気まぐれな猫と飼い主 6
俺は栄司さんと一緒に栄司さんの実家にいる。栄司さんの実家は、俺にとってはもう一つの実家のような場所である。そのもう一つの実家のような場所で俺はくつろいでいる。
ちなみになんで栄司さんの実家にいるかといえば、連休に突入したからである。明日は俺の実家にも向かう予定である。
「この漫画面白いなぁー」
俺は栄司さんの実家に置いてある漫画を今読んでいた。栄司さんの実家には、俺の私物も結構おいてある。俺が読みたいと言った漫画もおいてくれていたりとか、俺の喜ぶものを沢山栄司さんはおいてくれているのだ。
俺は栄司さんが俺のためにってそういう風にそろえてくれていることが嬉しいのだ。
本当は栄司さんに構ってほしいんだけど、栄司さんは久しぶりに帰ってきたからと忙しそうにしているのだ。忙しそうにしている栄司さんの邪魔なんて俺はしたくない。そんなわけで俺はごろごろしながら漫画を読んでいた。
それにしても栄司さんは何処でもいつでもかっこいいんだよなぁ。俺は栄司さんが実家で忙しくしている様子を見るだけでもかっこいいなぁーと見惚れてしまう。俺も栄司さんの傍にずっと居たいから、栄司さんのためになるように頑張らないとなー。栄司さんは俺は俺のままでいいっていってくれるけどさ。
「昌さん、坊ちゃんはもうすぐ戻りますよ」
「本当!? やった。栄司さんところ行く!!」
「じゃあ漫画は俺が片づけておきます」
栄司さんの所の人たちは、顔立ちは恐ろしい顔をしているけれど、優しい人が多い。まぁ、それは俺が栄司さんの大切な人だからかもしれないけれどさ。
そんなことを思いながら俺は栄司さんの元へと向かった。
「栄司さん!!」
「昌か」
栄司さんは俺を見て柔らかく笑ってくれる。その優しい笑みを浮かべると俺は嬉しくて仕方がない気持ちになった。
栄司さんが傍にいてくれるだけで俺は嬉しいのだ。
栄司さんと一緒に街に出ることにした。栄司さんが一緒にいると思うだけで、俺にとっては街に出るというのもいつもとはまた違った意味を持つ。
学園に入学したのもあって、夜の街にはほぼ来なかったのだ。俺と栄司さんが歩いていると周りから視線を集めてしまう。
俺もこの街では好き勝手暴れていたし、栄司さんも有名だからなぁ。それにしても栄司さんが此処にいるだけで本当にいつもより心が和む。
「栄司さん、どこ行く?」
「どこでもいい。昌はどこ行きたい?」
「んー。じゃあぶらぶらしてご飯食べに行こうよ」
栄司さんとならどこへだって行きたいと思っている俺。とりあえず少しだけ小腹がすいてきたというのもあり、栄司さんと一緒に食事に向かうことにした。
そうやって歩いていたのだが、なんだか騒がしい一団を見つけた。
なんだか見た事ある連中って、俺にまとわりついていた連中だ。俺の物になれなんていっていた連中。その連中がなんだか平凡そうな男の子を囲んでいた。その男の子も満更ではなさそう。あれかな、俺が物にならないのが分かったから、他の人をそういう相手にしたってことか。
まぁ、別に興味はないけどさ。ただこう、断られたからって違う人を簡単に変わりにするってだけで誰でも良かったんだろうなって感じだよね。向こうも俺に気づいたみたいだ。でも隣に栄司さんがいるのを見て恐ろしかったのか、そのまま去っていこうとする。だけど彼らに囲まれている少年は違ったらしい。
「貴方が、皆に酷い真似をしていた人!?」
「はい?」
なんかよく分からない絡まれ方をされた。
その少年曰く、俺が彼らをたぶらかして、散々貢がせたあげく、捨てた悪女のような存在らしい。意味が分からない。この周りの連中がそんなことを言いくるめたのだろうか。俺に振られて嫌だったからそんなことを言い始めたのだろうか。
まぁ、俺には興味がないけどさ。
「俺はそんなことしないよ。だって俺は栄司さん以外興味ないもん。ね、栄司さん」
にっこりと笑いながら栄司さんの腕に絡みつけば、栄司さんは俺に笑いかけてくれる。かっこいい。滅茶苦茶かっこいい。ときめく!!
「そんなことをいっ――「待て待て待て。ごめんなさい!! 俺達は去ります!!」
また少年が何か言おうとしたタイミングで周りの連中がその口を押えた。自分でそういう悪口を言っていただろうに、栄司さんが怖いからって慌ててそういうとか情けないよねー
そんなことを思いながら去っていく彼らを見届けるのであった。
その後は普通に栄司さんと食事を取って栄司さんの実家に戻るのだった。
やっぱり栄司さんの隣はいつだって楽しくて幸せだ。色んな事に興味を抱く俺がただ一人傍に居たいとう人。
栄司さんの隣にいるのが、俺にとっての幸せだとやはり実感した。
end