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俺と義理の兄と学園と。 3

「おー、君が令の弟になった子? 俺は菊池康人きくちやすひと。俺の事は康人君でも康人兄でもなんでもいいよー。よろしくー」

 その日、学園から帰ってきた兄さんは友人だという男性を連れてきた。その人は髪を金髪に染めていて、ピアスを耳に何個もつけていて、見るからにチャラそうな雰囲気のある人だった。

 でも兄さん同様かっこいいなーと思う。

 美形な人の友人も美形になるものなのだろうか? などとしょうもないことを考えてしまった。それにしても金色の髪にカラコン入れているけど、この方も、黒髪も似合いそうな気がする。

「俺は東雲和仁です。よろしくお願いします」

 兄さんの友人なら是非とも仲よくしたい!! と俺はにっこりと笑っていった。

「和仁君ね。令と仲よくしているんだって?」

「はい。俺と兄さんは仲良しなつもりです。少なくとも俺は兄さんの事、大好きです!!」

 素直にそう言ったら、康人君はぶはっと噴出して、兄さんは横を向いた。

「和仁君、超素直だね!! そんなに令のこと大好きなんだー、どんなところが好きなの? ちなみにそれはラブで、ライクで?」

 ニヤニヤしながら康人君は俺と兄さんを見る。

 ラブかライクでとか聞くのは、その学園が同性愛に溢れているからだろうか? 特に偏見はないけれど、男同士で義理の兄弟でそういう仲になるとか……もし現実であったら中々驚くと思う。

「もちろん、兄弟としてですよ。兄さんのどこが好きかってかっこいいんです!! 無口だけど優しいし、俺のことを弟として可愛がってくれるし。勉強も教えてくれるし!! 俺、ずっと母さんと二人きりだったから家族が増えるの凄く嬉しいんです。

 母さんが再婚して敬一郎さんっていうかっこいい父親と、兄さんっていうかっこいい兄が出来て俺凄い嬉しいですし」

 もう、本当に嬉しい。

 ずっと一人で俺を育ててくれた母さんが好きな人と結婚して幸せになれたことも嬉しいし、こんな素敵な家族が増えたことも嬉しいし。俺は最高に幸せものだと思う。

「へぇ~。そっかぁ。和仁君、こんなキャラだから令も可愛がってるんだろうね。これは可愛いわー。っていうか、令めっちゃ照れてるじゃん。うわ、超、激レア。写真撮って学園で売ったら超もうけそ――ってまったまった、冗談冗談」

 康人君が軽口を叩けば、兄さんが怒りの形相を浮かべていた。何だか二人とも仲良いなぁ、と見ていて楽しい。

 なんとか兄さんの怒りを康人君がおさめる。康人君が俺を見る。

「和仁君の名前と俺の名前って似てるよねー。おなじくひとって文字が漢字違うけど入っているし。なんだか俺の方も兄弟感あるよね!! 一回、康兄とか呼んでみない??」

「康兄」

「う、可愛いなぁ。これ、いいわー。俺には生意気な弟しかいないからなぁ。なんだよ、令、こんな可愛い弟出来るなんてずるいぞ」

 俺は男なので、可愛い可愛い言われるのは少しだけ複雑なのだが……それでも兄さんの友人に嫌われていないならいいなーと思った。まぁ、康兄にも弟として可愛がられるってことは、兄がもう一人出来るってことで凄くいいことだしなぁ。

 ってことを口にしたら「俺のことずっと康兄と呼んでいいよ、和仁~」と凄い感激された。

「っていうか、これ、あれだよな。和仁が学園に入るなら絶対に人気者になるだろ」

「ああ」

「変なことに巻き込まれないようにちゃんとしてやらないとな。和仁は俺が守る!」

「いや、俺の弟だからな? 俺がなんとかするから大丈夫だ」

「俺の弟のようなものでもあるんですー」

 なんか兄さんと康兄がそんな会話をしているが、俺なんてもてないと思うんだけどなぁ。今までそんなにもてた経験なんてないし。

「俺なんてきっともてないよー。それより兄さんと康兄のがもてもてじゃない??」

 男の俺からしてみてもかっこいい! とおもえる人たちだからなぁとそんな言葉を口にする。

「絶対に騒がれるだろ」

「そうだね。絶対に和仁は騒がれるよ。俺と令もまぁ、騒がれてるけど!」

 やっぱり兄さんと康兄は騒がれているらいい。

 なんだか断言されてしまったが、何かあったとしても兄さんと康兄が味方になってくれるということなので、俺は学園生活に対して不安よりも楽しみの方が大きいのであった。



 その日、康兄と連絡先を交換したらひたすら毎日のように連絡がくるようになるのであった。





 end



 

 

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