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リコールされました!~after②

 「久我って……本当驚くほどFクラスになじんだな」

 「ははっ、俺、基本的に誰とでも仲良くなれるしなー」

 クラスメイトの田口の言葉に俺は笑って答えた。

 自慢じゃないけど俺は人と仲良くなることに関して言えば大得意だ。仲良くなりたいと思って仲良くなれない事はまずない。王様と姫様とも俺から進んでかかわっていって仲良くなれたしな。

 Fクラスの連中にもさっさと素を見せて、王様と姫様と仲良しな様見せたら、仲良くなれた。

 「すげぇな、あの久遠さんと奥村さんと仲良いのも」

 「俺と王様と姫様は仲良しだからな! それに俺Sクラスよりも、Fクラスの方が楽しいし」

 「そんなこと言うの久我ぐらいだ……」

 「俺はFクラス大好きになったぜ? あ、もちろん、田口の事も好きだぜ?」

 「……やめろ」

 「本心だし、やめろって言われてもなー。もちろん、クラスの奴ら全員好きだぜ? 馬鹿騒ぎすんの超楽しい」

 王様と姫様はあまり教室には来ないけれど、俺は進んで教室に顔を出す。授業受けるの嫌いでもないし、何より王様と姫様以外のFクラスのメンバーとも仲良くしたいと俺は思ったしな。俺が元居たSクラスは金持ちの子供ばかりで、堅苦しい雰囲気だったけど、Fクラスって男子高校生って感じで馬鹿騒ぎも出来るし凄い楽しいんだよな。

 そんなこんな話してわちゃわちゃしていたら、教室の扉が開いた。そこにいたのは、姫様で。

 「ヒジリ、とりあえずお前隠れてろ。一般の方がボロ出て、お前連れ戻そうと躍起になっているみたいなんだ」

 「えー、マジか。てか、自分で追い出した癖に俺を連れ戻そうとか、超自分勝手だな」

 「ああ、そうだよ。本当自分勝手すぎる。ヒジリだったから、こんなにFクラスになじめているけど、Fクラスに落とされたのがヒジリではなかったら大惨事だっただろうに…」

 本当、姫様の言うとおりなんだよな。俺だったからこうしてここに居ても平然としているし、Fクラスと仲良くしているけれど、此処にいたのが俺じゃなかったらどんな大惨事になっているか分からなかった。それほどの罰を冤罪で与えておいて、自分勝手に連れ戻そうとする奴らなんて正直何とも言えない気持ちになって仕方がない。

 「おい、お前らもヒジリが戻るの嫌なら手伝えよ」

 「当然です」

 「久我が居た方が楽しいし」

 「聖夜が居た方がいい」

 Fクラスのクラスメイト達もなんだかんだで俺を好いていてくれているとその言葉でわかるから何だかうれしくなった。一緒に居て楽しい友人たちが、俺と一緒に居たいと思いを返してくれるって凄いいい事だよな。

 「よし、とりあえず俺と帝で向こうの言い分聞くから、ヒジリもそれ聞いてろよ。お前素を向こうに見せるのは問題ないんだよな? 文句あるならぶちかませば?」

 「おう、文句あるなら出ていうぜ」

 まぁ、とりあえず俺の素がばれて騒がれるのも面倒だから王様と姫様でどうにか対処してくれるならそちらの方がいい。

 そんなわけで俺は机の下に隠れて(クラスメイトにも隠してもらって)、教室にやってきた風紀副委員長……今はもう風紀委員長らしい。その風紀委員長の話を要約すると、まぁ、ボロが出た結果、生徒会と風紀委員長はリコールされたと。そして冤罪で副会長(俺)をFクラスになんて落としてしまったため、どうにか救い出そうという話になっているらしい。

 特に俺の元親衛隊たちが、「久我様を信じられなかったなんて」と自分に酔った発言をしているそうな。

 笑いそうになった。

 いや、だってさ、親衛隊なんてものまで作るほど盲目的だったというのに噂話に惑わされてそんなアホな事やっておいて、なおかつ勘違いだってわかったので戻ってきてくださいって、本当自分勝手だ。

 そもそも俺がね、そちらに戻りたいって言っているならともかくさ、俺は戻りたくもないわけ。ここでの生活は凄く楽しくて、王様と姫様とクラスメイトと馬鹿騒ぎしながら生活するのに気に入っている。

 「久我聖夜を出してもらおうか」

 「断る」

 「なっ……いいから出すんだ。彼はこんなところに居ていい存在じゃない」

 「ふーん、それがそっちの言い分か? 勝手に勘違いでFクラスにやって、それで勘違いだったからと連れ戻すと?」

 「ああ。それがわかっているなら、連れ戻すのは当然だろう」

 「……本人の意志は?」

 「こんなところに居たいと思うわけがない。それより出せ。他人に興味がない久遠と奥野には久我聖夜が戻ろうが戻るまいが関係がない話だろう?」

 「本人が嫌がっている場合は?」

 「嫌がるわけがない。なんだ、お前らは、久我聖夜に固執しているのか? あの美しさの前にはお前らも、そうなるわけか。ならなおさら連れ戻さねばならない。お前らにこれ以上久我聖夜を穢させるわけにはいかない」

 とか言いながら息荒いぞー。お前は何を想像しているんだ。と、現風紀委員長に突っ込みたくなった。悲しい事に俺は抱きたいランキングとかで一位だけど、そんな妄想されると気持ち悪いぞ。

 「はぁ? なんで俺らがそんなことしなきゃならないんだよ」

 「帰すのを拒むというのはそういう事だろう。俺たちは彼を救い出さなければならない」

 「はぁ……おーい、ヒジリ、こいつ話きかねぇんだけど。帝もキレそうだし、本人からいってもらっていいか」

 姫様が匙を投げて俺を呼んだ。俺が出ていけば、現風紀委員長と護衛の意味できていた風紀委員たちが驚いた顔をする。

 「なっ、久我聖夜いたのか」

 「いますよー。というかさ、王様と姫様が俺を穢すとか凄い気持ち悪い妄想やめてくれる?」

 「はっ? な、なんだその口調は」

 「あ、俺こっちが素ね。で、王様と姫様とは仲良しだし、お前らに心配される事は何もないし、俺はここでの生活楽しんでいるから戻る気もないから」

 「は? ななななっ」

 「はい、そういうわけでお帰りください! てか、帰れ」

 向こうが唖然としているうちにさっさとお帰りになってもらった。教室から追い出した後はFクラスの連中が教室に入ってこれないように妨害してくれた。

 王様と姫様と俺は、

 「……話が通じん」

 「何あれ。というか、ヒジリ帰りたくないっていってるのに決めつけすぎ」

 「これであきらめてはくれないんだろうなぁ……」

 と、それぞれ心の内をだし、溜息を吐くのであった。




 ―――リコールされました after②

 (戻りたくないっていってるのに、勝手すぎる)




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