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今日も腐男子と狂犬は騒がしい。

立花が腐男子と狂犬を見て遊んでいるだけの話

*○月×日


 腐男子と狂犬が個人的に面白いため、日記をつけることにする。

 「駄犬が最近わけがわからないんだよー」と飛び込んできた腐男子であるが、最近ますます大変な様子だ。

 見ている分には面白いけど、腐男子は鈍感すぎる。というのが、生徒会総出の結論である。

 本人が腐男子でそういう状況とか、話についてかなり詳しいはずなのになんでそれを自分にあてはめることができないのか正直よくわからない。

 わざわざ教えるのはつまらないし、狂犬も自分で気持ちは伝えたいだろうからとりあえず見守っておくことにする。




****************************



 「…立花、また何か日記書いてるのか?」

 「うん、面白いからね」

 寛人の言葉に、俺は笑って答えた。











 *○月×日


 腐男子が本格的に悩んでいた。俺たちに相談してきた。

 駄犬呼ばわりしておきながらも、腐男子はなんだかんだで狂犬のことが大切で仕方がないことが見て取れる。

 「俺、あいつに何かしたかな?」とかいって困っていた。

 いいからさっさとくっつけという気分にもなるけれども、普段はこんなに悩まない腐男子が悩んでる姿は面白いからしばらくこのままでいいかなと思っている。

 とりあえず確実に腐男子は腐男子受けになること間違いなし。

 …腐男子って自分が掘られても腐男子のままなんだろうか、ちょっと気になった。

 それにしても狂犬ってあんなにわかりやすいのに報われないとか哀れ。今度からかって遊ぼう。


 **************************


 「……遊んじゃダメだよ、立花」

 「あはは、俺が遊ばないわけないじゃん。こんな楽しいこと」

 うんうん、俺がこんな楽しいことで遊ばないわけないじゃないか。











*○月×日


 狂犬をからかってみた。

 殴りかかってきたから返り討ちにした。全く手がはやい奴である。

 狂犬は最近腐男子に避けられているらしい。あまりにも押せ押せな狂犬の態度に思い悩んでいるのだが、そんなこと狂犬にはいってやらない。

 このまま押せ押せでいったら腐男子のやつ、そのまま押し切られるだろうが…面白いからそんなアドバイスなんてしない。

 もっと面白い事になればいいと個人的に思っている。

 あの二人観察するの楽しいからなぁ。

 ちなみに腐男子は、狂犬の事で悩み過ぎて頭が痛くなっていたようだ。

 

 それでそのストレス発散のためか、

 「萌えを求めて三千里ー」とかわけわかんないこと叫んでどっかにいっていた。あいつ面白いな、やっぱ。


 ***********************


 「萌えを求めて?」

 「くはは、面白いよなぁ。ストレスたまると趣味に走りたくなるみたいだからな」

 いやー、腐男子にお前が観察している受けっこみたいにこれからなるんだぞーって笑いかけてやりたい。












*○月×日



 腐男子が狂犬の思いにようやく気付いたらしい。



 「どうしよ、どうしよ」と俺のもとにやってきた。

 男相手は無理だといっていたというのに、こうして悩んでいるってことはもう答えは出ている気がするが。

 しかしこんなに悩んでいる腐男子は本当に面白い。

 「素直にほられろ」といったら、「そんなの嫌だー」と逃げて行った。

 

 その後狂犬は狂犬で、逃げられると落ち込んだ様子でやってきた。

 どうしても腐男子の事が欲しくて仕方がないらしい。これ、腐男子が思いに気づいたら速攻食われるパターンだと思う。

 「押せ押せで頑張れ」といっといた。だってちょっと強引なぐらいな方が気づくだろうしな。




 *********************



 「立花…何をかき乱しているんだ」

 「だって楽しいからな」

 さっさとくつけば面白いのに。











*○月×日


 「うわああああああ、食われる」と腐男子が叫びながらやってきた。

 ちなみにその首元にはキスマークがついていた。襲われかけたらしい。

 俺のアドバイスで狂犬は押せ押せモードのようだ。おとなしく食われてしまえばいいのにと思ってしまう。

 そっちの方が俺は面白い。

 狂犬が「ここにいる?」とやってきたため、隠れていた腐男子を差し出した。

 腐男子に「立花! なんでっ」と滅茶苦茶睨まれたけれど、俺は笑顔で送り出した。


 その後? どうなったかは知らないけど、腐男子は寮室には帰らなかったらしい。




 *********************



 「っておい、差し出したのかよ」

 「うん、面白いからな」

 「ってことは……」

 「食われているだろうね」

 寛人とそんな会話を交わしながら俺は笑った。





*○月×日



 数日間学園に現れてなかった腐男子がやってきた。俺を睨んでいた。

 「食われた」と、そう告げて。

 だけどその表情は絶望しているとかそういうわけではなかった。

 わざわざ腐男子は心情を報告してくる。

 無理やり食われたけど、嫌じゃなかったとかそういうことを。腐男子はなんだかんだで純情なやつなので、そういう気持ちを語りたい気分だったらしい。

 

 あとからからかってやったら面白い事になるだろうから、その腐男子の心情を心にとどめた。


 その後腐男子は狂犬に連れられて行った。奴らは幸せそうだった。いいことだ。




 *********************



 「収まる所におさまったならまぁ、いいのかな?」

 「うん、いいんだよ」

 「これ、腐男子が狂犬への気持ちに気づかなかったら大変だったな」

 「あはは、だから無理やり気づかせたんじゃないか」

 本当あいつらは面白い。



 これからは付き合いだしたあいつらをまた観察してみよう。





 end




 


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