の違った一面の兄さんを見ることが出来るのだろうと思うとわくわくする。
「ねぇ、兄さん。俺、兄さんと一緒に昼食を食べたりとか、兄さんに学園を案内してもらったりとか、兄さんと学園のイベントを一緒に楽しみたいなぁって」
想像するだけで俺はわくわくして仕方がない。いや、でもまぁ、兄さんとだけ過ごすんじゃなくてもちろん友達も作って、その学園に通ったからこそ過ごせるようなそんな三年間を過ごしたいなと思っているけれど。
高校は寮になるし、お金持ちたちの多い学園だからアルバイトをしている人というのも少ないらしい。一先ず中学に入学してから続けているアルバイトは中学卒業まで続けていくことにはしている。高校入ってからもアルバイトはしたい気もするけど、そのあたりは敬一郎さんとも相談中だ。
相談をしたらアルバイトをするではなく、勉学に熱中したりしたらどうかと言われた。あと生徒会や風紀委員というのも活動的らしいのだ。今までそういうのはやってこなかったから、何か夢中になれるものがあればやってみてもいいかもしれない。
俺はずっと母さんの役に立ちたいと思って、母さんの苦労を減らすためにとそればかり考えていた。だから他のことなんて考えてこなかったけど、母さんの再婚をきっかけに俺はそういうことを考えられる余裕が出来ているんだなと思う。
「ああ。幾らでも付き合おう」
兄さんはそう言って優しく笑ってくれた。そう言ってもらえると俺も嬉しくなった。
「兄さんは高等部に上がったばかりなんだよね? 中等部と高等部じゃ色々違うの?」
「結構違うな。高等部の方がややこしいからな。でも安心しろ。俺がちゃんと和仁が過ごしやすいようにしておく。康人も手伝うだろうしな」
「ありがとう。でも無理はしないでね。兄さん」
兄さんは俺が過ごしやすいようにとしてくれるらしい。それはありがたいことだけど、兄さんたちが無理をするのは嫌だ。それにしても兄さんがこんな風に言う学園はどんな生活が待っているんだろうか。
「無理はしない。俺がしたいからしているだけだからな。和仁、学園に入学するにあたって、色々注意事項も教えておくからちゃんと覚えるんだぞ」
「うん」
「何かあったら俺が守ってやる。だけど、あそこは色々とややこしいから注意するにこしたことはない」
「うん」
兄さんはそう言いながら時々、学園での実体験を交えながら学園での注意事項を教えてくれる。兄さんの話す学園生活というのは、俺が想像している一般的な高校とは全く違う。全寮制で、食堂も常備されているらしいけど、料理ももっとレパートリーを増やした方がいいだろうなとも考えている。
俺はそれなりに料理は出来る方だけど、出来ることならもっと学んだ方がいいだろう。
学園に入学したら有名人たちとは関わらない方がいいらしいとも言われているけど、兄さんと康兄も結局有名だから、関わることになるかもしれないとは言われたけどね。
俺が兄さんたちと学園で関わらないという選択肢を持った方が平和かもしれないと言われたけど、俺は兄さんと過ごしたい! ってことで、そういうことも覚悟しようと思っている。
兄さんは「和仁なら問題がないだろうけどな」なんという謎の発言をされた。兄さんが言っていることはたまに分からない。
――ちなみにそんな会話をした後、兄さんと康兄が俺が学園で過ごしやすくするためにということで風紀委員に入って、学園が騒がしくなっていたらしいが、そんなことは俺は全く知らなかったことだった。
end