ビーティライ00
ジョナサン・マツカゼはマシンモジュールをデッキのスペースに据えると、デッキの固定フレームにアクセスして彼が乗るビーティライ00を固定した。
ジョナサンは背中のハッチを開けて固定フレームのタラップに降り立った。女性技術者から投げられたドリンクパックを受け取る。
「お疲れ様。どう、ビーティライ00は?」
女性技術者、エリス・ゴルドロックが端末のメモソフトを呼び出しながらジョナサンに聞いた。ジョナサンはドリンクの口を開け、飛び出たストローを加えて一口吸い、答える。
「いい機体だよ。変な癖も無い。こっちの要求には素直なレスポンス。思った通りに、とまでは行かないが、大体イメージ通りに動く。ところで上手いなこれ」
「新製品のグレネードコーラですって」
最後の質問にだけ、端末に入力しながらエリスは答える。
ジョナサン・マツカゼはテストパイロットだ。ビーティライ00の、ではない。彼が所属するボーダーリンボ社のテストパイロットだ。
「じゃあ、ウチの会社の製品は使えるの?」
「過不足無く。大抵の武装はこいつを使えば使いこなせる、と思う」
マシンモジュールの性能は千差万別。武装も千差万別。だが、故に武装が必要とするスペックをマシンモジュール側が備えていない場合もある。カタログスペックだけじゃ分からない操作感も重要だ。
「カタログ通りの普通のマシンモジュールだよコイツは」
ジョナサンは今し方まで乗っていたマシンモジュールを見上げる。
「武装のカタログに『ビーティライ00でテストしました』とでも書いて記事を書けば、どんなマシンモジュールでも操作感を想像できる。それぐらい、ビーティライ00には癖が無い。使用した感想がそのまま別のマシンモジュールでも通用するくらい」
エリスは端末に入力する速度を速めた。後で使用データも吸い出すのに、ジョナサンは自分の感想は必要無いだろうと冷めた目で見る。
「そう。参考になったわ」
エリスは端末の蓋を閉じてジョナサンに微笑んだ。
「多分、これから何度も乗って貰うわ。ウチの商品のテストにね」
ジョナサンはため息を一つ吐いて、唇の端を歪め答えた。
「あいよ」
ビーティライ00の設定
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