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生徒会長なんて面倒なだけだ。

一般常識のある生徒会長の受難。

友達が欲しい(切実)

 何で俺、生徒会長なんてしてるんだろう…。俺は生徒会室で一人そんな気持ちに駆られた。

 というか何で俺以外の生徒会は可愛くもない毬藻に惚れて生徒会室にすら来ないんだろう。

 いや、毬藻がくる前から奴らは「私達がどうして面倒な事しなければならないんですか」って仕事してくれなかったし。

 居ても居なくても対して変わらないけど。

 この学園の書類って普通の学園より多いから、面倒。

 書類が多くて授業免除使ってまで仕事してたらセフレがいるだのわけわからん噂たてられるし。

 セフレなんかいないし、そもそも俺童貞だし。

 髪は確かに染めてるけど、ピアスだってあけてるけど、俺そんなにちゃらく見えるのか。

 つか、俺一年で入学してそんなに経ってねえのによ!

 あの兄貴(理事長)に生徒会長やれっていわれるし、なんか生徒達は理事長が直々に任命したのと、俺の顔が整ってるからって受け入れてるし!

 別に書類処理はなんとかなるけど、俺そういうの得意だし、でも何で俺生徒会長やってんだろう。

 頼まれたらきちんとやりたいからやってるけどさ。

 つか第一だ、何でランキングで生徒会決めてんだよ。

 俺以外の奴らは抱きたい、抱かれたいランキングで決まったんだけど…。

 生徒会ってこの学園では権力かなりあるのに、んなので決めてんじゃねえよと突っ込みたい。

 はぁ、別にやろうと思えばボイコットもできるけど、生徒会の仕事誰かがやんねーと、学園が機能しねぇし。

 別にそれはいいんだけどよ、何でわけわかんねぇ噂たてられてんの、俺。

 俺滅茶苦茶頑張ってるつもりなんだけど。勝手に外見いいとセフレ作ってるみたいなのやめろよな。

 俺は好きな奴としかヤりたくねぇしさぁ、童貞は失ってねぇし、別に男同士の恋愛には偏見はねぇけど、共学から来たしノーマルだし、セフレもなにもねぇし。

 つかこの学園きて三カ月で、友達居ないって俺寂しすぎる。

 ああ、もう中学が恋しい。ダチとバカやってた頃が懐かしい。

 俺友人と思いっきり遊びたいのに、ゲーム好きだし、漫画も読むし、音楽とかも聞くし!!

 会話する人間いないとか寂しすぎる。しかも親衛隊とかいう奴らは熱のこもった瞳で見てきやがるし。

 何が、”抱いてください”だよ!

 俺はノーマルだっての。

 断ったら断ったで泣き出すし、”他の人は抱いて僕は抱いてくれないんですか!”って泣きながら去って行かれても困るよ。

 俺、そんな経験豊富じゃねぇよ!! 見た目で経験豊富だとか勝手に勘違いするな!

 はぁ、とため息を吐いていれば、生徒会室の扉がノックされた。

 あぁ? 誰だ、なんて思いながら、どうぞ、といえば、扉が開かれる。

 入ってきたのは、銀髪の男――確か風紀委員長の吉田先輩だったか。

 つうか、此処入った時俺びびったんだよな。兄貴に話聞いてたけどさ。何で風紀委員まで銀色なんだよ。

 つか他の生徒会の奴らもわけわかんねぇ暴走族とか入ってやがるし、んなやんちゃしてる暇あれば仕事しやがれよ!!

 風紀も風紀で全員、生徒会と敵対している暴走族のメンバーとか何そのカオス、って俺マジ、誰かにつっこみたくてうずうずしてんのに。

 「何か用、ですか?」

 俺がそう問いかければ吉田先輩の目が大きく開かれる。

 そういえば、俺吉田先輩と話すのはじめてな気がする。

 風紀と会うと、副会長達がやたらと風紀委員長達に喧嘩売ってたから、話す機会なかったんだよなぁ。

 「風紀からの書類を届けに来たんだが―――、他の奴らは?」

 「来てないですよ。なんか良く知りませんが、毬藻に夢中で追い回してるみたいで、まぁ生徒会室に連れてこないだけマシですけどね」

 本当、副会長達が生徒会室に毬藻を連れてこないのはありがたい。

 毬藻って煩いから、俺は避けてるから会った事ないけど、遠目で騒いでるのは見た事あるから。

 というか、目の前の風紀委員長は何で驚いてるんだろう。目が大きく見開かれてて、逆にこっちがびっくりする。

 「会長って、敬語使うんだな」

 「…いや、俺ってどんなイメージなんですか!? 普通に、先輩には敬語使わなきゃだめでしょう」

 いや、もう本当にこの学園の連中の妄想力って怖いよ、マジ。

 何で人に意味わからん偏見つーか、妄想して決めつけてんだって話。

 俺ちゃらくないし、俺敬語使うし、寧ろ俺普通の男子中学生やってたし、そんな風にされても困るんだよね。

 「いや、そういう噂だったからな」

 ――だから俺ってどんな噂たてられてんの!?

 俺って普通にこの学園来るまで一般の共学通ってたし。

 まぁ、家は金持ちだけど、普通に通ってたんだけどな。

 俺も一応、上級社会の人々の一員なわけで、兄貴にそういう人達になれとけってここに入れられたんだけどな。

 「あのですね、吉田先輩。俺ってマジ、どんだけ色々変な妄想されてるんでしょうか?

 そもそも何でこの学園って生徒会ってそんな特別なんですか? 俺滅茶苦茶敬遠されてて友達誰もいないとかいう悲しい状況なんですけど」

 思わずそう問いかけてしまった。

 いや、だってさ、俺ダチ欲しい。一人とか寂しすぎる。

 何、生徒会入ってるからって、敬遠されてるとか、副会長達仕事しないから仕事量多いとか、マジこれ、苛め? 的な気分になってくる。

 なんかあっけにとられた顔を風紀委員長はしてるけど、丁度良い機会なんでいっておく。

 「俺って中学までは普通に共学の一般中学校に通ってたんですよ?

 勝手にセフレだのなんだの言われても俺ノーマルですし、別に男同士偏見はないですけど」

 一気にここまでいってしまってから、初対面の人にんな事いうのもどうかと、気付く。

 「あー、なんかすいません。吉田先輩。初対面なのに、こんな言ってしまって。正直喋る相手いなくて…、会話に飢えてたというか、なんというか…」

 悪い事したかなぁーと思ってそう言えば、なんか思いっきり吉田先輩が笑ってた。

 口元押さえて、おかしそうに。

 「…お前、おもしれぇなぁ。

 噂と全然違うしよ、てかダチ欲しかったのか?」

 「そりゃ、そうですよ。なんていうか、喋る相手が居ないとか寂しすぎません?

 しかも、親衛隊とか出来てて抱いてくださいって、熱い目向けてきて。

 んな、性の対象としてバリバリ熱い視線向けられるとか普通の学校じゃ考えられませんからね」

 「そうか…。

 会長、名前、なんだっけ、お前」

 「ん、俺ですか?

 俺は阪原夜サカハラヨルっていいますけど」

 「んじゃ、夜って呼ぶけどいいか?」

 吉田先輩はそういって問いかけてくる。なんだか久しぶりに人と会話ができて俺は嬉しい。

 「どうぞ」

 「ん、夜、俺とダチになるか? 俺でいいなら話し相手ぐらいはなってやるけど。

 お前生徒会だからって嫌な奴だと思ってたけど、おもしれぇし」

 そういって、笑った吉田先輩は、男なのに綺麗だった。

 ――本当、絶世の美男子的な人は凄いなぁ。

 つか何でこの学園、顔いい奴あんなに多いんだろう。

 つか、今話相手になってくれるって言ったよな。

 「まじですか!? 話相手になってくれるなら滅茶苦茶嬉しいですっ」

 誰かと仲良くなれるのって嬉しい事だし、しかもこの学園で友達いない寂しい俺の友達になってくれるとかこの人超いい人だ。

 副会長達は散々悪口いってたけど、この人超良い人だと俺は感動した。

 「そんなに嬉しいか?」

 「はい、嬉しいですよ。というか吉田先輩って優しいですね。友達作れていない寂しい俺の話相手になってくれるなんて…っ!

 もう俺超嬉しいです。この学園入学してから生徒会やらされますし、副会長達仕事なんて何もしないし、友達一人も作れないしっ!」

 「副会長達仕事そんなにしてないのか」

 「というか就任してから一度もしてくれないんですよ。酷くないですか?

 おかげで5人分の仕事一人でやらなきゃで授業免除使ってたらセフレとか言われますし」

 そういって困ったように笑えば、吉田先輩の顔がますます驚きにそまる。

 どうしたんだろう、と思っていたら勢いよく吉田先輩は声をあげた。

 「5人分の仕事を全部やってるのか!?」

 「はい。だって副会長達全然やらないんですもん。

 俺一応会長なわけですし、やらなきゃだめだって思って」

 いってもやってくれないし、リコールできるもんならしてみろみたいな態度してくるし。

 だから面倒だしもう一人で黙々とやってたんだ。

 吉田先輩は心底あきれたとでもいう表情でこちらを見てくる。

 「お前なあ…、この学園の生徒会の仕事がどれだけ多いと思ってやがる。副会長達が仕事しねえならリコールでも何でもすればいいだろうが」

 「なんか゛中等部からこの学園にいる優等生の私と入ったばかりのあなたどちらを生徒や教師は信じるでしょうねえ゛とか面倒な事いってたんで、ちょっと授業出れないのは困るけどこれくらいならなんとかなるし、良いかなと」

 「……これくらいですませるなよ。かなりの量だからな、それ」

 「まあ俺昔からこういうの得意ですし、別にそれはいいんですよ。

 一つ言いたいのはですね。俺は普通に楽しい学園生活おくりたいんです。

 生徒会長だからって敬遠されるのも、仕事してたらセフレだのわけわかんない事言われるのも本当に嫌です」

 本当に仕事に関しては別にいいのだ。この位ならがんばればどうにでもなるから。

 でも、学園生活でダチいねえとか嫌に決まってんだろ。俺は青春を謳歌したい。友達いない高校生活とか、どれだけ寂しい青春なんだよ。

 「気にする所そこなのかよ

 つか5人分普通に余裕ですましてるとか流石理事長直々の推薦なだけある」

 なんて関心したように言われた。

 理事長……そうだよ、兄貴にやってくれって頼まれたんだよな。

 別に兄貴にいえば副会長達どうにかなると思うけど借りとか作りたくねえし。

 兄貴って普通に奥さんいるけどブラコンで、つか兄貴の奥さん、腐女子とかいう奴で、何故か女装しろといわれるし…。

 ……そういえば中学の学園祭で女装する事になってしたら一般客にナンパされまくってうんざりしたっけ。

 「んー俺より吉田先輩のが大変じゃないですか? 風紀委員長って忙しいイメージあるんですけど」

 「いや、俺には風紀の下の連中とか居るしな、そんなに忙しいわけじゃない。

 ああ、ただ今はあの転入生がきて問題事起こすから厄介でな」

 「あー…、毬藻ってそんなにやっぱりうざいんですか?

 俺関わるの面倒そうだし、関わってないんですよね。副会長達もライバル増やしたくないのか知らないけど幸い俺の前に連れてこないですし」

 本当にそこだけは感謝したい。

 俺がそんなよくわからん変な毬藻に惚れるとか絶対ないって断言できるけど。

 俺の前に連れてこなくて、で、仕事を一人でのんびり平和に過ごせるならそれでいい。

 「…俺、何故かしらんが、あの転入生に親友認定されたぞ。

 一度喋ったら親友になるらしいからな」

 「うえ、なんていう、ウザイ奴なんですかそれ。

 あ、吉田先輩甘い物好きですか? 好きならお菓子食べて、紅茶飲みながらリラックスでもしません?

 疲れとれるかなーっと思うんですけど」

 そういって笑えば、お菓子は好きではないけど紅茶だけもらうと言った。

 だから、紅茶を注いで、吉田先輩と一緒にそれからしばらく会話を交わした。

 「―――そろそろ、風紀室に戻る」

 しばらくたって、吉田先輩がいった。

 「仕事頑張ってくださいね。あ、そうだ。お話相手なってくれるんでしたら、メアドきいてもいいですか?

 というか、生徒会室きてくれたら紅茶ぐらいなら出しますし」

 「―――ああ」

 吉田先輩がそう頷いて、メアドを交換した。

 そして吉田先輩はまた、来るとそういって、生徒会室から去っていく。

 この学園にきて初めての友人的存在に、俺は何処までも胸が熱くなって、というか、興奮してその後の仕事がはかどったのであった。

 ―――生徒会長の仕事なんて面倒なだけだ。

 でも、頼まれたからにはやらなきゃだし…。

 ―――よし、頑張って二人目の友達も作るんだっ。

 俺はそう、意気込んで、また仕事に取り掛かるのであった。



―end―


阪原夜

理事長の弟。上級社会に慣れろと王道学園に入ってそのまま生徒会長になれと言われやってる。

結構律儀で真面目。

中身は普通の男子生徒。音楽は好き、漫画は好き、ゲームは好き。カラオケとか騒ぐのも大好き。

だけど、セフレ居るだのレッテルとか、親衛隊とかやらで敬遠されてて悲しんでる。

顔立ちは男前だけどわりと中性的で女装したら美女に変身する。



吉田

風紀委員長。

銀髪。暴走族のトップで、喧嘩は強い。

副会長達の所と敵対してる。

結構まともな人。

転入生がうざくて仕方ない。



その他生徒会。

夜に仕事押し付けて毬藻追いかけまわしてる。

夜が倒れたりとかしないし、別に罪悪感はないらしい。

というより、ナルシストっぽい。


構成は、副会長、双子、会計。


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