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リコールされました!~after④~

 俺はFクラスで相変わらずのんびりと平穏な日々を過ごしている。

 時々、風紀委員長たちとかは相変わらず来ているが、正直副会長をやめた今、俺には関係ないし、Fクラスは楽しいから他のクラスに行く気はしない。

「ヒジリ」

「王様、おはよう」

「ああ」

 今日は王様と姫様は一緒ではないらしい。王様と姫様ってずっと一緒にいるイメージだけど、こうして単独行動している事もよくある。Fクラスに来る前は、王様と姫様とは夜の街で会うぐらいだったけど、こうして同じクラスになれると知らない王様と姫様をもっと知る事が出来て、俺は嬉しかったりする。

 嬉しい事に俺がFクラスに来てから、王様も姫様も学園にやってくることも増えたらしい。

「久遠さん、久我、おはよう」

「帝さん、おはようございます!! またあの風紀委員来ているみたいですよ」

 あ、帝が風紀委員長がFクラスの方へやってきているのを知って、嫌そうな顔をした。王様は大切にしているもの以外はどうでもいいといった態度だけど、俺の事は友人と思ってくれているという事だ。そう思うと俺は嬉しい。

「王様、とりあえず放っておこうよ。どうせ、あいつら同じ事繰り返すだけだし」

「ああ。放ってはおく。ただいい加減、あきらめないかと思うんだが」

「んー、馬鹿なんじゃない? 俺がこういう性格だって知ってきゃーきゃー言ってるし。自分で追い出しておいて、俺が戻ってこない事文句言ってるぐらいだし。それより王様、そんな顔しない。俺は王様が楽しそうにしている方が好きなんだよね」

「……ああ」

 王様は俺の言葉に頷く。面倒そうな顔をしている王様の頬に手を伸ばして、触れる。そして笑ってほしいと告げれば、王様は小さく笑った。

 王様はイケメンだなーと笑った姿を見て思ったりする。王様の笑った顔を見るのは好きだ。友人である俺に向かってはにこやかに笑ってくれる王様。きっと王様は友人以外にはこんな風に笑わないだろうから、何だか嬉しくもなる。

「……」

「ん? どうした?」

 王様と俺が席に着けば、Fクラスのクラスメイト達が少し何とも言えない顔でこちらを見ていた。どうしたのだろうかと問いかける。

「……いや、なんつーか、本当に久我と久遠さん仲が良いよな」

「俺と王様は仲良しだぞ?」

「俺は久遠さんが頬を触られて笑うなんて初めて見たぞ。奥村さんもそんな事しないだろうし」

「姫様は自分からスキンシップあんまりしないからな」

「……久我は全くためらいなく久遠さんにも奥村さんにも触るよな」

「まぁ、俺と王様と姫様仲良しだしな。俺は好きな相手にべたべたするの好きだし。母さんや姉さんともよくくっついてるぞ」

「……そうか。なんだ、もう久遠さんと奥村さんは久我の中で家族枠なのか?」

「家族とは違うけどな。でも王様も姫様も大事な友人だから。なー、王様、俺達仲良しだもんな」

 王様の方を向いて問いかければ、王様は「ああ」と頷く。うん、ちゃんと恥ずかしがらずに肯定する王様が俺は大好きだ。もちろん、こういう時に恥ずかしがる姫様の事も大好きだけど。

「……久遠さんと久我って付き合うとかはないのか?」

「付き合う? 俺は考えてないけど。でもそうだな、王様の事は普通に好きだし、付き合うのも面白そうだなーとは思うけど」

「ぶっ」

 別に王様とだったらそういう関係になっても面白そうだしいいかなーと思う。考えた事は特になかったけれど、考えてみても特に嫌悪感はない。俺は王様の事が嫌いではない。寧ろ、王様が望むなら恋人同士みたいな行為だって出来る気がする。うん、人間的な意味で王様の事が好きだしな。

 聞いてきたクラスメイトは「そんなのありえない」とか「何を言うんだよー」とでも答えてほしかったのかもしれないが、考えてみても別に構わない気がした。

「ん? 王様、どうしたの? はっ、俺がこんな事言ったから引いた!? でも俺、王様なら別に構わないなーっていうのが本心なんだけど」

 王様の方をちらりと見れば、王様が少し固まっていた。いつも表情を変えずに俺の好きに返事をしたりする王様がこんな表情をするのも珍しい。引かれてしまったのだろうかと不安に思って問いかければ、王様が真顔に戻った。

「……いや、ひいてはない。俺もヒジリならば、恋人になっても問題はない」

「ぶっ」

「あははは、俺と王様、結構相思相愛? あんまりそういうの考えた事なかったけど、それはそれでアリ気がするよな」

「ああ。俺もヒジリとそういう関係になるなど考えた事がなかったが、考えてみれば特に嫌悪感はない」

 どうやら王様も俺と同じようにそういう付き合いになる事を考えてなかったらしく、それで変な顔になっていたらしい。引かれてなかったなら良かった。

「あはは、じゃあ付き合う? 試しに恋人同士になってみて、駄目なら駄目で友達に戻ればいいし」

「ああ。そうするか」

「ぶっ。って、ちょ、ちょちょ、久遠さんも久我も軽すぎない?? 俺が聞いておいてなんだけど、こんな展開になると思わなかったんだけど」

「軽くはないよ。王様だからいいかなーって。他の奴だったらこんな言わないかも」

「ああ。俺もヒジリならいいかと」

 二人してそう答えれば、周りがなんかぶつぶつ言っていた。

「結局相思相愛なの?」「この二人なんなんだろう……」「奥村さんはどう思うだろうか」「というか、軽く聞いてこんなことになるとは」とぶつぶつ言っている言葉は俺には聞こえなかった。



 そしてそのあと、姫様がやってきて報告をすれば「へー。別にいんじゃね?」と軽く答えるのだった。周りは姫様の軽い反応にも驚愕していたが、別に俺と王様がそういう関係になろうと何も今まで変わらない気がする。


 


 end




軽い感じで付き合いはじめるヒジリと王様です。


最近あんまりネタが出てこないので、希望のネタなどありましたら書いてくだされば助かります。

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