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籠の中の鳥は学園に入学する 5

生徒会との遭遇

「美味しいね、帝」

 僕は食堂でオムライスを食べて思わずつぶやく。流石、金持ちが多く通う学園なのもあって料理も水準が高くなっているというべきなのだろうか。

 僕は帝の家で監禁されている間、もちろん外食なんていったことはなかったけれど、帝は自分の権力を思う存分に使って沢山の料理を取り寄せてくれた。沢山の美味しい物を食べてきた僕でさえも素直に美味しいと思える味がこの食堂にはあって、毎日この料理を食べれるかと思うと嬉しかった。

 相変わらず注目をされているけれどそれは別にいい。只でさえ帝がにこにこしているため注目浴びてるしね。

 のんびりと二人っきりで食事をしていたら何だか騒がしくなった。誰か来たのだろうか。

 そんな風に思っていたら、帝に声をかける集団が居た。

「会長! 部外者を役職席に連れ込んでは駄目でしょう! しかもよくわからない噂が横行しているんですが、何ですか、あれは!」

「「会長の嫁とか言われてるけどー……」」

「かいちょ、どういう、こと?」

「ふーん、これが噂の転入生君かぁ。思ったより普通?」

 何だか五人ほどの集団がやってきた。そのうちの二人は双子だ。僕は双子というものを生で見たのは初めてだからちょっとだけ不思議な気分になった。本当に同じ顔をしている。

「あ? うるせぇよ。緋色は俺の嫁だから部外者じゃない」

「いや、だからそれがなんですか! 嫁って!」

「だから嫁だよ、嫁。緋色は俺の物なんだから学園に通う事になった以上、俺の側にいるのは当然」

「……待ってください。会長が急に寮生活を急にするって言い出したのって」

「もちろん、俺以外が緋色の同室なんて許せないからに決まってるだろ」

 というか、そもそも帝がわざわざ寮に入らずに家に帰ってたのって僕が居たからだろうしね。本当、帝はぶれないなぁと思う。

「あと緋色は生徒会いれるから」

「いや、ちょっと待ってください。急になんて他の生徒が——」

「緋色を入れられないなら俺は生徒会やめる」

「はぁ!? ちょっと待ってください!」

 今、帝と話しているのは女の子と間違えそうになるような中性的な美人な人だ。こういう男の人世の中にいるのだなって思う。帝はなんだろう、こう凄いかっこいい! って感じだからね。僕、生で見た人間ってあんまりいなかったけれど、こうして学園に来てみると本当に帝って顔面偏差値高いんだよね。ネットで、人の顔とかそれなりに見ていて思ってたけど、帝は本当美形なんだよね。

「君、会長の心をこんなにつかんでいるなんて凄いね!」

「緋色っていうんだね!」

 何だか双子の男の子が僕の側によってきて屈託のない笑みを零した。

 双子に返事をしようとしていたら、何だか帝が「緋色に近づくな」と威嚇し始めた。

「近づくなって会長! この子、生徒会に入れるのならば仲良くするのは当然でしょうが!」

「えー、余裕のない会長とか超面白い。ねーねー、君、そんなに会長がはまるほどなの?」

 中性的な美人さんが言い張ったかと思えば、チャラそうな茶髪の男の人がニヤニヤとこちらを見ている。

「緋色を見るな」

 と、帝に抱きしめられた。あー……、というかそもそも帝って僕の事他人に見せたくないとあんな監禁生活になっていたわけで、だからこそこんなに見られたら不機嫌になるよなぁと思った。でもこれで帝の気が変わって、学園に通うの駄目って言われたらやだなと僕は考えていた。

「べた……ぼれ」

 片言の男の人の声が聞こえる。結局この人たちが何者か分からないけれど、生徒会がどうのこうの言っているから帝と一緒に生徒会に入っている人たちかな?

 そう思いながら、帝に抱きしめられっぱなしだ。でも帝の匂いは結構好きだ。帝に抱きしめられていると何だか嬉しい気持ちになるのを感じると、やっぱり僕は帝の事好きなんだろうなって思った。

「とりあえず緋色は生徒会に入れるから。お前らは失せろ。三国、お前は緋色に話しかけるな」

「え、ちょ、酷い」

「つか、誰も緋色に近づかなくていい。俺だけでいい」

「いやいやいや、それはおかしいからね、会長さ。それはその子の方がかわいそうでしょう!!」

 何だかそんな声が聞こえて、僕は帝に離すようにいって帝の方を見る。向き合ったままっていうか、少し離してくれただけで抱きかかえられた状況だ。

「帝、僕は学園生活を楽しむって言ったでしょ?」

「……そうだが」

「帝、僕は帝の側から離れないって言ってるでしょ。心配しなくていいよ。僕はずっと傍にいるから。というか、そもそも帝は常に僕の事盗聴しているだろうから、変な人が寄ってきてもすぐわかるよね? そもそも帝、僕の側から離れないでしょ」

 僕がそんな風に言ったら、なんか周りが「え、盗聴?」「離れない?」「え?え?」とか言っているけど、僕らはいつも通りだ。

「まぁ、そうだが……」

「なら大丈夫だよ。帝は本当心配症だなぁ」

「ああ……、緋色は一番可愛いからな」

 帝はまた僕の事を抱きしめる。というか、本当に帝は僕の事になると、盲目的だ。

 この会話も録音しているだろうし、僕の声を目覚ましにしているぐらいの帝だからなぁって僕は呑気に抱きしめながら考えていた。





 ――――籠の中の鳥は学園に入学する 5

 (二人はマイペースに周りの混乱も置いといて、自由にしている)




 

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