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僕は嫌われもの

「また、あいつだよ」

「本当に何でこんなところに――」



 僕の名前は高円寺円加こうえんじまどか

 僕は全寮制の男子高校に通っている。小学生のころから通っている此処で、僕は嫌われている。



 初等部6年、中等部3年と嫌われっぱなしの九年である。うん、寧ろ何故僕はこんなに嫌われているのだろうかと最初の頃は疑問だったけれど、今はもう仕方がないかとあきらめている。



 僕を嫌っているのは、この学園の中での人気者たちである。いや、人気者たちというのは語弊か。

 人気者の一人――この学園で姫とか呼ばれている凄い人気者の、女の子かと勘違いするような可愛い少年だ。


 個人的に僕は学園で嫌われている分、外で思いっきり遊んでいるので、外の世界を見ている分、此処で姫扱いされて喜んでいる雪乃ゆきのという名前の少年には正直共感が全くできない。

 ……っていうか、なぜか僕その雪乃様に嫌われてんだよねー。何でか理由は分かるけど。小学生の頃に、「可愛い顔してむかつく」とか言われたし。

 うん、僕の顔、可愛いらしいよ。

 外で年上のお姉さんやお兄さんに可愛がられているもん。でもあれなんだよね、僕の可愛い顔が晒されていると雪乃様は嫌らしいよ。小学生の頃、意味が分からないぐらい虐められたんだけど、顔隠したら雪乃様からのいじめは少なくなったんだよね。うん、あいつ、性格超悪いよね。



 あれで優しい姫様みたいな扱いとか馬鹿なの?

 でも確かに小学生の頃よりも取り繕うのが上手くなった気がする。

 だからこそ、最初の頃を知らない連中は心から優しいと思っているようだ。



 ちなみに雪乃様、結構年を重ねるにつれて優しさを身に纏うようになった。外面上の優しさだけどな。

 そんな雪乃様が嫌っている僕。しかも雪乃様が煩いから僕は顔を隠しているのだ。何故か男しかいないのに親衛隊があったり、男同士でキャーキャー言ってたり、男同士で恋愛が盛んなこの場所で、人気者に嫌われて、顔もよくない僕は本当に嫌われている。


 まぁ、嫌われていても僕はいいかーってことで、のんびり過ごしている。

 嫌がられているけれど、まぁ、問題はないしね。僕は学園外では楽しくしてるしね。




 それにしてもこの学園の連中って暇人だなーって思うよ。

 あと凄い家系とか重視しすぎて引くんだよね。僕の家は良くもなく悪くもなくって感じな中堅な家系なんだよね。これが有数の企業の子息とかだったらもっと学園生活楽だったかもだけど、まぁ、ないものねだりは仕方がないしね。


 そんなわけでのんびり嫌われ者として生きている僕である。



 さて、中等部ももうすぐ卒業だ。来年には高等部になる。

 ……ぶっちゃけ家族はそれだけ生きにくいなら他の学園に行ってもいいとは言ってくれているが、僕は逃げるのは嫌だと思っているのだ。そんな意地で僕はここにいるのだ。




 高校生活も同じままかなーっと思っていたのだが。




「円加、俺もそっちの高校行くぞ」

「え」

「円加、僕らも行くよ」

「本当??」



 学園の外—―街で出会った友人たちが学園に入学すると言っている。僕はそのことに驚いた。



 僕は学園の外で、学園のことを溢すことはなかった。愚痴るのもかっこ悪いし、仕方ないかなーとあきらめていたし。



 それでも友人たちがくるなら、僕の学園生活はかわるだろうか。





「――それなら僕は嬉しいよ。でも、僕とは関わらない方がいいかもね」



 僕がそう言っても友人たちは、何も聞くことはなかった。もしかしたら噂とかで知っているのかもしれない。うーん、嫌われている僕を知られているのはちょっと嫌だった。



 だけど彼らが気にしていない様子を見てちょっとだけほっとした。それにしてもどうして高等部の学園に入学しようとしているのだろうか。




「円加は何も心配しなくていいよ」

「そうそう」


 気の良い友人たちはにこやかに笑っている。こんな風に笑ってもらえると僕は安心する。




 この友人たちがきてくれるなら、僕の生活はかわるだろうか。

 いや、でも雪乃様はこの友人たちに目をつけるだろうか。



 不安は残っているけど、それでもこの友人たちを信じたいなと思った。





 まぁ、もしそっぽ向かれても今までと学園生活は変わらないしね……。

 僕はそんな風に思うのだった。




 ――僕は嫌われもの。

 (僕は嫌われている。だけど、逃げる気はない)



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