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全く、俺には理解できない世界だぜ!

王道学園。

色々と理解出来ないなと思いながら見ている傍観者君。


 まったくもって、この学園は理解できないことが多すぎると俺泉田香織いずみだかおるは思う。

 俺の通っている学園は、全寮制の男子校で、中学まで公立の高校に通っていた俺からすれば理解出来ない世界が広がっていた。

 まず、同性愛が当たり前な事。

 これにはまず驚いた。いや、別にさ、俺は漫画とか大好きだし、ジャンルとしてみればBLだろうが別にかまわない。でも現実でそういうのがあるっていうのは驚いた。否定しているわけじゃないけれども、女がいないから男に走っているみたいで、そういうのは理解できない。

 こいつらはここが全寮制の男子校ではなければ、同性愛に走らなさそうな奴らばかりだから。だからこそ、俺は何とも言えない気分に陥るのだ。本当にさ、何処でもその人を好きになって、女が沢山いる外でもその人を選ぶってならわかるけど、まだ理解できるけど、この学園は同性愛カップル多いけど卒業したらそれも結構な確率で解消されるっていう話だ。そして女と恋をするって話だから、やっぱり何とも言えない。相手がいないから男を選んでいるように見えて、そういうのってなんかやだなって思う。

 そういう事を姉ちゃんに言ったら「香織は可愛いなー」って頭をなでられてなんかやだった。恋人とか作るならちゃんとした愛情を持ちたいって思っているだけなのに、そんな風に言われるのはなんかやだ。

 俺って年上に可愛がられる要素があるのかよくわかんないけど、姉ちゃんの友達とかにはめっちゃ可愛がられている。代わりに同年代にはあまり好かれない。そう、そんなわけで理解出来ない男子校に特待生制度目当てで入学した俺は現在ぼっちであるという悲しい現状があった。

 いやね、先生たちとは仲良しだよ! 寮の管理人さんとか、でも同年代とはなんかあんま仲良くなれないんだよなー。

 ま、仕方ないかって思うけれど。

 いや、でもさ、中学までは少なからず友達いたんだぜ? なのにここでは俺が話しかけても挙動不審だしさー。良ちゃん(寮の管理人さん)にいったら「お前は自覚しろ」ってわけわかんないこと言われたしさー。意味わかんないぜ。

 で、そんなぼっちな俺は現在、学園で起きている珍事が全く理解できない。

 というのは、なんか転入生(明らかに変装である)に美形生徒会どもが惚れて(親衛隊とかあって意味わからん)、でも転入生から転入生の同室の子に乗り換えて……。

 同室の子は苛めを受けていたらしいんだけど(俺はクラスも学年も違うし詳しくは知らない。囲まれているのを見たぐらい)、なんか「俺は~~の姫だ」って暴露して、いや、俺は興味ないからよく知らないけど暴走族とかの姫らしいんだけど、それで乗り換えとかだったらしいんだけどさ。

 あれだけ好きで追いかけてたはずなのにその姫発言(正直男なのに姫発言ってなんぞって感じだけど)したからって乗りかえってやばくね?

 そこに一切の本物の感情なかったからこその発言にしか俺は見えないっていうか、そんな嘘っぽい愛情ってなんかやなんだよなー。俺は漫画とかの見すぎかもしれないけど、こうさ、もうちょっと「お前じゃなきゃダメなんだ」っていう恋愛の方が好み。

 「なんだけどさー。良ちゃん、あいつらマジよくわかんないよー」

 「おー、香織はあいつらの事はわかんなくていい。お前はそのままでいればいいからな」

 管理人室で前場良、良ちゃんに本音を口にしたらそんな風にいって頭をなでられた。俺は背が低いし、頭なでやすいらしい。不服だ。

 「それにさー、あの同室の子もさ、やられっぱなしなら俺助けなきゃって思ったんだけど、やばいもん。どこの女王様かって感じで親衛隊服従させてたしー。俺見てはいけない世界を見てしまった気になったしさー」

 「おぉ……前にいってたやつか」

 「うん。なんか親衛隊に囲まれてたから助けなきゃって思ったんだけど、なんかさ、勝って、なんかささやいて土下座されてたし。てか『~~の姫』って何って感じだよー。暴走族の姫って呼ばれてたらそんなに偉いの? やっぱこの学園意味がわからない!」

 そうなんだよ。俺ってあの同室の子が囲まれているの見て、どうにかしなきゃって慌てたことがあった。でもなんか自分よりも人数が多い親衛隊に軽く勝って、何かをささやいて服従させてて、本当意味がわからなかった。

 そもそもあれだ。

 「というかさ、男なのに姫って呼ばれてうれしいの?」

 「……あいつは嬉しいんだろうな。まぁ、香織はあいつらの事は気にしなくていいぞ。かかわらない方が平和だからなー」

 「うん。でも理解出来ない!」

 「理解できなくていい。そのままでいいからな」

 そんなこんなで話は終わった。

 それからも学園内で彼らが起こす騒動が耳に入ってくるがやっぱり理解できなかった。





 ―――全く、俺には理解できない世界だぜ!

 (彼は全然理解出来ないのです。その出来事についても、学園についても)




泉田香織

普通の中学から王道学園に入学。

漫画とか好きで色々夢見ている。学園が理解できない。

年上に可愛がられる背の低い整った顔立ちの少年。


前場良

寮の管理人。香織の事を可愛がっている。



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