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ルキアロイア

20120225

20120225 ルキアロイア


「本日快晴、風も少なく天気良好。絶好の飛行日和だ」

 王国軍の二等軍曹トーマスは顔に当たる冷たい風を感じながら呟いた。口元には小さな蓄音機のパイプがある。ルキアロイアの初飛行、その様子を実況し、記録しているのだ。

「ガンヴァニル式飛行装置はいつも通り。発電機は良く回り、体感重力は少ない。飛行装置がほどよく動いている証拠だ」

 両手両足をだらりと降ろした人形のようなルキアロイアは両肩のプロペラをぶんぶん回して前方への推進力を得ている。だがその速度は低い。

「しかし遅いな。手足の分だけ電気が使えないからか、プロペラの回転速度が上がらない。これじゃ遅すぎて鳥が止まるかもね」

 ガンヴァニル式飛行装置は浮遊石によって高度を稼いでいる。だから、遅くても天高い場所を飛べるのだ。

「着込んできて良かったよ。ここは寒い。でも遠くまでキレイに見える。ねぇ、これ本当に戦争に使うの?」

 トーマスは空を飛びたかった。だから軍に入った。だがトーマスは所詮田舎の次男坊だ。斬った張ったなんてしたことないし、戦争なんてとんでもない。だが、技術革新によって広がった人類の生息域や貧富の差は世の中を戦争へと勧めていく。

 時は1900年。一九世紀最後の年。世界は変わっていく。その最中だった。

「やだなぁ。こんなに世界はキラキラしてるのに」

 日の光は燦々と、湖は太陽を照り返して輝いて、山は青々と緑を湛える。きつい体勢だけれども後を振り返れば、街から文化の煙が高い煙突からもくもくと。

 ルキアロイアの右手には出来たばかりのライフルが握られている。ボルトアクション式。連発が出来ないから、ルキアロイアの両手を使ってボルトを引く。これで空から撃てばちょっとした大砲みたいな威力になる。迫撃砲とちがって複雑な計算はいらない。直接狙えばいいんだ。

 それに、ルキアロイアの浮遊石はまだまだ余裕がある。重い爆弾を積んで、城壁の上から落とせば一発で粉々だろう。

「戦争、したくないなぁ」

 トーマスが好む好まざるに関わらず、世界は戦争へと一歩また一歩、歩みを進めていた。

 トーマスに世界の輝きを見せたルキアロイアが、一番のその証拠なのだ。

ルキアロイアは2011年4月15日に制作しました。

このころ「主人公機縛り」という物をやっており、このルキアロイア含め25機の主人公機を想定したロボットを製作しました。


空はいいですね。

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