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その時、俺は爆笑した。

 全寮制の男子校に転入する事になった。事前に腐女子の姉貴から資料とかいってBL漫画をもらった。こんな学園、現実にあるわけないだろ。そんな風に思って転入してきた俺。初日から吹き出しそうになった。なんで、姉貴の渡してきたBL漫画と同じ感じなんだろうか。恐ろしいぞ。

 副会長は確かに中性的な美少年だった。しかしだ、俺が「漫画と一緒だ」と固まっていたら俺が見惚れたと勘違いして嫌悪の目を向けてきた。……男同士だぞ? と唖然としたけど、この学園本当にびっくりすることに同性愛にあふれているらしい。こんなところ現代にあるのかと俺は唖然とした。

 意味が分からない世界。それでいて俺みたいな平凡男子もそういう目で見られる世界があるのがこの世界らしい。男同士で襲われる側と襲う側にわかれるとか、なんて怖い世界だ。つか、色々異常すぎる。

 俺も自分の身を守るための行動に出なければならないとか、マジ恐怖。でも頑張ろう。

 さて、転入してきた俺だが、中々の平凡な見た目の俺なので皆ががっかりしていた顔をしていた。俺、美形だったらこの学園でどうなっていたのだろうか。怖すぎる。でもそれを考えたらあの美少年な副会長があれだけ嫌悪の目とか向けたのも、そういう目で散々見られてきたからなのだろう。そう思うと少しだけ同情する。そもそも異性であろうと同性であろうとも、散々、性的な目で見られたらそれはもう精神が荒んでしまうのも致し方ないというべきか。

 と、最初は思っていたのだが……。

 この学園に転入してみていざ、生活を送ってみるとこの学園内で人気者の連中は中々凄い思考をしている。

 まず第一に自分を好いていないものはいないと自信過剰である。

 学園で出来た友人がそんなことを言っていた。やばすぎる。どれだけ自分に自信が溢れているのだろうか。

 だって普通に考えてすべての者が自分を好いていて当たり前なんてありえない。というか、この学園の中では当たり前でも、外でこんな態度をやっていたら引かれるだけだろう。

 本当美形とかじゃなくてよかったよ。そもそも美形だと女性にそういう目で狙われてしまったりするかもしれないし。まぁ、もてなさすぎるのもアレだけどさ。

 転入してきて、それなりにこの学園での生活に慣れてきていたと思う。

 そんな中で、まぁ、俺はその学園の中で一番有名な生徒会長に遭遇した。たまたまである。俺はそこまで真面目な生徒でもないので、たまたま生徒会のさぼっている場所に顔を出してしまったというだけなのだけど。

 でも、なんか

「お前みたいな平凡に興味ない。俺様に抱かれに来たんだろうが、失せろ」

 とか去ろうと思った瞬間に言われた。

 マジか、こいつ。と思った。

 そもそも、自分で自分の事を俺様という時点で引くし、それでいてこんなことを自信満々で言っている時点でビビった。

「平凡なくせに俺様と——」

「ぶはっ」

 俺はそのあたりで思わず噴き出してしまった。いや、だってさ? 笑うよね? 確実に笑うの当然だよね?

 俺はもう面白すぎてもう止まらなかった。

「ぶはははははははっ。マジかマジか。自分の事俺様とか言っているし。しかも何、平凡に興味ないって。俺もあんたに興味ないっつーの。そもそも、たまたまここにやってきてしまったっていうだけなのに俺様に抱かれに来たのかって。ははははははは、マジありえねーつーの。本当世の中の全てが自分に興味があるって態度とか、全てのものが抱かれたがってるとか思い込んでいるとかマジありえねーだろ。そもそも普通、男は抱かれる側ではねーよ! どんだけこの学園の異常な常識を当たり前だと思い込んでんだよ。やっべーわ!!」

 思わず心の底から笑ってしまって、そんな言葉をどんどん口にしてしまった。

 もう目の前にいるのが先輩だとかそういうのを抜きにあまりのことに爆笑してしまった。

 が、全ていい終わってから相手先輩だったとか、相手生徒会長だったとか思い出してはっとなる。

「あ、すみません。思わず本音が。じゃ、俺はこれで失礼しますので」

 やばい、やらかしてしまったと思いながら謝罪をして去ろうとしたらなんか手をつかまれた。

「お前……面白いな」

「ぶはっ」

 おとなしく去ろうと思っていたのに、目の前の生徒会長がまた意味がわからない思考で言い張っていたので俺はまた噴き出してしまった。

「爆笑されて面白いとか、マジやばい思考すぎるから! ははははは、生徒会長さんって馬鹿なの?」

 いや、もう意味の分からない事言ったから思わず言ってしまったのである。またしまったと思ったけれど俺は結構口から本音をどんどん言ってしまう人間だった。

 あ、またしまったと思って慌ててその場を後にした俺は、何故か生徒会長に後々探される事になるとはその時一斉考えていなかったのであった。





 ――その時、俺は爆笑した。




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