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俺はこの思いを止められない。

・王道学園

・片思い

・邪魔者

 いつか、いつか……本当にいつかで構わない。何日、何週間、何か月、何年経ったって、かまわない。

 いつか……あの人のものになりたい。あの人に抱かれたい。あの人の、傍に行きたい。

 あの人に例え大切な人が居ても、それでも俺はあきらめられない。そんなに簡単に諦められる思いなら俺は苦労していない。

 ……俺は、邪魔者だ。

 大切な人が居るあの人にとって、邪魔で仕方がない存在。

 ううん、あの人とその恋人を祝福している周りにとってみれば、俺なんてどうしようもないほど邪魔者だ。

 あの人は、恋人を愛している。

 恋人も、あの人を愛している。

 あの人は、この学園の有名人。綺麗な人。

 恋人も、この学園の有名人。可愛い人。

 そして、俺は只の平凡な男。

 見た目が重視されるこの学園で、恋人のいるあの人にいつも「好きです」と伝え続けているただのうざい男。

 親衛隊には制裁されたし、友人なんてものは数えられるだけしかいない。

 相手にされないのに馬鹿みたいって笑われている。

 親衛隊もいつまでも付きまとう俺に呆れたのかあきらめたのか制裁はしなくなったけど、俺を笑っているのは知っている。

 そう、俺は馬鹿みたいな事をしている。

 あきらめられないなんて理由で、ただずっと好きですと言い続けている。

 恋人が嫌がっているからって言われた。でも俺は好きだから好きですと言い続ける。告白をする。あきらめられないから。あきらめてなんかやらないんだって、意地になっているかもしれない。

 あの人はしつこい俺を何度も怒鳴ったけど俺はやめなくて。制裁されてもやめない俺に呆れている。言っても仕方がないからと「好きです」と言ってもスルーしている。

 「好きです!!」

 今日も、あの人に好きですという。

 ただ好きだから、思っているから。振り向いて欲しいから。

 あの人と恋人が愛し合っている事ぐらい知っている。あの人と恋人が、大切に思い合っていることも知っている。

 ……でも思う事も、好きだと告げることも自由じゃないか。

 俺はあの人が好きなのだ。

 どうしようもないほど好きなのだ。

 昔は同性愛者なんてものじゃなかったのに、どうしようもなく好きになってしまったのだ。地元に帰って、異性と接してもあの人の事ばかり考えてしまうのだ。

 学園に中等部から入学した。小学生の頃の友人に「気持ち悪い」って言われもした。でも俺は自分があの人を好きだという気持ちを恥じたりなんかしない。同性愛者であってもいいじゃないか。人を好きになる気持ちに、気持ち悪いも何もないと思う。

 それを訴え続けたら親友は理解してくれた。まぁ、気持ち悪いって離れていった奴とか、男が良いならって襲ってくる馬鹿とか居たけど。あと襲ってくる奴は気持ち悪いっていいながら襲ってくるとかお前が気持ち悪いと言いたくなった。全部返り討ちにしたけどな!!

 「……いい加減あきらめれば?」

 「やーだ! 俺はあきらめない」

 友人に何度も言われた言葉に、いつも俺はそんな風に返す。だって俺はあの人が好きだから。本当に、どうしようもないほど好きだから。そしてあの人を、手に入れたいから。

 見ているだけでいいとかさ、そういう恋情もあるだろうけど俺はそれじゃあ満足なんて出来ないんだ。

 あの人は、俺が恋心を隠して近づいて友人になったら仲良くしてくれたかもしれない。そしたら友人として仲良くできて傍に居れたかもしれない。好きですなんて言わなきゃ、制裁もされなかったし、周りから距離もおかれなかっただろうし、ただ「好きだな」って見ているだけに終わったのかもしれない。でもさ、俺はそれじゃ満足なんて出来ない。

 すきだから、手に入れたい。あの人の恋人になりたい。そんな思いは当然ある。

 だから、ずっと、好きですって言い続けるんだ。俺の事を好きになってほしいってずっと言い続けるんだ。

 邪魔者? 知らないよ。

 すきなら幸せを願え? そういわれても、俺はあの人が欲しいんだ。

 別に幸せを壊したいとかそういうんじゃない。あの人の恋人を排除しようとかそんな風には考えてない。一緒だって言われるかもしれないけれど、俺がやっていることなんてあの人に「好きです」って言い続けているだけで、この学園の過激な連中みたいに好きな人の恋人に制裁とか脅迫とかそんなことは一切していない。というか、俺はあの人の恋人に睨みつけられたり、忠告をされたりはしたことはあるけど俺が睨みつけた事はない。

 本当、俺は自分で自分が自分勝手な人間だなーって呆れるけど。でも好きなんだよ。好きな奴を手に入れたいって思うのは当然じゃないか。好きな人の恋人に自分がなりたいって思うのも当然だろ?

 まぁ、これで俺の思いが叶ったとしても略奪愛って言われるんだろうけどさ。……略奪愛ねぇ、俺本当悪役じゃねぇかって思うけど、仕方ないじゃんか!! 俺はあの人が好きなんだよ!!

 だから、本当にいつでもいいから、俺の方振り向いてくれないかなーってずっと言い続けるんだ。報われなかったとしても、俺は後悔はしたくないから。あの人が欲しいから。




 ―――俺はこの思いを止められない。

恋人がいる人に恋心を抱いて、ひっそり見守るではなく「好き好き」言い続ける子です。

ただし告白はしまくっているけれど、恋人に対して何かをするとかはないので正々堂々としています。


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