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ロボットコレクションSS  作者: 藤村文幹
ロボットSS
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ガン・ボーズ

ゾンビ注意。

 東京の街を死体が歩く。虚ろな目や冷えた体から死体であるのは明白で、本来動くはずがない者だ。

 死体が一つ。それは20mを越える体躯を緩慢に動く。一歩、また一歩あるく度に汁がぽたりとしたたり、腐臭をまき散らす。

 窓が割れた病院から5歩。それだけ歩いたところで、周囲のスピーカーが一斉に音を鳴らす。


 なぁぁぁぁああああむぅぅぁぁぁみぃだぁぶぅぅぅぅぅうっ、ぅぅつぅぅうぅうぅぅぅ…。


 お経だ。坊主100人が集まって録音したものを流しているに過ぎないが、確かに経は経である。

 病院から200m離れた消防署にある倉庫の屋根が開いた。単調な電子合成の警告音が響く。消防署の前に陣取った市民団体がただでさえ騒がしい声を一層荒げた。手に持った横断幕には「国による死者の冒涜を許すな!」とか「税金を無駄に使うガン・ボーズ反対!」だとか書いてある。プラカードや旗、Tシャツなんかにも文字が書いてあるが、内容は似たようなことだ。

 倉庫から巨大な坊主が立ち上がる。袈裟を着た、機械の坊主だ。禿頭がつるりと太陽光を反射する。

 坊主は両手の甲に付けたチェーンソーをぎゅいんぎゅいんと回し、全身の穴から炎を一瞬だけ噴いた。

『えー動作チェック。天気輪及び荼毘炎噴射機共に正常。周囲に警告。ガン・ボーズが出動します』

 ガン・ボーズの備え付けのスピーカーから搭乗僧侶は動作が正常であることと、これから出動することを伝えた。これから始まるのは儀式なのだ。死者を安らかに送るための、儀式なのだ。

『今回の仏様は矢須伸介、86才の男性。ゾンビ熱により5分前に死亡。希望は浄土真宗式。巨大化し街を徘徊中……それでは始めさせていただきます』

 葬式ではない。まして通夜でもない。現代において追加された新しい儀式。生ける死者となってしまった者を安らかに送るための、葬儀に先駆けて荼毘に伏す無力化式。

『いざ、南無阿弥陀仏ッ!』

ガン・ボーズの設定は以下のURLにて公開しています。

http://blog.livedoor.jp/tohka_1day1chara/archives/4956181.html

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