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親衛隊隊長=愛玩動物

ひたすら可愛がられている親衛隊隊長のお話。

 「えっと…竜一君が困ってるから、生徒会室に遊びにいっちゃだめ!」

 「何でそんな事いうんだよ! あ、お前も親衛隊か!」

 「そうだけど…とりあえず竜一君のためにも生徒会室行かないでほしいの」

 目の前の男の子―――二週間前にやってきた転入生君に僕――秋田幸は告げた。

 本当はこんな意地悪いいたくないけれど、竜一君が疲れてるの見ててわかるし、僕一応竜一君の親衛隊隊長だし。竜一君が大変なのを放ってはおけなかった。

 だから生徒会室にいくのだけでも控えてくれないかな、って転入生にいいにきたんだ。

 だって転入生君がきてから副会長さん達は転入生君に夢中で仕事をしてないらしい。

 それに加えて生徒会室で会長である竜一君が仕事をしている中に転入生君をつれていって騒いでいるらしかった。

 本当にどういう神経してるんだろうか。

 竜一君は忙しそうにしてるのに!

 僕ら親衛隊が手伝うっていっても生徒会の仕事だからって一人で無理してるし…。

 「なんでんな事いうんだよ! 俺は秀達の友達なんだ! やっぱり親衛隊は最低だ。お前らがいるから秀達に友達ができないんだ!」

 「え?」

 一瞬何言われてるか理解できなかった。

 だって僕は頼んでるだけなのに最低って、それに僕らは竜一君の親衛隊隊長であって、副会長さん達なんか知らない。副会長さんたちのことは僕は一言も話していないのに。

 「えっと、竜一君はお友達普通にいるよ?」

 というか竜一君にはお友達はいる。

 親衛隊の他の子達と僕も含めて竜一君とゲームしたり遊んでるし、僕も竜一君とはお友達のつもりだ。

 「秀達はいないっていってた! はっ! まさかお前らセフレの事を友達っていってんのか! 最低だ」

 「えっと……?」

 一気に声をあげられて困る。なんで僕こんなに責められているんだろうか。

 そもそもセフレって何だろう、なんていう疑問が頭に浮かぶ。

 「お前らがいるから竜一達も苦しむんだろ!! あいつらが好きなら制裁とかしてをわじゃねえよ!」

 「えーと?」

 竜一君、僕らのせいで苦しんでたの…?

 というか制裁って、僕ちょっと頼み事しただけなのに…。

 虐めとか僕嫌いだし、というかそんな度胸ない。

で も隊長だしがんばろうって僕、言いにきたのに。

 「本当最低だ! 親衛隊に入ってる奴らなんて全部最低だ! そんなんだから竜一達にも嫌われるんだ」

 「え、えーと…?」

 竜一君に、僕嫌われてたの?

 僕らただ一緒に遊んだり、テスト前に勉強会したり、隊員の子の誕生日パーティー企画して盛り上がったり、一緒にケーキ食べにいったりしてただけなのに…。

 うぅ、隊員の子達が転入生君の言葉はでたらめが多いとかいってたけど…。

 竜一君が僕らの事嫌いっていってたみたいに言われると本当にいってたら嫌だなって悲しくなってきた。

 視界がゆがんできた。

 竜一君に嫌われてたのかなあ…。

 それに何で僕らを最低だっていうんだろう。

 皆優しいのに。皆僕の大切なお友達なのに。

 「竜一も秀も迷惑してんだよ! お前らの存在に! というか何かいったらどうだ? 図星だからいえないんだろ、どうせ!」

 僕副会長さんとはしゃべった事もないのに…。

 竜一君が僕らのせいで迷惑してる、そんな言葉に滴があふれ出した。

 「………っ」

 ああ、なんて情けないんだろう。

 竜一君のためにもがんばろうって、せめて生徒会室で騒がないようにしてもらおうって、そう誓って此処まできたのに。

 悲しくて、こんなに暴言はかれてびっくりして、こちらをにらみつける転入生君が怖くて、涙が止まらない。

 「……うぅ…ひっく……」

 「何泣いてんだよ! お前が俺に制裁とかしようとするから悪いんだろ!」

 「ちが…う、もん…っ!ぼ、僕…ぅ、は…ひっく」

 「何いいわけしてんだよ! 謝れよ! 謝ったら許してやるから」

 そういって腕を掴まれて体がびくっと震えた。

 うぅ、腕掴まれてるとか怖いよ。

 転入生君力強くて腕痛いよ。

 転入生君、怖いよ。

 僕の話聞いてくれないよ。

 「うぅ…ひっく…、ぐすっ…」

 涙が止まらないよ。

 「「あーちゃん、何してんのー?」」

 「或、どうかしたのですか?」

 「その泣いてる子何?」

 副会長さん達まで来ちゃったよ。

 思わずますます体が震えた。

 つか腕痛いよ。話した事ない人達が周りにいっぱいいるとか怖いよ。

 「うぅ…っ」

 「秀! こいつは親衛隊なんだぞ! 俺に生徒会室に入るなっていってきたんだ」

 そんな言葉と共に、先ほどまで心配そうに僕を見ていた副会長さんたちの顔色ががらりと変わる。僕を睨みつけている。

 生徒会のみなさんって喧嘩も強くて、手がはやいらしい。

 なんか今にも手が出てきそうなにらみに怖さに体が震えた。

 「「生徒会室に入るなって、あーちゃんは僕らがいれてるんだよ?」」

 「というかあなた、どこかでみたと思ったら、会長の親衛隊隊長じゃないですか!」

 「泣き落としでもするつもりだったわけ? 泣き真似とかうざいんだけどー。

 つか或に制裁しようとしたとかマジ殺したくなっちゃう」

 「ちが…ひっく」

 囲まれて、責められて涙が止まらない。

 「違うって何ですか! 或、行きますよ! 親衛隊は汚いんですから!」

 「何泣き真似してんの~? きもいってゆーか、会長のセフレごときが俺の或に絡まないでよ」

 「うぅ…ひっく、だから…セフレって、何で…、すか?」

 僕と竜一君がセフレって、なんなんだろう?

 というかセフレってなんなんだろう? 本当によくわからない。はじめて聞く単語だ。

 「「何純情ぶってんの? 会長が隊長さんの部屋から出てきた証言もあるんだから」」

 「やっぱりセフレなのか! 最低だ」

 だから、セフレって何なの。

 というか竜一君とは普通に遊んでただけなのに…。一緒にゲームしたりしていただけなのに。

 「うぅ…」

 怖い。何でこんなに睨まれてるんだろう。本当に怖い。

 「いつまでも泣き真似してうざいんだよっ!!」

 そういって近づいてくる、会計の先輩。

 転入生が来るまでなんか不特定の人と付き合ってるみたいな感じだったらしい。

 けど、なんか転入生君に惚れてそういうのなくなったんだって。

 そんな会計さんが、僕に向かって拳を振り下ろしてくる。

 怖くなって、ぎゅっと目を閉じた。

 だけど、衝撃は来なかった。

 目をつぶっていた僕は、何かに腕を引っ張られて、温かいぬくもりに包まれていたのだ。

 「おい、てめぇ、何殴ろうとしてんだよ。しかも泣かせやがって」

 聞こえてきた声におそるおそる目を開ける。

 「…りゅ、い、ち君…」

 僕を引っ張って、抱きよせていたのは、竜一君だった。

 何で僕を抱きしめてるのかわからないけど、仲良い人とのスキンシップって安心できるから好きだ。

 「俺だけじゃないぜ?」

 竜一君がどういうと同時に沢山の声が響いた。

 「隊長、大丈夫ですか!!」

 「一人で行くなんて、何て無茶を!!」

 「というか、泣かされたんですか?」

 「許せないですね。僕たちの幸先輩を泣かせるなんてっ」

 「幸ちゃん、もう大丈夫だよー。ね、だから泣きやんで」

 「うぅ、皆ぁ……っ」

 そこにいたのは、竜一君の親衛隊の皆。

 隊長である僕を支えてくれて、優しくしてくる皆。

 皆の顔を見たら、安心して、口元が緩む。

 「隊長可愛いーっ」

 「ほら、お菓子あげますよ。秋田先輩の大好きな!!」

 「だから、もっと笑ってください」

 「幸ちゃんの笑顔僕ら大好き―っ!!」

 竜一君に抱きしめられたままの僕を囲んで声をかけてくる、皆。

 何処からかお菓子を取り出して僕に渡してくれる。

 本当に、優しい皆。

 僕が甘い物好きだからっていつも何も持ってきてくれる。

 「お前らなぁ、そういうのは後にしようぜ。とりあえず、幸泣かせやがったバカどもが先だろ」

 竜一君は僕をようやく離して、僕を親衛隊の子達に預けると、副会長さん達の方を見た。

 副会長さん達は、何故か驚いたようにこちらを見つめている。

 何で驚いてるんだろう…?

 「隊長、隊長をいじめる奴は、竜一様や俺達がどうにかしてあげますからね!」

 「とりあえず、幸ちゃんは此処で見てようね?」

 「副会長さん達に近づいたら危ないからね?」

 「というか、何一人でいってるんですか!! 俺ら心配したんですから!!」

 「ああ、でも幸君、無事でよかった!!」

 親衛隊の皆は口々にそういって、無事でよかったと笑ってくれる。それにひどく安心する。

 「聞けよ、竜一!! その親衛隊の奴俺に制裁しようとしたんだぜ!」

 「あぁ? んなの幸がするわけねぇだろ。つか、人の悪口言うとか、しょぼい嫌がらせでさえやるの怖いって言う奴がんなことしねぇよ」

 「何だよ!! 竜一だって、親衛隊の奴に迷惑かけられてんだろ。親衛隊が居るせいで友達出来ないんだろ!! 親衛隊をセフレにして、そんなのおかしい!!」

 …うぅ、転入生が怒鳴ってるよ。

 何だか、声が怖い。というか…、

 「ねぇ…、皆、セフレってなんなのー…? さっき、副会長さん達に聞いたら教えてくれなかったの」

 先ほどから気になっていた事を聞いてみた。

 そしたら、目の前に居る親衛隊の子達が固まった。

 どうしたんだろう、と首をかしげる。

 「チッ、奴ら隊長になんて言葉をっ!!」

 「可愛い幸ちゃんの前でそんな言葉言うなんてっ」

 「幸君、幸君はそんな言葉知らなくていいんだよ?」

 「えっと、でも、転入生君と副会長さんが、僕と竜一君が、その、セフレって奴だって言うから。

 何なんだろうって…」

 自分に関わる事なら、知っておいた方がいいと思って聞いたんだけど、聞かない方がよかったんだろうか?

 そういう思いを口にしたら、竜一君がなんか怒っていた。

 「はぁ? てめぇら何いってやがる、俺にセフレはいねぇし、幸とはそんなんじゃねぇし。第一、幸をんなもんと一緒にしてんじゃねぇよ」

 「でも、その子が、或を呼びだしたのは本当じゃん?」

 そんな事を会計さんがいって、こちらをにらんでくる。

 怖くなって、副隊長のあゆちゃんの後ろに隠れた。

 だって、怖いもん。

 「あー、幸ちゃん、ラブリー。マジ可愛い。

 てゆーか、幸ちゃんは転入生にお話でもあったの?」

 あゆちゃんは僕の頭をなでて微笑み、問いかける。

 「う、うん。

 竜一君が、生徒会室で騒がれて困るっていってたから、転入生君に生徒会室に来ないようにできないか、いったんだ」

 いまだに会計さんがこちらをにらんでいて、怖くて肩をびくつかせながら、僕は言った。

 「だ、だから、別に、せ、制裁しようとしたわけじゃなくて、たのもうと、しただけです。会計、さん」

 皆が居るんだし、言わなきゃと思って、あゆちゃんの手をぎゅっと握って口にした。

 「幸、俺のためにあいつに一人で話しかけたのか?」

 そういわれてあゆちゃんの背中から顔を出して竜一君の方を見れば、竜一君は嬉しそうに笑ってた。

 「だって、副会長さん達、仕事してなくて竜一君、大変そうだから…。

 僕らが手伝うっていっても一人でやっちゃうし……竜一君が倒れちゃうと思って」

 「なんだよ! 秀達が仕事してないっていうのかよ! してるっていってたぞ」

 転入生君がまた喚いて、何だか怖くなってまたあゆちゃんの後ろに隠れた。

 「隊長、可愛い」

 「あゆ先輩の後ろに隠れて何か小動物っぽいなあ」

 「幸先輩……っ」

 皆して僕を囲んで笑いかけてくれる。

 そんな笑みに安心する。

 「は? 何てめえら嘘いってやがんの。

 仕事してねえくせによ。つかいい加減仕事しやがれよ。

 いい加減にしねえと俺、流石に切れるぞ? しかも幸をなかせやがってさ。つかてめえらが毛玉に夢中になろうがしらねえよ

 でもな――――」

 そういって、竜一君は一度言葉をきって、また口を開く。

 「仕事しねえ役員はいらねえし、幸を泣かせるような馬鹿は許せねえんだよ」

 竜一君優しい人だなあと思う。

 僕のために怒ってて本当優しい人だ。

 「竜一様っ、かっこいいです!」

 「流石です! 隊長を虐めた馬鹿にもっといってください」

 「幸先輩のために怒るとか、愛ですね!」

 「ん? 愛……?」

 後輩の親衛隊の子の言葉に不思議そうに呟けば、何か暖かい目で見られた。

 「鈍感隊長可愛すぎ」

 「あのきょとんとした顔! 思わず頭なでたくなる!」

 「とりあえず隊長、竜一様は隊長が大好きなんですよ!」

 竜一君が…という言葉に先ほど転入生君に言われた言葉が思い出された。

 ゛竜一にお前らは嫌われてる゛みたいな言葉。

 「竜一君、僕の、事嫌いじゃない…?」

 「嫌いって思ってるわけないでしょう! 突然何いってるんですか隊長」

 不安になって問いかけた言葉は、即答で答えが返ってきた。

 「だって、転入生君が竜一君が僕ら親衛隊を嫌ってるとかいうから………、僕竜一君とお友達のつもりなのに嫌われてたらって悲しくなって……」

 思いのままに、言葉を口にする。

 「安心して幸ちゃん、絶対に竜一様は嫌ってないから」

 「というか嫌いな人と週に三回は一緒に夕飯食べないからね?」

 「幸ちゃんの事嫌いなら、毎回お菓子とか幸ちゃんの大好きなものとかかってこないよ!」

 「休日においしいケーキ屋に連れてってくれたりしないからね?」

 「幸先輩が嫌いならさっき抱きしめたりしないですからね?」

 そっかぁ、と皆の言葉に安心する。

 あ、僕って竜一君と週に三回はご飯食べてるんだ。

 親衛隊の子がローテーションで、お食事会する事になってて、何故か毎回僕の手料理なんだけどね。

 そのうち一回は何故か僕と竜一君の二人でご飯食べるんだよね。理由はわかんないけど。

 「よかったぁ。お友達って思ってるのが僕だけとか、悲しいもんね」

 「鈍感です、隊長」

 「ああ、そこが可愛いけれど」

 「竜一様、ファイトです」

 なんて皆がいうもんだから、僕はおもわず首をかしげた。

 「何で竜一はそんな親衛隊の味方するんだよ!!」

 親衛隊の子達とほのぼのと話していれば、転入生君の声が響いた。

 ふと視線を向ければ、生徒会のみなさんは気まずそうに下を向いて、転入生君だけ喚いてる。

 「黙れ部外者が。こいつらが仕事してねぇのは本当なんだよ。

 今反論しねぇのが、その証だ。大体てめぇには前々からいいたかったんだ。

 生徒会室は一般生徒ははいっちゃいけねぇ決まりなんだよ。まだな、一、二回なら用事があって生徒会室にいれるぐらいならあるかもしれねぇよ? でも毎回入ってきちゃ、仕事もせずにいるこいつらとぎゃーぎゃー喚きやがって、てめぇうぜぇんだよ」

 「なっ――、俺は、こいつらと」

 「友達になってやったとでもいうのか? つかな、友達できねぇのは親衛隊のせいでもなんでもねぇし。

 俺普通にダチいるし。こいつらがただ単に変に自分たちは誰とも仲良くなれないみたいに壁作ってるからだろうが。作る努力もせずに親衛隊のせいにしてんじゃねぇよ」

 ……竜一君、怒ってるなぁ。

 まぁ仕事ほったらかして遊んでた役員と明らかに邪魔になってる転入生君に苛立ってたのかもしれない。

 でも、うん、僕怒ってる竜一君より笑っている竜一君の方がいいなぁ、って思う。

 「つか、てめぇら、マジ仕事しやがれよ? あと、幸に接触してんじゃねぇよ。てめぇら手がすぐに出るんだから。

 第一、さっきも幸殴ろうとしやがって、こっちがお前を潰してやろうか?

 つか、本気でリコールされたくなかったら、これ以上失態を見せたくないなら、ファンを減らしたくないなら、もっと考えて行動しやがれ」

 「んないい方ないだろ!!」

 「黙れつってんのがわかんねぇのか、クソ毛玉。大体てめぇも親衛隊を刺激してんじゃねぇよ。

 こいつらの親衛隊は過激なのが多いけどよ、別に嫌がらせが好きとかんな性格悪い奴ばっか沢山いるわけねぇだろ。

 てめぇの発言と行動がもっと過激な苛めを引き起こしてんだよ

 あー、一気に喋って疲れた。俺、もう帰るから。とりあえず、頭ひやせよ。毛玉も含めて」

 竜一君は一気にそんな言葉を口にすると、こっちに向かって近づいてきた。

 「幸」

 僕の前まできて、竜一君は僕の名前を呼ぶ。

 「…毛玉がいったこと気にすんな、俺がお前を嫌いなわけねーだろ」

 なんてぶっきらぼうにいってくれた。

 「よかったぁ、僕と竜一君仲良しだもんね!!」

 「ああ。とりあえず、気晴らしに親衛隊連中とか、俺のダチとかよんで、お茶会でもしようぜ?」

 「うん!!」

 お茶会って親衛隊の子と竜一君と、たまに竜一君のお友達も含めてお茶を飲んだりお菓子を食べたりしてまったりするって事なんだけどね。

 今からお茶会かぁ、って思うと何だか頬が緩んだ。

 「じゃあ、皆集めてさわぎましょー!!」

 「隊長と竜一様が仲良しで嬉しいです!!」

 「今日はおいしいチョコレートケーキを作ってきたからねー、幸ちゃん」

 そうやって、皆で騒ぎながら、僕らはその場を後にした。

 僕、皆だーいすき。優しい皆がだーいすき。



 そのの後、生徒会の皆さまは仕事をするようになったらしい。

 転校生君の事は…、なんか怖いからどうなったかは、うん、知らない。



―end―


―オマケ(竜一と親衛隊の会話inお茶会)とある親衛隊メンバーside―



 「おいしいーっ!!」

 隊長が嬉しそうに笑いながら、テーブルに座って、チョコレートケーキを食べている。

 その笑顔に、その場にいる親衛隊メンバーほとんどが和んでる事をきっと、隊長は知らないだろう。

 「竜一様、隊長は今日も可愛らしいですね」

 「ああ。可愛いよなぁ…。マジ、会計に殴られなくてよかった」

 「ああ、あれは本当に間一髪でしたね!」

 「可愛い幸ちゃんに怪我なんてさせられないですものね」

 「泣いた顔より笑った顔のが絶対可愛いですもの!」

 デレデレだ。

 会長である、榎本竜一様は、何処までも隊長にデレデレだ。

 というか、一年前、高校一年生にして、その人気で親衛隊隊長を任された隊長に出会ってから竜一様はセフレを完全に切ったらしい。

 ……でも納得行く。隊長、可愛い。半端なく可愛い。

 竜一様に恋愛感情持って、親衛隊に入ったメンバーでさえ、可愛い隊長にデレデレである。

 隊長は竜一様の生徒会の仕事ぶりにあこがれて親衛隊に入ったらしい。

 そんな隊長はきっと知らないだろう、生徒会会長親衛隊……竜一様の親衛隊が、もはや隊長を愛でたいとか、隊長を守るんだ、隊長の平和を守るんだ的な隊になり果てている事を。

 「それにしても、やっぱ、奴らむかつく。幸の奴泣いてたぜ?」

 「でも竜一様、隊長を抱きしめられて嬉しかったんじゃありません?」

 「ああ。というか、あの、俺を認識した瞬間の安心したような顔、可愛かった」

 「わかります!! 本当、可愛い隊長は襲われたりしないか心配です」

 「だから僕たち頑張って隊長をお守りします」

 「というか、俺ら竜一様が幸ちゃんと付き合うの応援してるんで!!」

 ……きっと隊長は知らない。

 隊長以外の親衛隊メンバーが、竜一様の片思いを応援する会と化している事を。

 親衛隊メンバーと竜一様は、隊長を好きだという共通点があるため、仲が良い。

 親衛隊と仲良しだからセフレを作ってるって誤解してる人もいるけれども、実際は隊長に危害が加わらないように色々会議してたり、

 竜一様とメンバー達で隊長を喜ばせるために色々はなしあったり、

 普通に竜一様と親友的位置になってるメンバーとかもいるし。

 そもそも、竜一様、隊長の可愛さにやられて、デレデレだから絶対セフレいないしなぁ、と思う。

 「竜一君達、何はなしてるのー?」

 「何でもないよー、幸ちゃん!」

 「幸、ケーキうまいか?」

 「あー、隊長、口元にクリームついてますよ?」

 そんな様子を見ながら、僕は今日も平和だなぁとただそうおもった。





秋田幸アキタユキ

高二、親衛隊隊長。

背が低く、ゆるい感じの子。

鈍感スキルを持つ。ひたすら周りに可愛がられている。


竜一。

生徒会長。一年前からもう、幸にデレデレ。

もちろん、セフレはもう切れてる。つか、一途になってる。



親衛隊メンバー。

あゆちゃん(本名渉アユミ)は副隊長。幸の幼なじみだったりする。


会長親衛隊というより、隊長を愛でまくる隊、隊長の平和を守る隊みたいに化してる。

活動が、基本的に会長を守るというより、隊長を守る人達。

しかも幸が大好きな竜一はその隊長を守るという活動に普通に混ざっている。


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