HT-12
鉄の兵士が砂漠を駆ける。
ジグザグ走りを基本とし、大まかに弧を描くように戦車に接近。飛び上がり戦車の頭上から撤甲弾をバラ撒く。
人型戦車――その名の通り、戦車を人型にしたものだ。関節式駆動により戦車に真似できない三次元機動をし、歩兵より多くの火力を持ち、ヘリに出来ない素早い回避運動を行う兵器。徹底的な自動化簡易化により一人でも操縦出来るこの兵器は、実に大量に作られ、屋外では歩兵と戦車の代替となった。
戦車を蜂の巣にし、内部の人員を殺戮したHT-12は戦車の背後に着地する。背中のポッドから吸着地雷を射出して戦車にくっつけるとそのまま次の獲物を狩りに走る。
止まれば戦車に狙い撃ちされ、戦車砲の一撃でHT-12は撃墜されてしまう。当たり所が良くても腕の一本は無くなる。脚に当たればなぶり殺しだ。ロケットランチャー持った歩兵に囲まれても同じ運命。常に動かなければ、撃たれて死ぬ。
時に撃ち、時に跳躍し、戦場を無尽に駆け抜ける。
ガッ『アルファ1、待ってください!』
ガッ『走れアルファ4! 死ぬぞ!?』
通信。通信の向こうからアルファ4の悲鳴が聞こえて、通信が途絶える。後方で爆発が起き、通信で送られてくるマップデータからマークが消える。昨日、ちょっとしたゲームに勝って喜んでいた新人だった。
人型戦車は機動力と攻撃力を駆使すれば地上最強だ。それだけに扱いは難しいし、敵も優先して狙う。止まってはいけない。
僚機がもう1機、爆散した。
アルファ1、サムは戦場を駆け、戦車を狩った。1機ずつ脱落していく僚機たちと共に、戦車を落とし、歩兵をなぎ払う。
敵はまだ温存している。敵の人型戦車はどこだ。サムは周囲に目を向けながらも止まらない。
走って走って走り続けて、いつかこの戦争が終わるまで走り続けるだろう。
止まれば死ぬ。
今回のロボットは以下のURLから設定を見られます。
http://blog.livedoor.jp/tohka_1day1chara/archives/3479429.html