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小森さん家の末っ子

王道学園

兄多し

 「はー、まさか兄ちゃんたちと同じ学園に入れられるとは」

 俺、小森莉兎こもりりうはこれから入学する事になる学園を前に溜息を吐いた。

 俺は今日から中学生になる。本当は私立の全寮制男子校なんていうこんな場に来るつもりはなく、普通に近所の友人たちも沢山いる中学校に入学しようとしていたのだが……と遠い目になる。

 「お、外部生か」

 遠い目をしていたら声をかけられた。振り向いたら真面目そうな眼鏡をかけた少年が居た。

 この学園、幼稚園から存在している。そのためエスカレートして上がっていく生徒が多いらしく、外部生が珍しいというのは聞いている。あと、この学園のよくわからない外から見たら異常な部分も。

 「うん」

 「そうか。俺は中山祐樹だ。幼稚園からここに通っているから詳しいぞ」

 「俺は小森莉兎、よろしく」

 笑ったら真剣な顔して、忠告される。

 「……あー、あんまり笑わない方がいいぞ。この学園は他とは違って――」

 「あー、同性愛が溢れている事はここに通っている知り合いに聞いて知っている」

 「そうか……。それならまだいいか。外部生だとそういう事情知らない奴多いからな」

 祐樹はいいやつだなと思ったのが正直な感想だ。外部生だと知らないかもしれないって心配してくれていたらしい。他人の事どうでもいいとかいう人間も世の中には少なからず溢れていて、それを思うとこうして初対面の存在を心配する祐樹はいいやつだなと思う。

 「祐樹はいいやつだなー」

 「え、いや、どこが?」

 「俺を心配してくれたりしているところ、いい子だなーって」

 素直な感想を口にしたら祐樹は恥ずかしそうに顔を赤くした。うん、俺の心配するより自分の心配もしなきゃだと思う。恥ずかしそうにしている姿をちらちら見ている奴いるし、あと俺を睨んでいるやつも。

 うーん、話には聞いていたけど同性愛溢れているって未知の世界でちょっと面白い。俺普通の小学校出身だし、同性愛ってそんなものあるんだなーって感性しかないから睨まれても困る。というかさ、この学園って聞いていた通りに何かあれだね、中学生でも恋愛体質だよね。そんな好き好きといっていたりとか、嫉妬で睨みつけるとか日常的にあるっぽいのは面白い。

 

 祐樹と一緒に入学式の会場へと向かう。


 入学式の会場は、正直広かった。この学園っていい所のおぼっちゃんばかりが通っているっていうのもあって、入学式の会場も……豪華である。なんだろう、普通の体育館とかではなくてさ。講堂っていうか、なんかかっこいい。

 公立の中学校なら体育館にパイプイスだろうけど、ここは元から机と椅子が設置されているというか。しかも人数分。広いし、綺麗だし、なんか雰囲気あるし、無理やり入れられたけれど、これ見れただけでも来た価値があるかな? って気分になってしまった。

 さて入学式は新入生はこちらって場所は決まっているけど、椅子は自由だったので祐樹と隣同士に座る。

 「莉兎はなんでこの学園に?」

 「兄ちゃんたちにめっちゃ誘われて断れなかったから」

 「へぇ、兄がいるんだ」

 祐樹と会話をしていたら、入学式が始まった。入学式でぺちゃくちゃお喋りして目をつけられても困るので、口を閉じる。

 が、目をつけられたくないって思っても正直眠くなる。学園長とかの話ってどうしてこう眠くなるんだろうとうつらうつらとなっていたら、急に「きゃあああああー」と男しかいないはずなのに歓声が聞こえてきて目を覚ました。

 そういえば人気な生徒が出るとこうなるんだっけと前を向いて「あ」と声を出してしまう。というか、目があった。めっちゃ笑っていると、嫌な予感がした。それは的中した。

 『莉兎、入学おめでとう!』

 まさかの、名指し。ちょっと待て、空気固まっているから! なんで入学式なんていう公の場で私情でしかないこと叫んでいるんだ。いたたまれない。莉兎って誰だって騒ぐ周りに、祐樹の驚いた顔。おおおう、何やってんの。

 『蓮嘉、何やってんだ!』

 『流嘉! なにって莉兎を祝って――』

 『いや、それはいい! なんで抜け駆けしてんだ! 俺だって莉兎の入学を祝いたい!』

 おおう、何やってるんだ。二人して。ああ、いたたまれない。

 『……会長、委員長、莉兎とは? どなたでしょうか』

 お、突込みを入れてくれた。そういえばこの二人って生徒会長と風紀委員長やっているんだっけ。

 『『俺の可愛い弟!!』』

 『え』

 『莉兎―――! 莉兎―――! なんで下向いてるんだ? 兄ちゃんに手を振ってくれよー』

 『莉兎――! 蓮嘉じゃなくて、こっちに手を振れよー。兄ちゃんだぞー』

 『莉兎ー? なんで下向いてんだ? 返事してよ』

 『莉兎ー? 苛められたらいうんだぞ。兄ちゃんたちが相手をぶちのめすからなー』

 「入学式で俺の名を何度も連呼するな! 普通に入学式をやれよ、兄ちゃんたちいぃいいいいいいい」

 思わず叫んでしまった俺は悪くないと思う。というか、この二人入学式でマジ、何やってんの?

 『生徒たち、これが俺の可愛い弟だ。苛めたら潰す』

 『手を出したら俺たちだけではなく、兄貴たちも出てくるからな?』

 さらっと脅すな!

 ちなみに、俺の兄弟は上から三笠兄(卒業済)、秋充兄(高等部三年)、伸樹兄(高等部一年)、蓮嘉兄と流嘉兄(中等部二年)、そして俺(中等部入学)と続くわけだが、全員この学園という……。一般家庭なのに、なんか兄ちゃんたちが色々普通ではなくお金も稼いでおり、ここ通うと授業料とか高いのに普通に入らされたという……。

 っていうか、俺めっちゃ注目されているんだけど。

 あああああ、これからの学園生活が不安すぎる! と頭を抱える俺であった。




 ―――小森さん家の末っ子




小森莉兎

小森家の末っ子。六人兄弟の一番下で滅茶苦茶可愛がられている。

可愛い見た目をしていて昔から変質者に狙われたりしていたため、家族は過保護。

地元の中学に通おうとしていたら学園に入学を決められてたため入学。


中山祐樹

真面目な眼鏡君。面倒見がいいためファンが結構いたりする。


蓮嘉と流嘉

中等部の生徒会長と風紀委員長の双子。莉兎の兄でブラコン。

二人とも美形で人気者。

他の上三人も同様に人気者。


基本的に学園は小森家の兄たちがトップにいる。



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