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会話が見えない勇者召喚

召喚された、たぶん

掲載日:2026/05/01

二代目(不敏)と三代目(天然)

勇者を押し付けたのに帰れなかった男の話。

白い床に立っていた。たぶん召喚された。


「勇者様!」


「はい!」


「では勇者様ですね!」


「はい!」


そのやり取りを、少し離れた場所で見ている男がいた。


「おい」


呼ばれて振り向く。


疲れた顔の男。


「お前、帰りたいか」


「え? はい!」


「だよな……」


男は、懐から何かを取り出した。


古びた装飾のついた印。


「これ、やる」


「何ですか、それ」


「勇者の証」


「はい!」


「……いいから、持っとけ」


「はい!」


新しい勇者は、迷いなく受け取る。


その瞬間。


男は、何も起きないことに気づく。


「……あれ?」


静かだ。


「……あれ?」


手を見る。何もない。


体も、ここにある。


「……帰れてない?」


うさみみが言う。


「はい」


「いや、ちょっと待てよ」


「はい」


「これ渡したら帰れるんじゃなかったのか?」


「いいえ」


「なんで今言うんだよ!」


「聞かれていませんので」


「くそ……!」


膝から崩れ落ちる。


その横で。


「これが勇者の証……!」


勇者は目を輝かせている。


誰かが差し出す。


「パンはいかがですか!剣です!」


「えっ、すごい!これで魔王を倒すんですね!」


「倒せねえよ」


「え?」


「そもそも魔王いねえから」


「倒しますよー!」


「だから、いねえって言ってるだろ!」


勇者は笑っている。


周りも笑っている。


話は通じていない。


でも、進んでいる。


「くそ……」


男だけが、止まっている。


読んでくれてありがとうございます。

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