表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロボットコレクションSS  作者: 藤村文幹
ロボットSS
13/50

AKATUKI五型

「たいようがーあついー」

 半人型トラクターAKATUKI五型の操縦席から空を見上げる。

「安物とはいえ、耐環境スーツ着ててよかったー。それでもあついー」

 スーツに付いた換気ファンがフル回転をする。人が生きて行くには辛い環境だが、農業には最適なのだ。金色の稲穂が上から垂れ下がる。下は宇宙タニシが触手をだして、時折やってくる宇宙ユスリカを捕らえようとしている。その触手にタニシ対策に飼っていた宇宙ピラニアが噛みついた。平和な光景である。

 シリウス稲の収穫にはまだ早い。AKATUKI五型でシリウス稲用水田をゆっくりと廻る。今のAKATUKI五型の下半身は船のようになっていて、水田をスマートに航行することが出来る。

 育てて一月たったシリウス稲の金色は目に優しい。3時間も経てばサングラスが必要になるくらい金色が鮮やかになるだろうと、農家は思った。その時も耐環境スーツが自動設定で調節してくれるだろうが、なにぶん安物で、いつ壊れるか分からないのだ。用心しておくに超したことはない。

「ま、なんとかなるかー」

 なんだか楽しくなり、農家は歌い出した。

「おれはーのうかー、人型トラクターの操縦者~」

 彼一人で一千万人もの腹を満たしている。それほど、シリウス稲は巨大で栄養価が高い。シリウス稲だけでなく、シリウス小麦やシリウス芋もだ。彼は多くの人を生かす自分の仕事に誇りを持っている。

「お」

 彼はAKATUKI五型の腕を上げ、垂れ下がる稲穂をAKATUKI五型の手に取らせた。稲穂に付いた米一粒はバレーボールほどの大きさだ。

 彼が注目したのは稲穂根元だった。なにやら黒い斑点のようなものが付いている。

「これは……シリウス病か。縁起がいい」

 シリウス病とはシリウス系農作物特有の病気で、特定の細菌に感染することで農作物の栄養価が高くなり、味も良くなるのだ。細菌の繁殖にいまだ成功せず、偶然に頼るしかない宇宙の神秘である。罹っているかどうかは黒い斑点の形が狼のようだったらシリウス病だ。

「あしたはーしゅうかくーたのしいなー」

 農家は歌い出し、強くなる日差しに備えて家に帰ることにした。

AKATUKI五型の設定

http://blog.livedoor.jp/tohka_1day1chara/archives/3466353.html

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ