アイアンロッド
とても短いです。
原則、「一日一ロボ作るよ。」で製作した設定のロボが動いている雰囲気を伝えるだけの物です。
『警告する。投降しない場合はこのまま砦を破壊する!!』
渓谷に築かれた城塞に、人型のものが掌を向けている。人、ではない。巨大だが巨人でも無い。
機械の軋む音。遠くからでもはっきりと分かる魔法陣が放つ冷たい光。前に付きだした腕の内側では、光る刻印のされた魔導輪が唸りを上げてゆっくりと回転している。
スタッフギア。人型機械式魔法杖。最新式の、科学を持って魔法を増幅する最先端の魔法の杖だ。その魔法増幅効果は機械式魔法杖と同等。防御効果は数段上。
『繰り返す。投降しない場合はこのまま砦を破壊する!!」
若い男の声だ。スタッフギアを操る魔導師の声か。
砦は沈黙を続ける。城壁の上から兵士達が下を覗き、震えながらスタッフギアの所作を見つめている。恐れているのだ。
一兵士にとって、単機で兵士100とも言われるマジックギアは恐怖の対象でしかない。戦場を破壊する悪魔なのだ。兵士達が血を流し、屍を晒すというのに、スタッフギアの魔導師は悠々と歩いて兵士達を蹂躙する。
砦は沈黙を続ける。
光を放つスタッフギアの腕が次第に輝きを増す。つられて唸りも大きくなる。
スタッフギアを見つめる兵士が眩しさで目を閉じた頃、光がかき消えた。輝く光が風のような速さで砦の壁にぶつかって、岩が高いところから落ちて割れるような音と共に消えた。
光がぶっつかった壁は、ない。積み重ねられた石が、内側に吹き飛んで粉々になったのだ。
『今のは警告だ。このまま返答が無い場合、砦と配置された兵達の無事は保証しかねる』
脅しだ。この上なく、現実に近い。
数刻後、この砦は陥落した。
アイアンロッドと呼ばれるスタッフギア単機によって、陥落したのだ。
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