俺のこと好きだとか言ってたけど間違っているあいつに草しか生えない。
俺の名前は草津京平。最近、全寮制の男子校に舞い戻ってきた。幼い頃に両親の転勤で、海外にいっていたというのもあって凄く久しぶりだった。この学園は――まぁ、色々異常で、男同士の恋愛が盛んでいろんな問題も起こっている。男同士で無理やりやったりとかさ、本当普通だったら考えられないだろうけど、此処では時折起こる話だ。
そんな学園に戻るってことだから、俺は警戒して顔は隠した。だって、めんどくさいとしか言いようがないから。
めんどうなことを俺はしたくない。俺の顔は綺麗な方だというのは分かっているから、余計に騒がれて面倒なことにはなりたくない。というわけで俺は隠している。
さて、戻ってくるにあたって俺は楽しみなことがあった。それは一人の同級生である。うん、散々俺の事好きだとかいい続けたませたガキ……いや、まぁ結構昔だからもうでかくなっているだろうけど。なんか、俺の顔が好きなのか―――いや、小学生のくせいに、俺の性格も好きとかいっていた奴がいたんだよな。俺が引っ越す時にすごい色々わめいていて、煩かった。で、そいつ、ずっとここに通っているはずなんだよな。そういうわけで俺はちょっとあのあんなことをほざいていた奴がどうなっているかというのが興味があったんだが―――、戻ってきてすげぇうけることが発覚した。
「―――恭は、本当に可愛いな」
「か、可愛いってなんだよ!」
正直さ、この最近の名物らしい出来事に俺は草しか生えない。
えーっと、このな、可愛いなとかほざいている奴が俺に散々色々いってたやつな。名前が花法院帝とかいう凄い名前だからこそ、憶えてた。凄い目立つ名前だしな。―――で、そいつが口説いている奴が、俺の少し前に転入してきたとかいう背が低い奴。なんかぼさぼさの髪に、いまどきいないだろうっていうださい眼鏡をかけている。
でさ、俺だと思って接しているらしい。
俺が京平で、その転入生も恭平らしい。読み方一緒でさ、あいつ俺の事キョウって呼んでいたから。
正直なんかすごい笑えて来てしまう。俺と勘違いして、あの転入生に対して口説いているらしいのが本当俺は面白いと思っている。
というか、俺に散々いってたくせに間違えてんのかよと。
そしてあいつは、生徒会長などという男にきゃーきゃー言われている立場らしいのだ。何が嬉しいのかさっぱり分からないが、男相手に遊んでいたそうだ。正直意味が分からない。そこまで性欲がひどいのかと疑いたくなるレベルだ。
まぁ、それはともかくとして俺のことを勘違いしているのは凄い草生えるよな。俺のこと散々あれだけいっといて間違えてるとか面白いよな。
「会長様があんな奴にどうして――」
「会長様にはもっと、他の―――」
会長の親衛隊の連中がキーキー煩い声を上げている。男のくせに高い声だと思う。やっぱりこの学園は色々とおかしくて、面白い。外とは違う非日常がここにはある。まぁ、ここで長時間生きていたら色々とおかしな常識に染まっていきそうだけれども。
俺は現状、親衛隊もちとかにも絡まずにのんびりとした生活を行っている。
というか、俺と間違えられている奴があいつにひたすら構われて、それで他の生徒会や風紀にも興味をもたれて、学園が非常に荒れているらしいけど、俺からしてみれば何も問題ない。俺の日常はどうしようもなく平和に過ぎているし、正直学園がどうなろうが、どうでもいいし。まぁ、俺の日常が平和であればいいってのが本音だ。
あー、それにしてもマジ、俺に散々いってきたのに間違えているの面白すぎる。俺はあいつが俺に押し付けてきた数々を面白がってとっているわけだが、それを俺が持っていると知ったらどうなるのだろうか。
面白がりながらも、俺はこの後どうなるのだろうかとわくわくしてしまうのだった。
――――俺のこと好きだとか言ってたけど間違っているあいつに草しか生えない。
草津京平
割と愉快犯。
綺麗な顔をしているから、隠している。
散々小学生のころに口説いてきた存在のことはなんだかんだで頭に残っていた。
花法院帝
主人公のことを口説いていたけれど、間違えている生徒会長