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寂しがり屋の王様に、温かい手を

「……可愛いやつだなぁ。ってまて、俺様をなめるんじゃない!!」

 さて、俺の名前は、川越充かわこしみつる。全寮制の男子高校に通う高校二年生である。

 この全寮制の男子校は、中々個性的な学園だ。俺は初等部からこの学園に通っているから、そんなものかと思っているが、学園の外に出るとたまに学園と外のギャップに驚くけど。

 俺の家は大企業というわけではないけれど、ちょっとした会社をやっている家で、俺も一応社長の息子ってわけだ。

 あと、この学園は男子しかいないけど、閉鎖的な分、男同士で恋愛とかあるのだ。うん、俺も偏見はないけれど、よくやるなーってなってる。外で女性と付き合ったこともあるから今の所俺は男性と付き合ったことはないけれど。

 さて、そんな学園では人気者は生徒会に所属したり、親衛隊があったりと、色々と面白いことになっている。腐女子や腐男子の知り合いは滅茶苦茶この学園の内情に喜んでいた。俺は本を読むのは好きなので、そういうジャンルもお勧めは読んだことがある。

 で、俺は今、のんびり人気のない裏庭を歩いていた。ちなみにこの学園、流石、金持ちの通う学園というべきか、敷地面積が大きすぎるんだよな。ずっと通っている俺もすべてを把握していない。で、俺は人が多い場所が得意ではないから、人がいない場所でのんびり過ごしていたりするんだが……、聞こえてきた声に驚いた。

 口調と言い、声といい、とある人気者の声である。

 驚きながらそちらを覗き込めば、綺麗な顔をした男が一人いる。その男は背が高くて、少しワイルドな感じの黒髪の美形である。……ちなみにこの学園の生徒会長でもある。生徒会長とは、人気者が生徒会を務めるこの学園でいえば、一番の人気者である。

 そんな人気者である存在がこんな場所にいるというのには驚いた。しかもなにやら猫に話しかけている……?

「可愛いやつだなぁ。よしよし」

 なんていいながら猫を撫でまわしている様子を見ると、噂されているクールでかっこいい王様とは結び付かない。顔を破顔させていてえ、笑みを浮かべている様子を見ると……どこが孤高の王様だろうかなんて思う。

「俺様の友達はお前だけだもんなー。いつもありがとうなー」

 などと言い始めた生徒会長――久谷菫くたにすみれはその後独り言を言い始めている。

「なぁ、何で俺様には友達がいないんだろうなー。どう思う?」

 猫に話しかけていた。

「俺様も一人じゃなく誰かと食事ぐらいしたいんだがな。でもまぁ、お前たちがいるからいいか」

 などと話しかけていて………、俺は生徒会長友達、欲しいの?? と驚きでいっぱいだった。寂しそうにしているし。

 それと同時に……猫に見せているその姿が可愛いななどと思ってしまった。かっこいい王様に可愛いなんて思うなんておかしいかもしれないけれど、それでも可愛いと感じてしまったのだ。

 今まで生徒会長なんて興味がなかった。人気だろうとも王様と呼ばれていようとも関係がなく、どうでもいいと思っていた。でも、俺は今、すっかり生徒会長に興味を抱いている。

 俺はわざと……足音を立てた。このまま、生徒会長にバレないようにしているよりも、敢えて此処に人がいると悟られた方がずっと面白いって思ったから。

 そんなわけで足音を立てた俺は、もちろん、生徒会長に気づかれた。

「な、誰だ!!」

 というか、本当にこんなセリフ言うやついるんだなとびっくりだ。こんな風な台詞ってドラマとかで見そう。

 なんて思いながら顔を出す。

「生徒会長さんって、素はそっち?」

「な、なんだ、貴様……見てたのか」

 恥ずかしそうに顔を赤くする。うん、やっぱり可愛いと思う。そんなことを思っている俺は生徒会長に近づく。

「うん。見てた。生徒会長が猫に話しかけているのも、友達が欲しいって言っているのも」

「……それで?」

 生徒会長は警戒したようにこちらを見ている。

 そう言う顔も可愛いなって思ってしまう俺は、すっかりそのギャップにやられてしまっているのかもしれない。

「俺、生徒会長と友達になろうか?」

「は?」

「友達欲しいんでしょ? 俺、生徒会長さんのさっきの姿みたら友達になりたいなーって。いいよね? 菫ちゃん」

「は!? いやいや、なんだ、菫ちゃんって!!」

「友達欲しいなーって言ってるの見ると菫ちゃんって呼び名がピッタリだと思って。あ、俺は川越充っていうよ。よろしくね、菫ちゃん。スマホの連絡先聞いてもいい?」

「は?」

「いいよね? 友達ほしいんでしょ?」 

 そういって笑いかければ……やっぱり何だかんだ友達が欲しかったらしい、菫ちゃんは「ふん、いいだろう」と偉そうに言い放った。


 可愛いなと思うと同時に、菫ちゃんとのこれからの日々に思いをはせて俺は楽しみになるのだった。




 ――寂しがり屋の王様に、温かい手を

 (少年は寂しがり屋の王様に友達になろうと、手を差し伸べる)



川越充

高校二年生。一応社長の息子。そんなに大きな会社ではない。

学園内でも普通。でも結構良い性格している。

生徒会長見かけて友達になる。


久谷菫

高校二年生。大財閥の息子。人気者の生徒会長。

でも実は友達がいないことや孤高と呼ばれていることに寂しさを感じている。



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