俺と義理の兄と学園と。 2
「兄さん、めっちゃ黒髪似合うよね。ってか、本当びっくりするぐらい美形だし。こんな人が俺の兄さんだって思うと、俺めっちゃ自慢したくなる!」
俺は学園から帰ってきていた兄さんにそんな風に声をかけていた。
っていうか、本当、何度見てもかっこいいって思うし。こんなにかっこよすぎる兄さんが出来るとか、自慢しか出来ない。友人たちにも母さんが再婚してかっこいい兄が出来たって自慢している。ちなみに敬一郎さんにはアルバイトしなくてもいいって言ってくれているけれど、俺は高校に入学するまではアルバイトも続ける予定だ。アルバイトもやりがいを感じてやっているし。
「そうか」
「うん。めっちゃかっこいい」
ちなみに再婚してから、兄さんは前より帰ってくるようになったらしい。敬一郎さんが言うには、俺のことを弟として可愛がっているからだろうって。嬉しい!! 兄さん、口数少ないけどかっこいいし、優しいし、勉強教えてくれるし、俺はめっちゃ嬉しい。
「兄さん学園ってどんな感じ? 同性愛があふれてるっては聞いたんだけど」
「そうだな。多い。和仁も気を付けた方が良い」
「え、俺も? 俺兄さんほど美形って顔してないじゃんか」
「……いや、和仁の顔は整ってる。それにそれだけ人懐っこく話しかけたらあの学園だと勘違いする奴が出てくる」
「えー。俺に?」
ぶっちゃけ俺そんなにモテないと思うんだけど、そもそもモテていたら彼女ぐらい出来ているだろうし。そもそも仲良く話しかけただけで勘違いってなんだ……。うーん、勘違いするような人たちが多いのかな。
同性愛には偏見はないし、人そぞれだと思うけれど……自分が同性と恋するとかは想像できないな。俺の場合は誰かに恋した経験もあまりないし……母さんと一緒に生活するのにせいいっぱいだったし。
「ああ」
「んー、想像つかないな」
「和仁が学園に入学したら、俺がどうにかする」
「兄さんが? 兄さんが守ってくれるなら安心だね」
同性愛があふれている学園なんて行ったことがなかったので、少し不安もある。だからこそ、兄さんという完全な味方がいてくれるのならば安心する。
「ああ。俺が守ってやる」
兄さんはそう言いながら、俺の頭を撫でてくれた。
兄さん、優しい!! やっぱり俺、兄さん好きだなぁって思った。
「兄さん、学園の話、沢山聞かせてね。沢山話してもらえたら俺も学園の生活の心構え出来るから」
「ああ。沢山話す」
兄さんかっこいいなーって、俺は思わず笑顔を浮かべてしまうのであった。
―令side―
「なぁなぁ、令ー!! いい加減教えろよー。お前の恋人って誰だよ」
実家から学園に戻ると、友人に絡まれた。
義弟である和仁に癒されてから学園に戻ると、ちょっと煩わしさを感じる。父さんが再婚して、新しい母親と弟が出来ると聞いた時は、嫌な相手だったらと考えたものだが、そんなことはなかった。
新しい母親になった宮子さんも、弟になった和仁も笑顔が良くて、一緒にいて心地よい。父さんの金目当てか、と最初は訝しんだものだが、そんなことはなかった。父さんも宮子さんに惚れこんでいるようだし。
和仁も、一生懸命で、俺を兄として慕ってくれているので弟として可愛いと思ってる。兄弟が居なかったから、こうしてできた兄弟は嬉しい。
……で、友人は俺が似合うと言われたからといった発言で恋人が出来たのではと疑っているらしく、めちゃくちゃ聞いてくる。
和仁のことをこいつにいったら絶対に会いたいと言い出すだろうから、言っていないのだが……そろそろ言わないと、こいつが騒ぎまくるせいで俺に恋人が出来たと益々広まってややこしいことになるかもしれない。
「……恋人はいない」
「じゃあなんだよー。令が黒髪に戻すなんてよっぽどだろ? 誰に言われたんだよ?」
「……はぁ。弟」
「弟? 令、弟いないだろ?」
「……最近父さんが再婚したって言っただろ。その連れ子だ」
どこまでもこいつが引き下がってくることは分かるので、観念して告げれば目をキラキラとさせた。
「そういえば、言ってたな!! なんだ、弟が出来たのか!! それでその弟に言われて令が髪を黒に戻すとか、おもしろーい!! その弟君に是非、会いたい!!」
「……和仁に悪影響だろうが」
「おお、和仁君っていうのか。令ってば、超、その弟君、気に入っているじゃんか。めっちゃ会いたい!!」
子供のように駄々をこねてくるそいつを置いて、俺はその場を後にするのだった。
……多分こいつは諦めないだろうから、そのうち和仁に会わせなきゃにならないだろう。和仁に話を通しておくかと、俺は思うのだった。
end
中途半端だけど、一先ずここで切ります。
純粋に兄弟愛で仲よくしているブラコンたちって好きなんですよね。