エピローグ
それから、さらに長い年月が過ぎた。
大陸の歴史書には、一人の女性の名が、伝説の起業家として燦然と輝いている。
レティシア・アルディナ・グレイス。
彼女が築き上げた『バーガー・ユナイテッド』は、国家の枠組みを超えた共存共栄の象徴となり、彼女が掲げた思想「誰もが美味しく平等に食を楽しめる世界」は、大陸の隅々にまで深く根付いていた。
かつて貧民街があった場所は、今や活気あふれる商業地区となり、その中央広場には、彼女の功績を讃える大きな銅像が建てられている。それは、王冠を被った女王の姿ではない。片手にハンバーガーを持ち、優しい笑顔で人々に語りかける、一人の創業者の姿だった。
銅像は、多くの人々の待ち合わせ場所として親しまれている。恋人たちが愛を語らい、子供たちが駆け回り、老人が穏やかに日向ぼっこをする。その足元には、誰かが供えたのだろう、一輪の花が飾られていた。
そして、台座には、小さな真鍮のプレートが埋め込まれている。そこには、彼女が遺した言葉が、簡潔に刻まれていた。
「あなたの手で、この一口を未来に届けて」
その言葉は、過去の英雄からのメッセージであり、今を生きる人々への問いかけであり、そして、未来へと続く約束でもあった。
レティシアの革命は、一つの物語として終わるのではない。プレートの言葉通り、人々の手から手へと受け継がれ、美味しい笑顔と共に、永遠に続いていくのだ。




