プロローグ
戦国時代末期、あらゆる者たちが天下を目指し殺し殺される時代。
陰陽師達が戦に参加し、誰でもその気になれば、式神や妖怪を使役する事のできる世界。
誰しもがその力を利用し、天下を目指し戦を行う。領地が広い狭いは関係なく、自分たちの力を示す為に攻めてくる。力のないものは、従うか殺されるしかない。
そんな、真っ黒で、真っ赤な時代。
しかし、ある日2万の軍勢が、弱小な領地を攻めるため進軍していく途中、道に奇妙な少年が立っていた。
「退け、引き殺されたいのか。」
その声にも耳を傾けず、ゆっくりと歩いてくる。気味が悪くなり、そのまま進軍する事にし、軍勢を走らせる。先頭が、少年を横切った瞬間、叫び声があがる。赤い鮮血が飛び散る。武器をとり、向かっていくが、瞬時に殺されてしまう。使役担当の兵が、式神を召喚する。召喚された猛虎の式神が、襲いかかる。しかしそれもすぐに殺されてしまう。それでも、向かっていく者、逃げる者、2万の人間が、違う行動を行う。しかし、待っている結末は同じであり、皆、殺されてしまう。鮮血が飛び散り、叫び声があがる。同じ事が何度も繰り返される。
そして、そこに立っているのは、少年ただひとりとなった。少年は、血で赤く染まった自分の手を見た。そして叫んだ。何もかもをはきだすように。そして少年はただひとり何処かへと消えていった。