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元悪役令嬢のハンバーガー無双!~断罪からの大逆転!前世知識チートで、私を陥れた連中をまとめてざまぁしてやります!~  作者: 緋村ルナ


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第9章:バーガーが生んだ革命と騒乱

『カロル・バーガーズ』の成功は、単に食文化を変えただけではなかった。それは、社会の底辺にいた人々の生活を、根底から変え始めていた。


 王都には、貧民街と呼ばれる区域があった。日々の食事にも事欠き、仕事もなく、犯罪の温床となっている場所だ。私は、この貧民街の出身者たちを積極的に雇用した。読み書きができなくても、家がなくても構わない。真面目に働く意欲さえあれば、誰でも受け入れた。


 私たちは彼らに、調理技術や接客マナーだけでなく、衛生観念、時間管理、そして簡単な計算まで教えた。給料は週払いにして、日々の生活が安定するように配慮した。すると、驚くべき変化が起きた。


 かつて盗みや喧嘩に明け暮れていた若者たちが、清潔な制服を身にまとい、生き生きと働くようになったのだ。安定した収入と、人から「ありがとう」と言われる喜び。それが、彼らの心を変えた。


「レティシアさんのおかげで、俺、生まれて初めて母親に仕送りができたんすよ」

「妹を学校に通わせるのが夢だったんだ。この店で働き始めて、それが叶ったよ」


 貧民街には、少しずつ活気が戻り始めた。犯罪は減り、子供たちの笑い声が聞こえるようになった。ハンバーガーが、雇用を生み、貧困を救い、街を変えていったのだ。


 しかし、この前向きな変化を快く思わない者たちがいた。

 旧来の貴族社会の秩序を重んじる、保守派の貴族たちだ。彼らにとって、貧民がまともな仕事に就き、自立することは、支配構造の崩壊を意味する。自分たちの足元が揺らぐことを、彼らは極度に恐れた。


「平民どもが、我々と同じように豊かになってどうする!」

「レティシアという女は、この国の秩序を破壊する危険因子だ!」


 特に、私に貴族会議で恥をかかされたマーグレット侯爵は、憎悪の炎を燃やしていた。彼は水面下で、金に困ったならず者や傭兵を雇い、不穏な噂を流し始めた。


「カロル・バーガーズのせいで、俺たちの仕事がなくなった!」

「あの女は、貧民を安くこき使って、自分だけがいい思いをしている!」


 嘘とデマで人々の不満を煽り、ついに彼らは暴動を画策した。ターゲットは、王都本店と、貧民街に新しくオープンした支店だった。


 ある夜、その計画は実行された。

 松明を掲げた暴徒たちが、石や棍棒を手に、店に向かって行進を始めたのだ。その知らせは、すぐに私の元にもたらされた。


「レティシアさん、大変です! 暴徒が店に向かって!」

 報告に来たスタッフは、顔面蒼白だった。しかし、私は冷静だった。この程度のことは、想定の範囲内だ。


「ルオ、ガルド、準備はいいわね?」

「ああ、いつでもいける」

「任せてください!」


 私がこの日のために開発させていた、とっておきの切り札。それは、魔法技術を応用した『移動販売車』だった。大きな馬車を改造し、内部にコンパクトな厨房設備一式と、防御用の魔法障壁発生装置を搭載している。いわば、「走る要塞型キッチンカー」だ。


 私たちは暴動が起きている貧民街へ、その移動販売車で乗り込んだ。

 暴徒たちは、突如現れた光り輝く馬車に度肝を抜かれている。


 私は馬車の屋根に立ち、拡声の魔道具を使って叫んだ。

「皆さん、聞いてください! 暴力では、何も解決しません! お腹が空いているのでしょう? 今から、温かいバーガーを無料で振る舞います!」


 暴徒たちは、戸惑いながらも足を止める。その間に、ルオやミリィたちが、車内から次々とバーガーを手渡していく。


「こんな時に、メシだと……?」

 最初は訝しんでいた人々も、空腹には勝てなかった。温かいバーガーを口にした彼らの顔から、次第に険が取れていく。お腹が満たされると、人の心は少しだけ穏やかになるものだ。


 その時、暴動を扇動していたリーダー格の男が、私に向かって石を投げつけた。

 しかし、石は馬車を包む見えない壁に弾かれ、カランと音を立てて地面に落ちた。魔法障壁だ。


「皆さん、目を覚ましてください! あなた方を唆しているのは、自分たちの権力しか頭にない、腐った貴族たちです! 彼らは、あなた方の生活が良くなることを望んでいない!」


 私の言葉は、人々の心に届いた。自分たちが、ただ利用されていただけだと気づき始めたのだ。

 騒ぎは、徐々に収束していった。後から駆けつけた衛兵隊が、扇動者たちを捕縛し、暴動は未遂に終わる。


 翌日、マーグレット侯爵が暴動の黒幕だったことが明るみに出ると、彼の失脚は決定的となった。

 この一件は、カロル・バーガーズが単なる飲食店ではなく、社会を変える力を持つ組織であることを、王国中に知らしめる結果となった。

 私の戦いは、もはや厨房の中だけではなかった。それは、腐敗した権力との、明確な戦いとなっていたのだ。

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