医療用作業用ポッドマシン“ワーカホリックの瓶牢”
20111115
基本的に、士気が高い、というのは良いことである。戦闘に置いて心的要因というのは存外に大事であり、物質的要素の制約があっても限界を超えたパフォーマンスをたたき出すこともある。が、士気が高すぎると、これはこれで問題なのだ。
その実例が、ここにいるウィンバート・ケイン伍長。胸から腰に掛けて重度の火傷を負い治療中であると同時に、労働中である。ケイン伍長は作業用ロボットを動かし、荷物の運搬から機動兵器の整備まで手が足りない仕事から仕事へと体のいい労働力として渡り歩いている。
彼の乗る作業用ロボットのコックピットはアクリル製容器になっており、円柱形のそれは緑色のメディカルリキッドに満たされている。メディカルリキッド内でケイン伍長は下着だけを着て、作業用マシンをアクリル容器内に取り付けられた簡易キーボードとタッチパネルで操縦しているのだ。
医療用作業用ポッドマシン、絶対安静に耐えられない者のために制作された、働く病室であり、完璧な環境操作により労働をしながらも治療を進めるという画期的なマシンなのだ。極力患者に負担を与えないよう、操縦系も簡単な方法を30種あるなかから選択すればよい。
ここ宇宙戦艦バハバスでは現在53機の医療作業用ポッドマシンが稼働している。操縦者は全員が全員、兵士で、前線で機体に損傷を受けながらも奇跡的に生還したパイロット達だ。本来なら絶対安静だ。だが、彼らはじっとしていられない。今も戦友が前線で戦っており、自分はまだ戦えると思い込んでいる。だからこそ、気を紛らわせるために作られたのだ。
ケイン伍長は火傷の痛みを感じながらも、外部とマイクで応答しながらにこやかに微笑み返す。緑色の液体越しだが、不安の混じりは隠せない。だから、彼は一層作業に打ち込んでいくのだった。
去年の11月15日に制作した「医療用作業用ポッドマシン“ワーカホリックの瓶牢”を使ったショートシーンです。
http://blog.livedoor.jp/tohka_1day1chara/archives/5353992.html
ショートシーンというより設定語りになってしまった。
こう、もっと動いてるとこ書いた方が良かったと思います。